2026/6/20
児童相談所問題の相談が、相変わらずよく来ます。本当に相談できる場所が無いのが問題です。
その中には、「施設入所の同意を迫られました」というものがあります。
どう答えるべきなのか、相談相手がいないのです。
児童相談所に子どもを一時保護されたあと、しばらくすると、こう言われることがあります。
「施設入所に同意してください」
このとき、多くの親は大きな不安に襲われます。
同意したら、子どもを取り返せなくなるのではないか。
同意しなければ、児童相談所と徹底的に争えるのではないか。
家庭裁判所で「虐待していない」「無実だ」と訴えれば分かってもらえるのではないか。
しかし、ここで大きな勘違いをしてしまうと、時間だけを失います。
結論から言えば、
施設入所に同意するかどうかだけに固執しても、問題の本質は解決しません。
重要なのは、同意するか、しないかではありません。
家庭復帰に向けた書面を、児童相談所長に対して出し続けることです。
一時保護は、本来、暫定的な措置です。
一時保護所に子どもを置き続けることは、子どもにとって大きな負担になります。原則2か月という期間が意識されるのも、一時保護があくまで一時的な対応だからです。
そのため、児童相談所は、子どもを一時保護所に置いたままにするのではなく、児童養護施設などへの入所に切り替えようとします。
つまり、施設入所の話が出たということは、
暫定的な一時保護所での収容から、より長期的な施設での生活に移そうとしている段階
だということです。
ここで親に対して、施設入所への同意を求めてくるわけです。
親が施設入所に同意しない場合、児童相談所は家庭裁判所に対して、施設入所の承認を求める申立てをします。
これが、いわゆる
28条審判
と呼ばれる手続です。
ここで親側がよく誤解するのは、28条審判を、刑事裁判のように考えてしまうことです。
「私は虐待していない」
「無実です」
「児童相談所の判断は間違っています」
このように裁判官の前で訴えれば、分かってもらえると思ってしまう。
しかし、28条審判は、刑事事件の無罪を争う場ではありません。
家庭裁判所が見るのは、基本的には、
児童相談所の申立てに不備があるのか
施設入所を認める理由がないのか
という点です。
つまり、親が「虐待していない」と主張するだけでは、児童相談所の申立てを崩すことにはなりません。
ここが一番重要です。
親が虐待していないとしても、児童相談所が、
「このまま家庭に戻せば、虐待のおそれがある」
「不適切な養育が再び起こるおそれがある」
「家庭復帰にはまだリスクがある」
と書面で主張していれば、それが施設入所を求める理由として扱われてしまう可能性があります。
つまり、問題は過去だけではありません。
「一時保護のきっかけになった出来事が事実かどうか」だけを争っても足りないのです。
児童相談所は、未来について主張してきます。
将来、虐待が起こるおそれ。
将来、不適切な養育が起こるおそれ。
将来、子どもの安全が確保できないおそれ。
この「未来のおそれ」を崩さなければならない。
しかし、未来について、
「虐待のおそれはない」
「不適切な養育のおそれはない」
「家庭に戻しても安全である」
と裁判所に認めさせるのは、非常に難しいことです。
なぜなら、それは事実の有無だけでなく、家庭復帰後の見通し、支援体制、親の対応、児童相談所とのやり取りの記録まで含めて判断されるからです。
一時保護された親の中には、28条審判になってから本気で戦えばよいと思っている人がいます。
しかし、それでは遅いのです。
本当に大事なのは、
一時保護された直後から、児童相談所長に対して書面を出し続けること
です。
何を求めるのか。
どの事実を争うのか。
家庭復帰に向けて何を確認するのか。
面会や通信についてどう対応するのか。
児童相談所の説明にどのような問題があるのか。
これらを感情的な電話や口頭の抗議ではなく、書面で残していく。
この積み重ねが重要です。
一時保護直後から適切な書面対応をしていれば、施設入所に進みにくくなります。
仮に28条審判に進んだとしても、それまで児童相談所長に出してきた書面を、家庭裁判所に提出することができます。
つまり、28条審判になってから慌てて主張を作るのではなく、
一時保護直後から、裁判所にも見せられる記録を積み上げておくこと
が重要なのです。
もう一つ、大事なことがあります。
施設入所になったら終わり、ではありません。
施設入所になったあとでも、家庭復帰に向けて書面を出し続けることはできます。
むしろ、施設入所後こそ、淡々と書面を出し続ける必要があります。
子どもを家庭に戻すために、何が必要なのか。
児童相談所は何を問題にしているのか。
どの条件が整えば家庭復帰できるのか。
親は何をすればよいのか。
面会や外泊はどう進めるのか。
これらを曖昧にしたまま、ただ「返してください」と言い続けても、状況は動きません。
必要なのは、怒鳴ることではありません。
泣きつくことでもありません。
裁判で一発逆転を狙うことでもありません。
所長に書面を出し続けることです。
児童相談所問題では、多くの人が「弁護士を探そう」「裁判で戦おう」と考えます。
もちろん、必要な場面もあります。
しかし、児童相談所対応は時間との勝負です。
見つからない弁護士を探している間に、時間だけが過ぎていく。
感情的に争っている間に、児童相談所側の書面だけが積み上がっていく。
親側は「虐待していない」と言うだけで、家庭復帰に向けた具体的な記録を残せていない。
これでは、児童相談所の流れに乗せられてしまいます。
28条審判は、親の無実を晴らす舞台ではありません。
児童相談所の申立てを、家庭裁判所が認めるかどうかの手続です。
だからこそ、親側は、児童相談所の申立てに対抗できる材料を、事前に積み上げておく必要があります。
そのために必要なのが、書面対応です。
施設入所に同意するか。
同意しないか。
もちろん、親にとっては重大な問題です。
しかし、そこで思考停止してはいけません。
本当に重要なのは、
子どもを家庭に戻すために、何を記録し、何を求め、何を積み上げるか
です。
施設入所に同意しようが、同意しまいが、家庭復帰に向けた対応は必要です。
施設入所になってからも、書面は出せます。
28条審判になっても、それまでの書面は使えます。
一時保護直後から書面を出していれば、そもそも施設入所に進みにくくなる可能性もあります。
だからこそ、児相対応で最も大事なのは、
怒鳴らず、感情的にならず、児童相談所長に書面を出すこと
なのです。
こうした一時保護解除、施設入所、里親委託、28条審判への対応について、電子書籍にまとめています。

児童相談所・児相に怒鳴るな 所長に書面を出せ
一時保護解除・施設入所・里親委託・28条審判に対抗する行政手続マニュアル
誤認保護マニュアル
児童相談所に一時保護された当事者だけでなく、親族、支援者、相談を受ける立場の人にも読んでいただきたい内容です。
児童相談所対応は、時間との勝負です。
「虐待していない」と訴えるだけでは足りません。
「裁判で分かってもらえるはず」と考えるだけでも足りません。
必要なのは、家庭復帰に向けて、淡々と書面を出し続けることです。
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児童相談所の一時保護、施設入所、28条審判で悩んでいる方は、ぜひ一読してください。
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