2026/2/26
次に、納税者のための区政のあり方に移ります。
樋口区長は就任以来、少子化を緩和することを目的として、質の高い子育て政策を次々と実現してこられました。
保育環境の整備、教育の質の向上、さらには教育費負担が重くなる中学生・高校生を抱える世代への支援の充実など、その取り組みは全国的に見ても先進的であり、0歳から18歳までの切れ目ない子育て支援として高く評価しております。
実際、多くの自治体が財源や制度設計の難しさから十分な対応ができない中で、千代田区が先行的に取り組んできた意義は小さくありません。
子育て世代にとって「千代田区で子どもを育てたい」と思える環境づくりを進めてきたことは、区政の大きな成果の一つであります。
ただし、1つ懸念があります。私は令和7年6月24日、令和7年第2回定例会の代表質問において、少子化の根本原因について、より構造的な問題提起を行いました。
それは、少子化の最大の原因は「結婚した夫婦が子どもを産まなくなったこと」ではなく、そもそも結婚する若者そのものが減っていることにあるという点です。
この点については、国の統計や民間調査を見ても明らかです。
結婚した人と未婚の人の年収を比較すると、既婚者の年収が明らかに高いという傾向が一貫して示されています。
つまり、少子化の背景には価値観の変化だけでなく、若者の経済的基盤の弱さ、すなわち賃金の低さという現実的な問題が横たわっています。
・若者の賃金が低いから結婚できない。
・結婚できないから子どもを持てない。
この流れこそが、現在の少子化を生み出している根本構造だと考えます。
もちろん、東京23区の一つである千代田区が、自治体単独で若者の年収を引き上げることは、現実的に見て極めて困難です。雇用政策や賃金水準は、国全体の経済構造や産業政策に大きく左右されます。
しかし、だからといって自治体にできることが何もないわけではありません。
樋口区長がこれまで、全国に先駆けて少子化対策に取り組んできた実績を踏まえるならば、今後は区政の軸足を、より一層「納税者のための区政」へと広げていくべき段階に来ているのではないでしょうか。
とくに注目すべきは、独身の納税者や若い勤労世代です。
これらの層は、将来の結婚や出産を担う可能性がある一方で、現時点では子育て支援の直接的な受益者になりにくく、「支える側」に回りがちです。
この層に対する配慮が弱まれば、「納税しても見返りが感じられない」という意識が強まり、自治体への信頼や帰属意識を損なうおそれもあります。
実際、他自治体では、若年単身者向け住宅政策、リスキリング支援、地域コミュニティ参加へのインセンティブ付与などを通じて、「今は独身でも、この自治体に住み続ける価値がある」と感じてもらう施策を模索する動きも見られます。
これらは直接的な少子化対策ではないものの、若者の生活の安定や将来設計を支えることで、結果的に結婚・出産の土壌を整える取り組みだと言えます。
一般に議論されがちな、「子ども一人当たりに何千万円を支給する」といった極端な政策は、即効性はあるかもしれませんが、とくに財政面で持続性に疑問が残ります。
少子化は、日本という国の体力を徐々にむしばんでいく慢性病のようなものです。切開手術のように一気に患部を取り除く治療ではなく、温熱療法のように体質そのものを改善し、時間をかけて回復させていく政策を進めるべきです。
その意味で、納税者、とりわけ若い世代の納税者を大切にする区政は、少子化対策の「遠回りに見えるが、最も確実な道」だと考えます。
納税者を優遇する区政は、区の財務体質を強化し、自治体としての体力を高めることにもつながります。
そしてその財政的な余力こそが、将来的に子育て政策や福祉施策、弱者救済策をより盤石な形で支える基盤となります。そして、究極的に少子化を緩和していくはずです。
千代田区は、財政力、立地、人的資源のいずれにおいても、日本の自治体の中で特別な位置にあります。
だからこそ、「納税者のための区政」を打ち出し、日本全体にとってのモデルケースとなる意義は極めて大きいと考えます。
そこでお伺いします。
区長がこれまで進めてこられた子育て・教育支援を基盤としつつ、今後は「納税者のための区政」という視点をより強化し、とりわけ独身の納税者や若い勤労世代への配慮を高めることで、将来の結婚や出産につながる環境を整えていくお考えはおありでしょうか。
千代田区を持続可能な自治体とするための区長のご所見をお聞かせください。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>白川 司 (シラカワ ツカサ)>納税者のための区政にあり方についての代表質問(令和8年第1回定例会・その2)