2026/8/6
皆様、こんにちは。兵庫県議会議員の大塚公彦です。
令和8年8月4日、私が所属する兵庫県議会文教常任委員会の管内調査において、神崎郡福崎町にある「兵庫県立播磨福崎高等学校」を訪問いたしました。
播磨福崎高校は、令和7年4月に福崎高校と夢前高校が発展的統合を遂げて誕生した、本県の高校教育改革を牽引する期待の新設校です。同校は、文部科学省の「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」に指定され、最先端のデジタル技術を活用した、全国的にも極めて先進的な教育課程を展開しています。
今回の視察を通じて私がその目で見て、肌で感じた教育現場の熱気と、これからの兵庫県の公立高校改革のあるべき姿について、県議会議員の視点から詳しくご報告いたします。
少子化に伴う急激な生徒数の減少は、本県、特に地方部や郊外において避けては通れない極めて深刻な課題です。切磋琢磨し合える適正な教育環境をいかに維持し、魅力ある学校をつくっていくか。兵庫県教育委員会では「県立高等学校教育改革第三次実施計画」に沿って、適正規模の確保と魅力化を一体的に進めてきました。
その先進的なモデルケースとなっているのが、この播磨福崎高校です。大正3年の創立から110年を超える歴史と伝統を持つ旧福崎高校と、地域に深く根ざして信頼を集めてきた旧夢前高校。この両校の優れたDNAを単に足し合わせるだけでなく、新しい時代の学びへと昇華させた「発展的統合」の実践に、学校全体で取り組まれています。
校長先生からお話を伺う中で感銘を受けたのは、学校の融和と一体感の醸成に向けた徹底したアプローチです。1回生の生徒自らがデザインした、伝統ある「松の葉」と「両校の円満な統合」を象徴する円弧をあしらった校章を胸に、生徒たちは実に生き生きと学校生活を送っています。
さらに特筆すべきは、「進路実現率 95%」、「部活動加入率 93.4%」という極めて高い数値です。新しい環境に移行する過渡期でありながら、これほど高い水準で「文武両道」を維持していることは驚異的であり、教職員の皆様の情熱的な指導と生徒たちの高い志の賜物です。
今後は、この統合の成果や生徒たちの変容を、単なる進学実績だけでなく「学習活動の満足度」や「地域貢献への実感」といった客観的なデータとして蓄積・分析し、学校評価指標として見える化していく計画とのこと。この「播磨福崎モデル」の確立は、今後県内で予定されている多くの統合校にとって、非常に心強い先行指標となるはずです。
今回の視察における最大のハイライトは、DXハイスクール指定に伴って第一特別教室棟の3階に整備された「探究ルーム」の視察でした。
一歩中に入ると、そこはこれまでの「高校の教室」の常識を心地よく打ち破る空間が広がっていました。大学の最先端研究室や、IT企業のコワーキングスペースをモデルに設計されたというこの部屋には、壁一面の巨大なホワイトボード、可動式デスク、高性能プロジェクター、および高速なWi-Fiネットワークが完備されています。
何より圧倒されたのは、生徒たちが日常的に活用している最先端デジタル機材の数々です。
・精密な3Dデータを設計するための高性能グラフィックPCと3D CADソフト
・アイデアを瞬時に形にする精密な3Dプリンタやレーザーカッター
・地域の地理的特徴の把握や防災探究に活用されるドローン
播磨福崎高校の素晴らしい点は、これら高水準の環境を理数系クラスの生徒だけに限定せず、普通科を含めた「すべての生徒」を対象に開放している点にあります。
学校設定科目である「デジタルアプリケーション」では、パソコンの操作技術を学ぶだけでなく、3Dプリンタなどの機材を使って「デザインデータを自分で作り、実際にものを作り上げるプロセス」を体験します。これにより、予測困難な時代に必要とされる「試行錯誤する力」を体得しているのです。
一方で、これほど高度な設備を日常的に、かつ安全に稼働させるためには、教職員側の管理負担や指導負担が特定の教員に集中してしまうという「属人化と多忙化」のリスクも教育現場の大きな課題です。県議会の立場からも、学外の専門エンジニアやサポート人材を円滑に導入し、先生方が本来の授業づくりや生徒への伴走に専念できる支援体制の拡充を、県に対してしっかりと求めてまいります。
播磨福崎高校の学びのもう一つの柱は、福崎町という地域全体をリアルな学びのフィールドとして捉えた「地域共創プログラム」です。
普通科での「町がキャンパス」を合言葉にした地域課題解決プログラム、および文理探究科での「ライフ・サイエンス」などの専門科目を通じて、生徒たちは地域社会のリアルな課題に向き合っています。
・地元の医療機関や、神戸常盤大学、姫路獨協大学、兵庫県立大学先端医療工学研究所などの高度な研究機関と連携したライフサイエンス研究
・特産品である「もち麦」などを活用した、福崎町の観光・魅力発信 ・高齢者の移動支援や、ドローンを活用した避難経路の検証・設計
高校生の地域探究活動において最も懸念されるのは、アイデア発表だけで満足してしまい、一過性のイベントで終わってしまうという「形骸化」です。しかし、播磨福崎高校では、生徒たちが導き出したデータや解決策を、実際に福崎町役場や地元商工会、企業と密接に連動させ、街の中で「実稼働・実証テスト」を行う仕組みづくりを進めています。これこそ、学びを社会に開く本物の「社会実装教育」です。
そして、これらのデジタルものづくりや、地域で汗をかいた探究活動の具体的なプロセス、個人の成長履歴は「ポートフォリオ」として克明に蓄積されています。これが大学入試における「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」において、非常に強力な強みとなって結実し、高い進路実現率(95%)を支える大きな要因となっています。
私学の授業料無償化が進む中、地方の公立高校が中学生や保護者から「ここに通いたい」と熱望される存在であり続けるためには、私立には真似できない、圧倒的な地域密着の探究プログラムと最先端のDX環境の提供が極めて有効です。
今回の視察で得た多くの気づきは、私の地元である神戸市北区の教育環境のさらなる充実や、本県全体の教育活性化に向けた政策提言に直結する、大変貴重なものとなりました。
ここで実践されている「発展的統合」と「DXハイスクール」の先進事例を、一校の成功体験に留めることなく、兵庫県内すべての公立高校へ水平展開し、すべての子どもたちが未来を生き抜く力を育めるよう、教育環境の向上に全力を尽くしてまいります。
兵庫県議会議員 大塚公彦
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