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白川 司 ブログ

区内マンションの空洞化問題についての一般質問(平成7年第3回定例会)

2025/9/26

千代田区議会自由民主党議員団の一員として一般質問をおこないます。

 

今回は、千代田区の将来に直結する住宅政策、なかでも新築分譲マンションの「空洞化」と転売の抑制について質問いたします。

 

千代田区は東京の中心として、日本のビジネス・教育・文化を牽引してきました。近年は住環境が整えられ、住民人口も順調に増えています。

 

特に、再開発や総合設計制度を活用した良質な住宅供給は、区民生活の安定とコミュニティの持続性を支える公共的成果でしょう。

 

ところが、昨今、完売したはずの新築マンションで居住実態が乏しい、いわば“灯りのともらない街区”が生まれていると聞きます。

 

区が今年7月上旬に行った居住実態調査では、ある新築分譲マンションで所有者の7割弱に居住実態がないという衝撃的な報告がありました。これは防災・防犯、管理組合の成立や維持、地域活動の担い手確保といった観点から、看過できない問題です。

 

この事態を受け、区は7月18日、一般社団法人不動産協会に対し、総合設計制度や市街地再開発事業などで販売されるマンションについて「引き渡しから原則5年間の転売禁止」や「同一名義による複数物件の購入禁止」などの特約導入を要請しました。

 

これは新聞やテレビなどで報道されましたが、議会としても改めて、ここに至った区の認識と判断を、議場と区民にわかりやすく説明すべきだと考えます。

 

そこで質問いたします。

 

区はなぜ一般社団法人不動産協会に対して、5年間の転売や複数物件購入などの禁止特約導入を要請したのですか。基本的な考えをお示しください。

 

公共性の高い事業の成果を実需層へ優先配分するという政策目的があることはわかりますが、もし長期的な目的があるなど、ほかの要因があればご説明ください。

 

次に、「不動産投機の連鎖」がもたらす不利益についてお伺いします。

 

都心部の新築マンションは、東日本震災で暴落したあとから上昇ペースを高め、特にコロナ禍のあとに価格が大きく上昇しました。

 

ところで、最近は、郊外の不動産価格がピークアウトしつつあるように見えるにもかかわらず、都心のマンションだけが急騰し続けています。都心だけが、実需以上の上昇ペースになっています。

 

これは、投資資金、特に短期の投資資金が新築マンションに振り向けられているからだと考えられます。短期キャピタルゲインや複数戸の転売益を狙う投機的購買が、相場の上振れを加速させているのではないでしょうか。

 

その結果、次の3つの不利益が生じています。

 

1つめ。価格高騰による区内勤労世帯の締め出しです。

 

千代田区に仕事場がある人たちは、できれば区内に住みたいと考えるのが当然ですが、今の価格ではごく一部の限られた人しか叶わなくなっています。

 

2つめ。空き住戸の増加による防災・防犯リスクの増幅です。

 

地域が気に入って住むというのではなく、単に財産価値が高いから一時的に所有する人たちが増えれば、それだけ地域に根づきたいという人たちが減って、地域コミュニティは弱体化します。

 

町会などの地域組織は子どもを守る防災・防犯機能を担っていますが、このままでは子どもたちがこれまでのようには守れなくなります。

 

3つめ。管理組合の不成立や運営不全による建物の長期価値の毀損です。

 

新築マンションが住居開始から空室ばかりになると、管理組合が成立しない可能性がありますし、そもそもマンション自体の防犯上もよいことではありません。

 

これらの “三重の不利益”が新築マンションには発生します。

 

居住実態の乏しさは、地域コミュニティの形成や、子育て・教育施策の担い手にも影響します。

 

千代田区は伝統ある町会・氏子地域を有し、神田祭など地域文化を守り育ててきました。灯りのともらない街は、地域の力を徐々にむしばんでいくことになるでしょう。

 

区は区民のために、そういった不利益が起こらないように最善を尽くす責務を負います。

 

そこで質問します。

 

現在の千代田区における新築分譲マンション販売の状況を、区はどのように認識していますか。実需・投機の比率、複数戸購入の傾向、空き住戸の割合等について、把握している範囲で具体的にお示しください。

 

次に本要請の反響についてお伺いします。

 

今回の要請に対し、一般社団法人不動産協会は「合理性への疑義」や「さらなる説明を求める」旨の反応を示したと承知しています。

 

自由経済下での取引の自由と、公共性の高い供給の成果を生活者に確実に届けるという自治体の責務。その両立に今回の核心があります。区として丁寧なエビデンスの提示と対話の場づくりが重要になります。

 

そこで質問します。

 

一般社団法人不動産協会への要請後、協会側からどのようなアクション、意見表明、照会がありましたか。もし今後の協議計画があれば明らかにしてください。

 

さらに、本件に関して、区民やマスコミからどのような問い合わせや意見が寄せられていますか。また、それらの反応に対して、区が補足すべき情報があれば合わせてお示しください。

 

次に本要請についての法的正当性についてお伺いします。

 

所有権は尊重されるべき基本権ですが、公共性の高い事業、たとえば都市計画決定、総合設計制度活用、市街地再開発事業などについて、区はインセンティブを負担しています。

 

当然ながら、事業自体が区民の利益になることが大前提です。

 

ですから、区民の利益になるということが明確であれば、一定の制限をかけることに正当性が認められると考えます。

 

ただし、その場合は、法的に何らの問題もなく、区が事業者と交わす協定・覚書・事業計画の審査基準などに、公益目的に沿う行為規範を明確化し、透明性をもって運用することが必須になると考えます。

 

諸外国でも同趣旨の制限をしている例が散見されます。

 

たとえば、短期転売に高率の課税を課す、外国籍を含む投機的需要を抑えるための追加印紙税や空き家課税を導入するなどの事例があります。

 

日本でも、行政指導と並行して、国・都レベルの制度整備を働きかけることが必要です。

 

そこで質問します。

 

今回の要請について、区はどのような法的・政策的正当性を認識していますか。目的の明確性、手段の必要最小限性、透明性・予見可能性の確保などの観点をふまえて、区の見解を示してください。

 

次に、この問題にいわゆる「外国人問題」が含まれるかどうかについてお伺いします。

 

ここ数年、千代田区の外国人居住者の数・割合が大きく伸びていると聞きます。この劇的な変化に行政や住民が適切についていけるかどうかについて、強い懸念を感じております。

 

都心では海外からの資金流入が住宅市場を活性化させる一方、短期転売や無居住保有が価格の上振れや空洞化を招く側面があります。

 

都心の不動産は通常の投機活動でも上がりやすいのに、これに外国人投機が増えれば、需要が実需をはるかに上回り、区としても健全な運営に支障が出ないとは言い切れません。

 

ただし、ここで強調したいのは、国籍を問わず“行為”に着目してルールを設計すべきである点です。

 

複数戸の短期転売、無居住の長期化、管理費等の不履行などは、国籍に関係なく市場の健全性を損ねます。

 

私たちは、特定の属性を標的にするのではなく、投機的・非協力的な“行為”を抑制し、実需・定住を促す公平なルールを整えるべきでしょう。

 

なぜなら、本来であればこの千代田区の地域に根づくべくマンションを買おうという方たちが、その機会から遠ざけられるからです。

 

もちろん、マンション投資は日本では正当な投資方法であり、それ自体を否定することは不適切です。

 

ただし、ここに外国人投資家や投資会社が入っているとすれば、考慮すべき点があります。

 

特に最近増えているとされる中国系の投資家による投資は、私たちが中国に不動産投資できないということを考えれば、国家どうしの相互主義の観点からも、規制は正当化されうるでしょう。

 

都心という限られた地域でのマンション投資が過剰になれば、日本に納税してこなかった人たちが得をして、日本の納税者がマンションを購入するチャンスが遠のくことになります。これは感覚的にもおかしいことだと感じます。

 

地方自治体の本分は行政サービスであり、行政サービスは納税者やその家族、あるいはかつて納税者だった方たちが優先されるべきです。

 

そこで質問します。

 

本件に、いわゆる「外国人問題」の要素があるか、区の見解を伺います。もし課題があるとすれば、区はどのように対処しようとしているかをお示しください。

 

次に転売規制の適用範囲についてお伺いします。

 

今回の要請は、まず再開発地区に建つマンションなど公共性の高いスキームによる供給住戸を対象とするものです。

 

将来的に、適用を広げるかどうかは、効果測定と副作用の検証が大前提となります。

 

たとえば

「総合設計・再開発等の公共性が高い供給」

「学校区や子育てインフラに著しい影響を与える一定規模以上の供給」

「地域の空室率・灯り率が基準値を下回る地区」

など、段階的・選択的な適用が考えられます。

 

そこで質問します。

 

今回のスキームが一定の成果をあげた暁に、再開発・整備地区以外のマンションにも、将来的に同様の特約を拡げていく考えはありますか。考えている場合は、拡大の要件、評価指標、試行・検証のロードマップなどあればお示しください。

 

まだスタートしたばかりの案件ですので、今回のスキームはまだ実験段階にあります。

 

私は区が、区民生活のためにこのようなスキームを他地域に先駆けて進めたことについて大いに評価します。千代田区が先鞭をつけられれば、東京、ひいては日本の住宅政策は一歩前に進みます。

 

私たちは、「灯りのともる千代田区」「子どもが育つ千代田区」「地域が支え合う千代田区」という、地域における3つの力を次世代に手渡さなければなりません。

 

このような課題への取り組みは経済活動の自由の観点から、常に批判があるとは思いますが、どうか勇気と具体策をもって、大胆に挑んでください。

 

区長、ならびに関係理事者の建設的なご答弁を求め、私の一般質問を終わります。なにとぞよろしくお願いいたします。

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著者

白川 司

白川 司

選挙 千代田区議会議員選挙 (2023/04/23) [当選] 630.651
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肩書 評論家・翻訳家。国際政治・経済について、雑誌・著作・ニュースサイト・YouTubeなどで精力的に発信。
党派・会派 自由民主党
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