2026/9/3
【仙台の教育支援に学ぶ】杜のひろば視察報告。
学びの多様化地方議員連盟の視察で、宮城県仙台市の教育支援センターのサテライト施設、「杜のひろば八木山」を訪問し、不登校支援・多様な学びの保障について学ばせていただきました。
仙台市では今年、これまでの「教育相談課」を「多様な学び支援課」へ変更しています。
背景には、「不登校」という言葉そのものへの問題意識があります。
仙台市では、単に「不登校児童生徒への支援」と捉えるのではなく、
「多様な学びを選択している児童生徒への支援」
として、行政が多様な学びの環境を整えていくという考え方を大切にしています。
特に参考になったのが、子どもの状態を独自に7段階で捉えていることです。
「年間30日以上欠席したから不登校」と一括りにするのではなく、教室には入れるのか、学校の別室には行けるのか、学校外施設なら通えるのか、外出はできるのか、家から出ること自体が難しいのか、といった状態まで把握し、それぞれに応じた支援を用意しています。
学校への調査を通じて、どの支援にもつながっていない児童生徒についても把握しているとのことでした。
これは政策を考えるうえで非常に重要だと感じました。
同じ「不登校」であっても、必要な支援は一人ひとり異なります。
校内の居場所があれば通える子、学校外の居場所なら通える子、個別対応が必要な子、家庭訪問でなければつながれない子、オンラインだからこそつながれる子。
こうした状態を行政が把握することで、初めて必要な支援の量や内容を考えることができます。
「児遊の杜・杜のひろば」では、小集団対応、個別対応、家庭訪問など、状態に応じた支援を実施。
今回訪問した「杜のひろば八木山」でも、カードゲームやボードゲーム、工作など、子どもたちが安心して人と関われる環境が整えられていました。
一見すると「遊び」に見える活動にも大切な意味があります。
「楽しかった」
「また来たい」
「人と関わるのっていいな」
と思える経験を積み重ね、安心感や信頼、自己肯定感を育てていくことが支援の土台になっています。
小集団で過ごすことが難しい子には個別対応、外出が難しい子には相談員2名による家庭訪問を実施。1名が子ども、もう1名が保護者を支援するという体制も特徴的でした。
さらに、家から出ること自体が難しい子には、令和6年度からメタバースやオンライン授業も活用。
オンライン授業は教員免許を持つ職員が担当し、受験対策というより、「学ぶことって楽しい」と感じてもらうことを大切にしています。
メタバースで交流していた子どもが、
「この人に実際に会ってみたい」
と思うようになり、それまで家から出ることが難しかった子がリアルなイベントへ参加したという事例も伺いました。
オンラインを「家にいる子のための代替手段」で終わらせず、社会との新たな接点として活用している点も印象的でした。
また、仙台市では教育支援センターの学校訪問相談員を学校へ派遣しています。
相談員が子どもとゲームや工作をしながら関係を築く姿を学校の先生にも見てもらうことで、
「この子、こんな表情をするんだ」
「こういう関わり方もあるんだ」
と気づいてもらう。
つまり、子どもを支援すると同時に、教育支援センターで培った支援の考え方を学校の中にも広げていく取組です。
「学校の中に、小さな児遊の杜をつくる」
という発想は、足立区の校内居場所づくりにも非常に参考になると感じました。
仙台市では、相談ダイヤル、家庭訪問、学校訪問相談員なども基本的に民間委託ではなく市直営で行っています。
令和8年度は78名の職員体制。
資格だけで人を選ぶのではなく、採用後の研修や日々のOJT、スーパーバイザーによる助言を重視し、長年にわたり、
「学校復帰だけではなく、社会的自立を目指す」
という支援の考え方を組織全体で共有してきたとのことでした。
そして、今回特に心に残ったのが、
「義務教育の期間だけではなく、その子の一生で見てほしい」
という言葉です。
仮にその後また学校に行けない時期があったとしても、信頼できる人と出会えたこと、安心できる居場所があったこと、「自分にもできる」と感じられた経験は、その子の人生に残ります。
一方で、今回訪問した八木山は定員を大きく上回り、現在新規受入れを停止しているほか、家庭訪問にも定員があり、ニーズに支援が追いついていないという課題も伺いました。
足立区でも、不登校児童生徒の「人数」だけを見るのではなく、一人ひとりが今どのような状態にあり、どのような支援ならつながれるのかを把握し、学校内・学校外・家庭・オンラインまで切れ目のない選択肢を整えていくことが必要です。
今回仙台で学んだことを、今後の議会質問や政策提言にしっかり生かしていきます。
仙台市教育委員会、児遊の杜・杜のひろば八木山の皆さま、お忙しい中、丁寧にご説明いただきありがとうございました。
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