2026/8/23

8月23日未明、茨城県南部を震源とする地震があり、東京都内でも強い揺れが観測されました。その直後、江東区清澄の路上で大量の水があふれ、SNSや一部報道では「水道管破裂」という言葉が飛び交いました。
しかし、東京都水道局の発表によれば、水道管そのものは破裂していません。原因は、水道管に取り付けられた「空気弁」という付属設備でした。断水も起きていません。

「管が無事なのに、なぜ道路から水が噴き出すのか?」—この一見不思議な現象には、はっきりした仕組みがあります。地震のあとに繰り返し起きてきた現象でもあり、知っておくと報道の受け止め方が変わります。
空気弁は、水道管の中に溜まった空気を外に逃がし、工事や点検の際には逆に空気を取り込むための小さな設備です。空気は管路の高い場所に溜まる性質があるため、空気弁は地形的に高くなった地点の路面下に設置されています。歩道や車道で見かける四角い金属の蓋の下に収まっているのが、この空気弁です。
内部には「フロート」と呼ばれる浮き玉が入っています。通常時は、管内の水圧でフロートが押し上げられ、空気の出口(空気孔)に密着してフタの役割を果たしています。水は外に出ない—これが平常時の状態です。
地震の強い揺れが起きると、水道管の中の水圧が一時的に大きく低下することがあります。水圧が下がるとフロートを支える力が弱まり、フロートが下がって空気孔が開きます。
問題はその後です。水圧が急速に回復すると、管内に水が勢いよく流れ込みます。このときフロートは、上から流れ込む大量の水流に浮力が押し負けて浮き上がることができず、空気孔を塞ぎ切れないまま、開いた隙間から水が噴き出す—これが「水道管は無傷なのに道路が水浸しになる」現象の正体です。

つまり、地震時の急激な水圧変動が引き金であり、管の破損とはまったく別のメカニズムです。
空気弁の蓋は、実は誰もが日常的に通り過ぎています。見つけるコツは「管路の高い場所」を意識することです。空気は水より軽く、管の中で高い所に集まるため、空気弁もそこに設置されるからです。
具体的には、橋のたもとや橋の上の路面、坂道の頂上付近が典型的な設置場所です。平坦な土地でも、長い直線の水道管には一定間隔で設けられています。蓋は格子模様の入った四角い(または丸い)金属製で、「空気弁」や「水道空気弁」の文字が鋳込まれています。人が出入りする下水道のマンホールよりも一回り小さいのが特徴です。この記事のアイキャッチ画像が現物です。
一度認識すると、意外なほど身近にあることに気づくはずです。次に橋を渡るとき、足元を見てみてください。
この現象は今回が初めてではありません。2021年10月の千葉県北西部地震(最大震度5強)の際にも、都内の複数箇所で空気弁からの漏水が相次ぎ、その後、原因の検証と対策が進められてきた経緯があります。首都圏で中規模の地震が起きるたびに繰り返し確認されてきた現象の一つと言えます。
漏水の原因が空気弁であれば、該当箇所だけを切り離して止水でき、広範囲の断水にはつながりにくいという特徴があります。実際、今回も断水は発生していません。「道路から水=水道網の危機」と短絡せずに済むことは、災害時のデマや過剰な不安を防ぐうえでも意味があります。
一方で、「破裂ではないから問題なし」とも言い切れません。過去の検証で対策が打ち出されていたにもかかわらず今回も漏水が起きたのだとすれば、対策の進捗や有効性はあらためて確認されるべき論点です。
今回の清澄の事例の詳しい経緯、都の検証報告の中身、そして対策の進捗状況に関する確認ポイントについては、こちらで詳しく分析しています。
▶ 詳しい分析はこちら:「水道管破裂」ではなかった —地震後の江東区清澄の漏水と空気弁のメカニズム
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ホーム>政党・政治家>中島 ゆうたろう (ナカジマ ユウタロウ)>空気弁とは|地震後の漏水は「水道管破裂」とは限らない理由