2026/1/3
「政令市でもない中核都市でも、市立病院って普通あるよね?」
そう考える方は多いでしょう。ところが福井市には、市立病院が存在しません。
これは怠慢でも不備でもなく、地域の医療体制と行政判断の結果です。
本記事では、福井市に市立病院がない理由を「歴史」「医療圏」「財政」の3つの観点から解説します。
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1. そもそも福井市には“代替する存在”が揃っていた
福井市の医療は戦後から現在まで、県立・大学附属・民間の大型病院が軸となって発展してきました。
多くの市が「医療空白を埋めるために市立病院を作る」のに対し、福井市には既に中核病院が存在していたのです。
● 福井県立病院
福井県が運営する急性期拠点。地域医療の心臓部であり、2次救急の柱です。
● 福井大学医学部附属病院
3次救急(重症救命)や高度医療を担う、北陸トップクラスの治療能力を持つ病院。
● 済生会福井病院などの大型民間病院
一般診療・慢性期医療を支え、入院・回復期の受け皿として機能。
→ つまり福井市の場合、わざわざ市立病院を作らなくても医療需要が満たされていたのです。
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2. “嶺北医療圏”という仕組みが、市立病院を不要にした
福井県では、医療機能を市単位ではなく**“嶺北医療圏”**で整理する方針を採用しています。
自治体ごとに病院を作るより、広域で役割を分担する方が効率的という考え方です。
分担モデル
3次救急・高度医療 → 福井大学附属病院
2次救急・一般急性期 → 県立病院/民間中核病院
回復期・慢性期 → 各種専門病院・民間病院
この構造が成立している限り、福井市が巨額投資で市立病院を建てる必然性は弱いのが実情です。
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3. 市立病院は“自治体で最大級の赤字事業”である
他の自治体を見ると、市立病院は慢性的な赤字に悩まされています。
人口減少が進む地方で、それを新規に抱えるリスクは桁違いに高いのです。
赤字の理由
医師・看護師確保の固定費(給与・手当)が膨大
設備更新=MRI1台で数億円、建替えは数百億円規模
高度医療に参入すると大学病院や県立病院と競合
病床削減を求める地域医療構想との整合が難しい
人口約26万人の福井市が単独で高度急性期医療をもつのは、現実的ではありません。
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4. 福井市は「持たない代わりに、連携で補う」戦略を選んだ
福井市は医療提供を**“市立病院を持たない代替手段”**で確保しています。
県立病院との協働体制
福井大学附属病院との救急搬送・専門治療の連携
済生会・民間中核病院とのベッド調整
在宅医療・介護・回復期施設への投資
市が病院を建てるのではなく、既存の強いプレイヤーと組む。
この戦い方が、結果として医療水準を下支えしてきました。
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5. 市民から「市立病院を作れ」の声は出るが…
もちろん、福井市でも市立病院設置を求める声は周期的に上がります。
しかし議論の結論はほぼ以下の通りです。
> ① 既に県立・大学・民間で医療機能が提供されている
② 市立病院は財政負担が極めて重い
③ 医師確保は市立の方がむしろ困難
結果、**「作らない方が医療が安定する」**という判断に落ち着いています。
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まとめ:市立病院がないのは“失策”ではなく“合理的な選択”
福井市が市立病院を持たないのは偶然ではありません。
歴史的に中核医療機関が揃っていた
医療圏を県レベルで再編する政策
市立病院が抱える大きな財政リスク
既存病院との連携で医療需要が満たされている
つまり、福井市は「持たない」ことで医療を守ってきた都市なのです。
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福井市議会に挑戦する決意をしました。
大谷たかまさです。
命を守ってきた。
次は暮らしを守る。
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