2026/5/27
― 災害現場で行われる“命を救うための判断 ―
東京・銀座で発生した異臭騒ぎでは、多数の体調不良者が発生したことから、現場で「トリアージ」が実施されました。

ニュースなどで耳にする機会は増えていますが、実際にどのようなものか、詳しく知らない方も多いかもしれません。
トリアージとは簡単に言えば、
「限られた医療資源の中で、一人でも多くの命を救うために行う優先順位の判断」
です。

普段の救急医療では、目の前の患者さん一人ひとりに対して、可能な限りの処置を行います。
しかし、大規模事故や災害では状況が大きく変わります。
そうした状況では、全員を同時に救うことは現実的に難しくなります。
だからこそ現場では、
を、短時間で判断していきます。
これがトリアージです。

トリアージの目的は、
「限られた医療資源を有効に使い、できるだけ多くの命を救うこと」
にあります。
これは、普段の医療とは少し違う考え方です。
平時であれば、一人に長時間かけて高度な処置を行うこともできます。
しかし災害現場では、その間に別の命が危険な状態になっていることもあります。
そのため現場では、
「誰を優先して治療・搬送するか」
という非常に重い判断が求められます。

トリアージでは、傷病者を緊急度に応じて色分けします。
赤命に危険があり、直ちに治療や搬送が必要な人
黄治療は必要だが、一定時間は待機できる人
緑歩行可能で比較的軽症な人
黒救命が極めて困難と判断される人
ここで誤解されやすいのが、
「黒=死亡」
ではないということです。
限られた医療資源を、より救命可能性の高い傷病者へ優先的に投入するための区分であり、現場にとって最も苦しい判断の一つでもあります。
トリアージでは、完璧な診断をすることより、
「短時間で判断すること」
が重視されます。
現場では、
などを数十秒で確認し、次々に判断していきます。
一人に時間をかけすぎれば、その間に救える命を失う可能性があるためです。
災害医療では、“完璧さ”より“迅速さ”が求められる場面があります。

今回の銀座の事案では、
が同時に発生しました。
当初は、
などの可能性も否定できない状況でした。
そのため消防・警察は、多数傷病者事案として対応し、現場ではトリアージが行われたとみられています。
結果的には重症者は確認されていませんが、災害対応では、
「最悪の事態を想定して初動対応する」
ことが原則です。

トリアージは、「命を切り捨てるため」のものではありません。
限られた状況の中で、
「一人でも多くの命を救うため」
に行われる、災害医療における重要な判断です。
ニュースで「トリアージが実施されました」と聞いた時、その背景には、現場で必死に命と向き合っている消防・救急・医療従事者の姿があります。

※画像はイメージです
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