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札幌市の財政が危機的状況に|今後10年の財政推計をわかりやすく解説

2026/6/11

「市の財政が厳しい」という言葉は耳にするけれど、実際にどれくらい厳しいのか、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。

札幌市は2026年1月、「今後10年間の財政推計」を公表しました。この資料には、令和8年度(2026年度)から令和17年度(2035年度)までの収支見通しが示されており、その内容は市民として知っておくべき重要なデータが詰まっています。

この記事では、資料の内容をもとに、札幌市の財政の現状と今後の見通しをわかりやすく整理します。

目次

  1. この資料は何を伝えているのか
  2. 令和8年度予算の現状|収支不足は200億円超
  3. 一般財源の9割は「削れない経費」
  4. このまま放置すると「5年後に基金が枯渇」
  5. 歳出を押し上げる3つの義務的経費
  6. まとめ・チェックリスト

この資料は何を伝えているのか

出典:札幌市|今後10年間の財政推計(令和8年1月)

今回ご紹介するのは、札幌市が令和8年(2026年)1月に公表した「今後10年間の財政推計」です。一般会計を対象に、令和17年度(2035年度)までの歳入・歳出の見通しをまとめたものです。

物価高騰や社会保障費の増加、老朽化した公共施設の更新など、歳出の増加要因が重なる中、市の財政は非常に厳しい局面を迎えています。資料では「将来世代に過度な負担を残さない持続可能な財政運営を行うため」に推計を実施したと説明されています。

本記事は、札幌市が公表した財政推計資料をもとに作成しています。推計は一定の仮定条件に基づくものであり、今後の経済情勢や政策変更によって変動することがあります。

令和8年度予算の現状|収支不足は200億円超

令和8年度の予算編成では、「内部経費の徹底的な見直しと節減」「事業の選択と集中」を基本方針とし、より引き締まった予算をつくることを目指しました。しかし、それでもなお、200億円を上回る収支不足が生じています。

市はこの収支不足を「財政調整基金」などの基金(いわば市の貯金)を取り崩すことで補ってきましたが、その残高は年々減少しています。

一般財源の9割は「削れない経費」

市の予算のうち、使い道を自由に決められる財源を「一般財源」と言います。令和8年度の一般財源の配分を見ると、約90%が義務的経費や準義務的経費に充てられています。

義務的経費とは、法律や条例で支出が定められており、削減が難しい経費のことです。代表的なものとして、福祉・医療に関する「扶助費」、借金の返済にあたる「公債費」、職員給与などの「職員費」があります。

さらに、裁量的経費(市が比較的自由に使える経費)の約3割は、基金の取り崩しに依存している状態です。市の財政の硬直性は、政令指定都市の中でも高い水準にあります。

区分内容一般財源に占める割合
義務的経費・準義務的経費扶助費・公債費・職員費・除雪費など約90%
裁量的経費政策経費・施設管理費など約10%

一般財源の負担が特に大きい主な事業としては、子ども・ひとり親・重度障がい者への医療助成費(約786億円)、私立保育所等への補助金、学校給食費、敬老パス(敬老優待乗車証)などが挙げられます。

このまま放置すると「5年後に基金が枯渇」

財政推計の最も深刻な見通しが、基金残高の枯渇です。現在の傾向が続いた場合、令和13年度(2031年度)には、活用可能な基金残高が枯渇すると推計されています。

ここでいう「活用可能な基金」とは、財政調整基金・まちづくり推進基金(現金分)・土地開発基金(現金分)の合計です。これらが底をつくと、収支不足を補う手立てがなくなります。

その背景には、一般財源の歳入が人口減少などを背景に緩やかに減少していく一方、歳出は増加し続けるという構造的な問題があります。収入は減り、支出は増える。この「はさみ」が開き続けることで、基金は急速に目減りしていきます。

歳出を押し上げる3つの義務的経費

歳出の中で大きな割合を占める義務的経費(扶助費・公債費・職員費)の推移について、資料では以下のように推計されています。

① 扶助費(福祉・医療の給付費)

障がい福祉費や児童福祉費の増加により、令和5年度から令和8年度の間で、一般財源の負担が約200億円増加しています。今後は、高齢者人口がピークを迎える2040年代に向けて医療関係の扶助費が増加する一方、年少人口の減少により児童福祉費等は縮小する見込みで、扶助費全体としては「大きく変わらない」と推計されています。

② 公債費(借金の返済額)

金利上昇に伴う利子の増加などにより、令和5年度から令和8年度で約140億円の負担増となっています。今後は建設事業費の増加に伴って市債(借入金)の発行が増え、金利負担も加わることから、公債費は大きく増加していく見込みです。

③ 職員費(人件費)

給与水準の改定により、令和5年度から令和8年度で約140億円の負担増となっています。市の資料によれば、札幌市の人口当たり職員数・人件費単価は、政令指定都市の中でそれぞれ2番目に低い水準です。今後も高齢化の進展に伴い福祉サービスに必要な人員確保が求められる一方、DXの活用による業務効率化などで対応していく方針が示されています。

まとめ・チェックリスト

  • ✅ 令和8年度予算でも収支不足は200億円超。引き締めた編成でも解消できていない
  • ✅ 一般財源の約90%は扶助費・公債費・職員費などの「削れない経費」が占める
  • ✅ 裁量的経費の約3割は基金(市の貯金)の取り崩しで賄われている状態
  • ✅ 現状が続くと令和13年度(2031年度)に基金が枯渇する見込み
  • ✅ 扶助費・公債費・職員費の3つがいずれも令和5〜8年度で100〜200億円規模の増加
  • ✅ 市は「聖域なき見直し」と「事業の選択と集中」の加速を今後の方針として示している

札幌市の財政について、市民として気になること・行政に伝えたいことがあればぜひご意見をお寄せください。

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著者:角谷尚哉(かくたに なおや)/医学博士・理学療法士。株式会社Health Link 代表取締役として心臓リハビリテーションの普及と医療・介護人材の育成に取り組む。国民民主党北海道 札幌市豊平区 政策委員。2027年札幌市議会議員選挙(豊平区)に向けて活動中。

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