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街路樹が消える本当の理由②と国の施策

2026/5/25

街路樹は減るのに民間には「植えなさい」?国が推進する『都市緑化補助』のウラ側

| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員

前回の記事では、全国の自治体が抱える「安全リスク」や「財政難」によって、街路樹が苦渋の決断として伐採されている実情をお伝えしました。

※前回の記事をまだお読みでない方は、ぜひこちらからあわせてご覧ください。
【前回の記事】街路樹が消える本当の理由|安全リスクと財政難の板挟みになる自治体の実情

そんな中、「行政が木を切っているなら、国は都市の緑化を諦めてしまったのか?」と思われるかもしれません。しかし、実はその真逆です。国は今、民間(企業、マンション、商業施設、そして個人宅)に「木を植えてもらう」ために、強力な後押しや補助金を出しているのです。今回は、一見矛盾しているようにも思える、これからの都市緑化政策の「ウラ側」と具体的な支援の仕組みについて解説します。


1. 国土交通省が進める「民間事業者への強力な支援」

国(国土交通省)は、民間企業が先進的な緑化や脱炭素につながる都市開発を行う際、金融支援や税制優遇を受けられる仕組みを整えています。

優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG)

民間事業者が都市緑地法に基づき、地域の生態系や周辺環境に配慮した質の高い緑地を整備する場合、その計画を国が認定・支援する制度です。民間資金を呼び込みながら、都市の「緑の拠点」を確保する狙いがあります。

グリーンインフラ活用型都市構築支援事業

単に景観を良くするためだけでなく、「雨水を一時的に貯める機能を持った緑地」など、都市の防災(洪水対策など)に貢献する民間側の植栽整備に対しても、地方公共団体を通じて国からの補助の枠組みが用意されています。

2. 身近な窓口となる「民有地緑化補助金」の仕組み

国の大方針を受け、実際に皆さんの手元に届く資金援助(補助金)の多くは、各地方自治体が窓口となって支給されています。これらは大企業だけでなく、一般の個人住宅も対象になるケースが多いのが特徴です。

屋上・壁面緑化への助成

都市熱(ヒートアイランド現象)を和らげるため、民間ビルやマンションの屋上・壁面に樹木や植物を植える際、工事費用の「2分の1」や「3分の2」などを補助(上限数十万~数百万円)する自治体が全国に数多く存在します。

接道部(道路に面した場所)の生垣・植樹への補助

前回の記事で「日本の道路は狭くて街路樹を植える余裕がない」という課題を挙げました。これを解消するために、「民家の敷地内の、道路に面した場所に木を植えたり生垣を作ったりして、街に木陰を作ってほしい」というアプローチです。1メートルあたり数万円といった形で、生垣の設置費用や植樹費用を助成する制度が広く導入されています。

3. 「緑化義務化」というアメとムチ

自治体は補助金を出す(アメ)だけでなく、一定規模以上の建物を建てる民間事業者に対しては、「敷地面積の〇%以上には必ず木や植物を植えなさい」という条例(緑化義務化条例や風致地区のルール)を定めています。これによって、都市に必要な緑の最低ラインを民間の力で担保する仕組みにしています。

政策のウラ側:なぜ行政ではなく「民間」なのか?

自治体が公道の街路樹を減らす一方で、民間に補助金を出してまで植えさせようとするのはなぜでしょうか。そこには、都市経営における冷徹とも言える「管理責任の移転」という本音が隠されています。

区分 公道上の街路樹(行政管理) 敷地内の民間緑地(民間管理)
管理費用 すべて自治体の税金(財政を圧迫) 一義的には所有者や企業が負担
安全リスク 倒木時の賠償責任はすべて行政 敷地内のため、所有者が安全を管理
苦情対応 「落ち葉を掃除しろ」と行政に苦情が集中 自身の敷地内のため、トラブルになりにくい


 

つまり行政としては、「地球温暖化や猛暑対策のために都市全体の木陰は増やしたい。しかし、行政がこれ以上管理リスクと予算を抱え込むのは限界。だからこそ、補助金を出してでも、民間の敷地の中で安全に緑を育てて管理してもらおう」という戦略をとっているのです。


これからの官民連携のあり方

これからの時代の都市緑化は、お上(行政)がすべてを整備して管理する時代から、行政がルールと資金でサポートし、民間がそれぞれの敷地で緑を育てる「官民連携(パートナーシップ)」の時代へと完全に移行しています。

街の木陰を守り、次世代に豊かな環境を残していくためには、行政の都合だけで木を切するのではなく、民間の知恵や土地をいかに活かしていくかという視点が欠かせません。地域の持続可能な街づくりに向けて、どのような制度が最適なのか、これからも現場の声を大切にしながらしっかりと議論を重ねてまいります。

| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員

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