2026/6/30
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
経済ニュースを読んでいると、雇用情勢と物価の動きがセットで語られることが多くあります。実はこの両者には、切っても切れない深い関係があると考えられてきました。今回は、経済政策を考える上で欠かせない基礎知識である「フィリップ曲線」について解説します。
フィリップ曲線とは、失業率が低いときにはインフレ率が高くなり、失業率が高いときにはインフレ率が低くなるという負の相関関係を示したグラフのことです。1958年に経済学者のA.W.フィリップスが英国のデータを分析して発表しました。
この理論が示唆するのは、政府や中央銀行が直面する「究極の選択」です。失業を減らして雇用を安定させようと景気を刺激すれば、物価が上昇してしまいます。逆に物価を抑えようとすれば、景気が冷え込み失業者が増えることになります。この関係をトレードオフ(二律背反)と呼びます。
フィリップ曲線の議論で重要なのは、時間の経過とともにその性質が変わるという点です。
短期的には、景気対策によって失業率を下げる効果が見られます。市場に資金を供給し、需要を創出することで雇用が生まれますが、その代償として物価は上昇します。これが「右下がりの曲線」として描かれる一般的なフィリップ曲線です。
しかし、経済学者のミルトン・フリードマンらは、長期的にはこの関係は成立しないと主張しました。人々が「物価は上がるものだ」と予想し始めると、賃金上昇が物価上昇に追いついてしまい、結局、失業率はその経済が持つ本来の水準に戻ってしまうからです。この水準を「自然失業率」と呼び、長期的なフィリップ曲線は垂直になると考えられています。
近年の先進国では、失業率が下がっても物価がなかなか上がらない現象が見られます。これを「フィリップ曲線のフラット化」と呼びます。以下の表に、その主な要因を整理しました。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| グローバル化 | 安価な輸入品の流入により、国内の雇用情勢に関わらず物価が抑制される。 |
| 労働市場の変化 | 働き方の多様化や労働組合の交渉力低下により、賃金が上がりにくくなった。 |
| 技術革新 | AIや自動化の進展が、コスト削減と価格競争を加速させている。 |
フィリップ曲線は、かつてのような単純なモデルでは説明しきれない部分も出てきています。しかし、雇用と物価のバランスをどう取るかという視点は、地方自治や国政においても極めて重要なテーマです。
変化の激しい現代だからこそ、古典的な理論を基礎としつつ、常に新しい経済状況を冷静に分析していく姿勢が求められています。
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
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