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国家情報会議法を一人の国民目線で考える ― 情報戦の時代に、日本はどう備えるべきか ―

2026/6/1

「国家情報会議法」という言葉を聞いて、皆さんはどのような印象を持つでしょうか。

少し難しく、どこか遠い国の安全保障の話のように感じるかもしれません。
しかし、私はこのテーマは、私たち一人ひとりの暮らしや民主主義にも関わる大事な論点だと考えています。

今回は、国家情報会議法について、できるだけ市民目線で整理してみたいと思います。

国家情報会議法とは何か

国家情報会議法は、簡単に言えば、政府の中に「情報を集め、分析し、政策判断につなげる司令塔」を整備するための法律です。

安全保障、外交、テロ対策、サイバー攻撃、経済安全保障、外国からの影響工作など、現代の脅威は非常に複雑になっています。

かつての安全保障といえば、軍事力や領土防衛のイメージが強かったかもしれません。
しかし今は、サイバー攻撃で行政システムや企業活動が止まることもあります。SNS上で偽情報が拡散され、世論や選挙に影響を与えることもあります。重要な技術や情報が海外に流出することも、安全保障上の問題です。

こうした時代に、各省庁がバラバラに情報を持っているだけでは、国として迅速で的確な判断ができません。
そこで、政府全体で情報を集約し、分析し、対応する仕組みを強化しようというのが、この法律の大きな目的です。

普通の市民に関係あるのか

では、この法律は、普通に暮らす一人の国民に関係があるのでしょうか。

直接的には、すぐに私たちの日常生活が変わる法律ではありません。
この法律によって、私たちに新しい手続きが増えるわけでも、日々の生活に何か義務が課されるわけでもありません。

しかし、無関係とは言えません。

たとえば、サイバー攻撃によって自治体のシステムが止まれば、住民票、税、福祉、子育て支援、防災などにも影響が出る可能性があります。
SNS上の偽情報が広がれば、地域社会の分断や選挙への不信にもつながります。
外国勢力による影響工作があれば、私たちが正しい情報に基づいて判断すること自体が難しくなるかもしれません。

つまり、国家情報会議法は「政府の中の仕組み」の話ではありますが、その先には、私たちの暮らしの安全や民主主義の健全性がつながっているのです。

情報戦の時代に、日本も備える必要がある

私の意見としては、今の安全保障環境を考えれば、日本も情報戦への対応力を高めることは必須だと考えています。

世界では、軍事力だけでなく、情報、サイバー、経済、技術、世論形成をめぐる争いがすでに起きています。
日本だけが「情報戦には関わりません」という姿勢でいられる時代ではありません。

特に日本は、民主主義国家であり、自由な言論空間があります。
それは大きな強みである一方、悪意ある偽情報や世論操作に対して脆弱になり得る面もあります。

国民の安全を守るためにも、政府が必要な情報を収集し、分析し、危機に備える体制を持つことは重要です。

一方で、政府の力が強くなることへの警戒も必要

ただし、ここで忘れてはいけないことがあります。

情報機能を強化するということは、政府の力が強くなるということでもあります。

政府に情報が集まり、分析機能が強化されれば、国を守る力は高まります。
一方で、その力が間違った方向に使われれば、国民の自由やプライバシー、政治活動、報道の自由に影響を与える可能性もあります。

たとえば、善良な国民が政治について意見を言う。
行政に疑問を持ち、発信する。
署名活動をする。
地域の課題について声を上げる。

こうした行為は、民主主義社会において本来守られるべきものです。

もし政府の情報収集が過度に広がり、普通の市民活動まで不審なものとして扱われるようになれば、それは大きな問題です。

だからこそ、情報機能の強化と同時に、明確なルール、政治的中立性、プライバシー保護、国会による監視が必要になります。

防犯カメラに似ている

この問題は、町内会の防犯カメラに少し似ていると思います。

防犯カメラは、空き巣や不審者対策には役立ちます。
地域の安全を守るためには、必要な場面もあるでしょう。

しかし、誰が映像を見るのか。
どのくらい保存するのか。
本来の目的以外に使われないのか。
こうしたルールがなければ、不安に感じる人も出てきます。

国家情報会議法も同じです。

国を守るための情報機能は必要です。
しかし、その情報がどのように集められ、どのように使われ、誰が監視するのか。
そこを曖昧にしてはいけません。

賛成か反対かだけでは見えない論点

この法律については、賛成・反対の意見があります。

賛成側は、今の国際情勢やサイバー空間の脅威を考えれば、政府全体で情報を集約し、分析する体制が必要だと考えます。
これは現実的な問題意識だと思います。

一方、反対や慎重な立場の人たちは、政府による監視や情報の政治利用を懸念しています。
これもまた、民主主義において非常に大切な視点です。

私は、この問題は単純に「国の情報機能を強めるべきか、弱めるべきか」という話ではないと思います。

大切なのは、国を守る力を高めながら、市民の自由をどう守るかです。
安全保障と自由は、どちらか一方だけを選べばよいものではありません。
両方を成り立たせる制度設計が必要です。

私たち国民の責任も重くなる

政府の力が強くなるなら、それを監視する国民の責任も重くなります。

政府は、私たち国民が選んだ代表者によって構成されています。
つまり、政府をつくっているのは、最終的には私たち自身です。

だからこそ、政治に無関心でいることはできません。

どの政治家が、どのような安全保障観を持っているのか。
情報機関の強化に賛成するなら、同時にどのような監視制度を求めているのか。
国民の自由やプライバシーをどう守ろうとしているのか。

こうした点を、私たち有権者がしっかり見ていく必要があります。

「政府が強くなるなら怖い」だけで終わらせるのではなく、
「強くなる政府を、国民がどう監視し、どう選ぶのか」まで考えるべきだと思います。

国民にとって一番大事なこと

私は、日本が情報戦への対応力を高めること自体には賛成です。
今の安全保障環境を考えれば、それは避けて通れない課題だと思います。

しかし同時に、政府の力が強くなる以上、国民による監視、国会によるチェック、報道の自由、政治的中立性、個人情報保護はますます重要になります。

国を守ること。
国民の自由を守ること。
この二つは、本来対立するものではないはずです。

むしろ、自由な社会を守るためにこそ、安全保障が必要です。
そして、安全保障の名の下に自由が失われないようにするためにこそ、民主主義の監視が必要です。

国家情報会議法は、難しい法律に見えるかもしれません。
しかし、その本質は、私たちがどのような国のあり方を望むのかという問題でもあります。

安全を国に任せきりにするのではなく、
自由を当然のものと思い込むのでもなく、
私たち国民一人ひとりが、政治を見て、考え、選ぶ。

情報戦の時代だからこそ、国民の政治参加と監視の目が、これまで以上に大切になっているのではないでしょうか。

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著者

徳宮 勇気

徳宮 勇気

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肩書 フリーランス / 自衛隊支援協会理事長
党派・会派 無所属
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