2026/5/11
【大和市・事務事業シリーズ】
▶︎No.7
▶︎『認定保育施設運営費助成事業』
▶︎目的:認定保育施設の円滑な運営を推進し、保育所入所待機児童の解消を図ります。
▶︎事業担当:こども部ほいく課
▶︎実施手法:直営
▶︎所感:「大和市の「認定保育施設運営費助成事業」は、国や県の義務付けのない市の単独事業で、2025年度の総事業費は2,381万円、財源は全額が市民の税金です。藤沢市など近隣市にも同様の仕組みはありますが、制度設計は各市が独自に行うものであり、だからこそ費用対効果の検証と市民への説明責任が特に重要だと考えています。」
🟦コラム🟦
大和市議会議員の星野翔です。今回は「認定保育施設運営費助成事業」について、制度の位置づけから評価の問題点まで整理してみたいと思います。
まず、この事業が何をしているのかを確認します。認可保育所に入りたいのに定員が埋まって入れない「保留児童」のための受け皿として、市が独自の基準で認定した保育施設が「大和市認定保育施設」です。現在、市内に4か所あります。支援の中身は2つで、施設の運営事業者への助成と、施設を利用する保護者への保育料補助です。保育料補助は月額最大1万円が上限です。2025年度の予算は事業費だけで約1,997万円、人件費を加えた総事業費は2,381万円になります。
次に、この事業の制度的な立場を確認しておきます。認可保育所は児童福祉法や子ども・子育て支援法に基づく国の制度ですが、「大和市認定保育施設」への運営費助成は国や県の義務付けがない市の独自事業です。実際、財源の内訳を見ると国支出金も県支出金もゼロで、2025年度予算の全額が大和市の一般財源、つまり市民の税金です。同じような仕組みは藤沢市の「藤沢型認定保育施設保育料補助金」など近隣市にも存在しますが、いずれも各自治体が独自に設計しており、国が定めたルールではありません。
ただ、以前は県からの補助もありましたが、子ども・子育て新支援制度により「認可施設」中心に再編され、廃止されました。
こうした事業だからこそ、費用対効果の検証と説明責任が特に重要になります。ところが私が今回の評価表を精査して最も強く感じた問題は、評価の論理が根本から成り立っていないという点です。この事業の目的は「待機児童の解消」と明記されています。ところが評価表のKPI、つまり成果を測る指標として設定されているのは「補助対象の施設が何か所あるか」と「何人の子どもに補助したか」の2点だけです。これはあくまで事業をどれだけ実施したかを示す指標であって、待機児童が実際に減ったかどうかを直接測るものではありません。目的と指標が対応していないのです。
さらに、その指標でさえ目標を大きく下回った年があったという事実です。2023年度の補助対象児童数の目標は348人でしたが、実績は177人で達成率は51%でした。翌2024年度は目標240人に対して202人で達成率84%と改善しましたが、まだ目標に届いていません。ところが市の自己評価はどちらの年も「成果A、十分に成果を上げている」です。目標の半分しか達成できていない年に最高評価がつく。このズレについての説明は、評価表のどこにも書かれていません。問題が課題として認識されないから、方針は3年連続「現状のまま継続」になっています。目的・成果・課題・方針という評価のサイクルが、完全に空回りしている状態です。
加えて、計画の切り替えという重要な背景があります。この評価表が作られた2024年度は、旧計画「ハートンプラン」の最終年度でした。2025年度からはこども基本法を踏まえた「大和市こども計画」がスタートし、「子どもまんなか社会」「子どもの最善の利益」という考え方が市の施策の軸になっています。
受益者負担の観点からも整理しておきたい点があります。補助を受けている子ども1人あたりの年間公費負担は試算で約10万円です。認可保育所に入った場合の公費負担が年間120万円超と言われることと比べると、費用効率の面では優れた側面もあります。一方で全額が市民の税金である以上、「なぜこの目標値なのか」「効果はあるのか」を市民に説明する責任が市にはあると私は考えます。2025年度の補助対象児童数の目標は前年実績から66%増の336人に設定されていますが、その根拠も評価表には記載されていません。支援の仕組みを維持することと、その仕組みを正しく評価することは、別の話です。新しい計画がスタートした今こそ、評価の仕組みも一緒に見直す機会ではないかと感じています。
🎙️YouTube解説ラジオ🎙️
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【⚖️関連法令】
・児童福祉法
・子ども・子育て支援法
・こども基本法
【📗関連計画】
国:こども大綱|こども未来戦略|子ども・子育て支援に関する基本指針
県:かながわ子どもみらいプラン
市:大和市こども計画
【💵関連補助金】
国:なし
県:なし



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