2026/8/9
最近、東京23区でも「家庭ごみ有料化」の議論が出ています。
その理由の一つが、東京都の最終処分場の問題です。
新たな最終処分場を確保することは難しい。だから、ごみを減らして埋立量を減らし、今ある処分場を一日でも長く使いたい。
有料化を「やむを得ない」と考える方の思いも、ここにあります。
私も、この考え方は理解できます。
ただ、一つ疑問が浮かびました。
家庭ごみを有料化すると、最終処分場の寿命は実際にどのくらい延びるのでしょうか?
10年なのか。
1年なのか。
それとも、数か月なのか。
区民の皆さんに継続的な負担をお願いするのであれば、その効果を数字で確かめてから議論したい。
そこで、まずはここから調べてみました。
「そもそも渋谷区の家庭ごみって、年間何トンあるんだろう?」
令和6年度、渋谷区から出たごみは年間約10万トン。
でも、このすべてが家庭ごみではありません。
約10万トンのうち、民間の収集業者との契約などで処理される事業系ごみが、約5万6千トンあります。
すると残りは、区が収集する約4万4千トン。
「じゃあ、この4万4千トンが家庭ごみ?」
と思いますよね。
私も最初はそう思いました。
ところが、これも違いました。
皆さんも朝、小さなお店や飲食店の前に「有料ごみ処理券」が貼られたごみ袋を見たことはないでしょうか。
あれは家庭ごみではなく、小規模な事業者が出している事業系ごみです。
そして、こうしたごみは家庭ごみと同じ清掃車で回収されます。
つまり、
区が収集する約4万4千トン
=
「家庭ごみ + 小規模事業者のごみ」
ということです。
では、本当の家庭ごみは何トンなのでしょうか?
そこで渋谷区が行っている「ごみ組成調査」を見てみました。
令和4年度の調査では、区が収集するごみの割合は、
家庭系 約71%
事業系 約29%
と推計されています。
この割合などをもとに令和6年度の数字を整理すると、
区が収集するごみ 約4万4千トン
↓
そのうち事業系 約1万2千トン
↓
家庭ごみ 約3万1千トン
となります。
最初は「渋谷区のごみは約10万トン」と聞いていました。
でも、一つずつ中身を見ていくと、家庭ごみは約3万1千トン。
家庭ごみ有料化の効果を考えるなら、まずはこの「約3万1千トン」が出発点になりそうです。

ここで、もう一つ気になることがあります。
「家庭71%・事業29%」という割合を調べたのは令和4年度。
まだコロナ禍の影響が残っていた時期です。
渋谷区は飲食店や店舗、オフィスの多い街ですから、現在調査すれば、事業系ごみの割合がもっと高くなる可能性もあります。
もちろん、これはまだ推測です。
ちょうど令和8年度に新たな組成調査が予定されています。
結果が出れば、「現在の家庭ごみは本当は何トンなのか」も、改めて確認できます。
では次に、
家庭ごみ3万1千トンがそのまま処分場に行くのか?
答えはNOです。当然焼却され、のこった灰が最終的に処分場へ運ばれます。
ここを調べてみます。
もちろん、家庭ごみ約3万1千トンが、そのまま最終処分場へ行くわけではありません。
その大部分を占める可燃ごみは、清掃工場で燃やされます。
可燃ごみを燃やしたあとに残る焼却灰は、重さにしておよそ4~5%とのこと。
そこで家庭ごみ約3万1千トンを使って単純計算すると、
3万1千トン
↓ 焼却
約1,240~1,550トン
おおよそ、このくらいの規模になります。

ここまで調べて、一つ見えてきたことがあります。
家庭ごみ有料化によって、
「ごみが○千トン減ります」
と聞くと、その数字の大きさに目がいきます。
でも、最終処分場の延命が目的なのであれば、本当に見るべきなのはその先です。
家庭ごみが何トン減るのか。
そして燃やしたあと、最終的に処分場へ運ばれる量が何トン減るのか。
さらに、その結果として、
「最終処分場の寿命がどのくらい延びるのか」
ここまで見なければ、有料化の効果を判断することはできないと思います。
そして、ここから先を計算するには、まだ大事な数字が足りません。
ここからが次の疑問です。
そもそも東京都の最終処分場には、あとどのくらいの容量が残っているのでしょうか。
そして、よく言われる「あと50年以上」という寿命は、いったいどのように計算されているのでしょうか。
ここが分からなければ、
家庭ごみ有料化で処分場の寿命が10年延びるのか、1年なのか、数か月なのか。
まだ答えは出せません。
次回は、この「最終処分場の寿命50年」の算定根拠から調べていきたいと思います。
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ヤノ ケイタ/38歳/男
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