2026/6/30
こんにちは!唐津市議会議員の井手清和です。
本日、唐津市の若手職員が柔軟な発想で市政の課題解決に挑む「未来づくり研究会」の研究発表会が開催されました。
若い職員の方々が真剣に考え発表する姿に感動したので、市民の皆様にもお知らせしたく書かせていただきます。
令和8年度(2026年度)の当初予算として本事業には 74万1千円 が計上されています。これまでの予算推移を見ると、令和7年度の当初予算27万1千円から、6月補正予算での103万1千円を経て、今年度も若手のアイデア創出に向けた予算がしっかりと確保されていることが分かります。
この研究会は、若手職員の資質向上と、若い世代の柔軟な発想を行政運営に活かすことを目的としています。職員自らが課題を設定し、地道な調査や先進地視察、市長との座談会を重ねてきました。本日は、緊張感漂う中で4つの素晴らしいテーマの発表が行われました。

全体を通して感じたのは、これだけ質の高い、具体的な提案ができるのであれば、もっと予算を拡充し、若い人の意見を積極的に市政へ取り込むべきだということです。指摘事項として内容に甘さがある部分もありましたが、それも含めて職員の大きな成長につながる大いに価値のある取り組みです。
それでは、本日発表された4つのテーマについて、それぞれの内容と私の視点を交えた感想をまとめます。
最初のテーマは、公務員の枠を超えて地域に飛び出す「職員兼業制度」の整備に関する提案でした。
発表者は自ら「親子の遊び場モーヴィ」で無報酬のボランティアとして活動してきた実体験を通じ、「市民」と「職員」の垣根を越えた対等な関係性の重要性を訴えました。市役所の窓口にある見えない壁を取り払い、職員が地域貢献と地域愛を育む手段として兼業が有効であると主張します。
職員アンケート(回答率29.4%)では、なんと 72%の職員が兼業に「関心あり」 と回答。意向としては趣味・特技の活用や地元企業支援、農林水産業への従事が上位を占めました。一方で、本業への影響や職場の理解、制度未整備への不安も根強くあります。


先進事例として、営利企業も含めて条件付きで容認し「11時間インターバル」を徹底する三重県伊賀市、公共交通の運転手不足を「チャレンジ兼業制度」で解決した岐阜県飛騨市、そして全国で初めて条例化し透明性を確保した大阪府河内長野市(唐津市と規模が類似)が紹介されました。 河内長野市では条例化により申請件数が約2.3倍に増加し、採用活動への好影響や退職抑止、モチベーション向上といった予算をかけない効果が生まれています。

これらを踏まえ、唐津市でも現在の内規を緩和し、非営利限定から地場産業連携(農水産業の繁忙期支援)へ段階的に移行し、最終的には市民への発信効果を狙った「条例化」を目指す「唐津バージョン」が提言されました。
公務員だけの狭い視野にとどまらず、民間がどのようにして売り上げを確保し、必死に汗を流して給与を得ているのかを現場で勉強することは、行政サービスの質向上に直結します。 驚いたのは、唐津市においてすでに30人程度の兼業実績(主に家業の農林水産業の手伝いなど)があったという事実です。この既存の土台をベースに、地域課題の解決と職員のウェルビーイングを両立する制度設計へ、一歩踏み出す時が来ています。
2つ目は、唐津の最大の強みである「食」の付加価値を高め、地域経済を循環させるための提案です。
唐津市の観光は、年間旅行者約375万人を誇るものの、その 90%が日帰り客 という大きな課題を抱えています。さらにRESAS(地域経済循環分析)によると、宿泊・飲食サービス業において14億円もの資金が市外へ流出しており、地域として「貿易赤字」の状態にあります。


この状況を打破するため、素材が育まれたバックボーンや環境を五感で楽しむ「ガストロノミー(美食地学)」に着目。当初はイベント型を模索したものの、専門家へのヒアリングを経て「一過性のイベントではなく、体験を通じた意識変容が不可欠」と方針を転換しました。
視察先の三重県多気町の商業リゾート「VISON」や、20年続く高校生レストラン「まごの店」を運営する相可高校の事例から、料理人と生産者が「地域の仲間」としてつながる重要性を提示。唐津における学生(福岡大学や市内高校、首都圏大学生など)の役割を中核に据え、ガストロノミーと教育を掛け合わせた「唐津ガストロノミー推進プロジェクト」を提案しました。
岡さんここで登場しておりました!

具体策として、学生が地域の生産者や飲食店を取材・執筆する 「コンセプトブック(ハンドブック)」の作成と活用 が挙げられました。これを市内外への商品発送時に同梱したり、宿泊施設に設置したりすることで、食環境への知識欲を刺激し、滞在時間の延長や産業間の連携を生み出すきっかけにするという5か年計画(当初案から観光課事業と連動した3年計画へブラッシュアップ)です。
今年度の予算にある「唐津市ガストロノミーツーリズム創出事業」との連携をもっと明確に打ち出せれば、より説得力が増したと感じます。 市長からの「既存の唐津産品動画とどう違うのか」という指摘に対し、私はこの素晴らしい取り組みを紙のハンドブックだけに終わらせてほしくないと考えます。私が6月の一般質問でも発言した通り、今の時代はショート動画などを駆使し、若い感性でSNS等を通じて「もっともっと外へ発信していく仕組み」を取り入れるべきです。
3つ目は、下水道事業の厳しい財政状況を背景に、保有資産を戦略的に活用する極めて現実的かつ重要な提案でした。
令和6年度決算において、下水道事業は 純損失約1.7億円、資本的収支の不足額約6.5億円 という厳しい経営課題に直面しています。料金収入の減少や施設の老朽化が進む中、料金値上げをできる限り抑制するための自主財源確保が不可欠です。

そこで、市内に広く点在する102箇所の休廃止施設を「即時活用型」「制約付き活用型」「再編連動型」の3つに分類。短期的な収益化と中長期的な政策活用を組み合わせた5段階のロードマップを提示しました。
特に注目すべきは、大規模な「浄水センター(ニタ子)」の活用です。敷地面積約8.8万㎡、年間約2.8万人が利用する運動広場を擁するものの、港湾施設用地・埋立地であることや耐震性の問題など、多くの現実的制約があります。 研究グループはこの制約を「強み」と捉え、佐賀県が進める KMAP事業(唐津マリンアクティビティパーク事業)との連携 を提案。第一種中高層住居専用地域である西の浜側では建設が難しい大規模な屋内機能(拠点・休憩・物販等)を、準工業地域である浄水センターの3階・4階既存フロア(約1,000㎡)で受け止めるという「相互補完」のビジョンを示しました。


官民連携(PPP/PFI)の外部支援機構ともすでに連携を開始しており、県政策部とも協議を進め、単なる土地貸付にとどまらない面的な価値創造を目指しています。
この視点は、議員である私自身にとっても非常に参考になりました。行政内にPPP/PFIの手法をもっと深く浸透させるべきです。 唐津市の上下水道分野は民間連携が比較的進んでいますが、ここからはさらに一歩踏み込んだアイデアが必要です。例えば、私事ですが、サウナ好きですので、浄水センターの3・4階の絶景を活かしてサウナを作ってはどうか?には大賛成いたします(笑)
また、来年度廃止が予定されている厳木町天川地区の「緑風館」について、この未利用財産利活用の文脈で浄水センターへ機能を移設してはどうかと考えます。緑風館は(R3)49件(2,602人)から(R7)90件(5,462人)へと利用が急増しており、その9割が福岡からの少年野球などの硬式野球チームです。浄水センターに隣接する野球場をセットで整備すれば、福岡からの交流人口を呼び込み、「外貨を稼ぐスポーツ合宿拠点」として浄水センターの3・4Fを蘇らせることができるはずです。
最後のテーマは、農家が長年苦しんできた有害鳥獣(イノシシ)の処理問題に対し、劇的な効率化をもたらす画期的な提案でした。
唐津市におけるイノシシによる農業被害額は年間約4,500万〜5,000万円前後と依然として高く、令和6年度の捕獲実績は5,490頭に上ります。 しかし、現場では「埋設場所の不足」と「埋設作業に係る捕獲従事者の精神的・肉体的負担の大きさ」が深刻な課題となっており、これが新規従事者の参画障壁にもなっています。


この課題に対し、研究グループは和歌山森林管理署が実施する 大型排水管(TACパイプ)を利用した「残渣処理」試験 を視察し、その導入を提言しました。 これは長さ4m、幅1mの大型排水管を地中に垂直に埋設し(地上部1m)、軽トラの荷台から直接個体を投入できる仕組みです。1地点あたり170頭の処理が可能で、解体や穴掘りの手間が一切不要になります。懸念される腐敗臭に対しては、家庭ゴミを肥料に変える「EMボカシ剤」を交互に投入することで、悪臭を大幅に軽減し分解を促進します。


コスト面でも、1基あたりのイニシャルコストは約130万円ですが、鳥獣交付金(簡易的な埋設設備の整備:上限100万円/箇所)や、特別交付税措置(交付率8割)を活用することで、自己負担を最小限に抑えられます。 実施に向けては、地下水への影響がない林道残土敷などを選定し、地元の猟友会や農政課と協議の上、2〜3年程度の実証実験を開始するスケジュールが示されました。

今回の発表会の中で、私個人としてはこのテーマが最も素晴らしい内容だった と評価しています。 地域のリアルな課題の抽出、先進的な提案事例、そして国の交付金や特別交付税を用いた財源確保までの流れが完璧にロジックとして組み立てられていました。
執行部側も「すぐにでも試験をしたい」と前向きな姿勢を見せていましたが、特に唐津市の7つの離島における害獣処理は本土以上に厄介な問題を抱えています。まずは離島や主要地域でテストし、うまくいけば即座に全域へ広げるべきです。これだけの材料と財源スキームが揃っているのですから、すぐにでも実行に移せます。もしこれで動きが遅いようであれば、それこそ「行政のスピード感のなさ」を露呈することになってしまいます。担当部局の迅速な決断を強く求めます。
4つのテーマすべてに、現場の汗と、唐津を良くしたいという若手職員の熱意が溢れていました。内容にブラッシュアップが必要な部分は、私たち先輩世代や市議会、そして幹部職員がサポートし、予算をしっかりとつけて形にしていけば良いのです。
こうした研究会を通じて職員一人ひとりが地域と交わり、市民目線を養うこと自体が、唐津市の最大の財産であり「人の成長」につながります。若い職員の皆さんのこれからの活躍に大いに期待するとともに、私も議員の立場から、彼らの斬新なアイデアが市政に実装されるよう全力で後押ししてまいります!
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