2023/8/23
文京区民だけでなく、広く不動産業界でも知られる都会のマンション廃墟「ル・サンク小石川後楽園」にようやく動きがありました。8月22日に土地建物の所有者であり開発業者でもある道路舗装大手のNIPPOが近隣住民への説明会を開催しました。出席者によると、説明会にて同社は建物を解体し現行の規制に準じた建物に建て替える方針を表明したそうです。新しい建物の具体的な設計はこれからとしつつ、今の建物より2階低い6階建てにすることは明言したとのことです。
ルサンクは文京区小石川2丁目の急坂に立つ建築基準法上は地上8階、地下2階、100余戸のマンションです。2012年に建築確認を受けて建築が始まりましたが、近隣住民からの審査請求をきっかけに、ほぼ完成した2015年に建築確認が取り消されました。結果的に建物を合法的に完成させることができず、分譲も中止(返金処理)となりました。それ以来、未利用となっています。
建築確認が取り消されたのは法令に適合しない部分が見つかったからです。軽微なものなら修正が可能ですが、2014年に文京区が絶対高さ規制を導入して高さ制限を大幅に強化したこともあって現行の基準に合わせるのは困難となっていました。NIPPOは建築確認取り消しの取り消しを求める訴訟などをしてきましたが、2019年には最高裁で棄却。ジョイント相手だった神鋼不動産も撤退してしまい、今後どうするのか注目されていました。
結果的に解体・建て替えとなりましたが、遅すぎたとはいえ事態が良い方向に向きそうなのは評価したいと思います。元はといえば近隣住民と信頼関係を築くことができず、様々な批判を浴びる中で法令違反まで指摘されてとん挫した開発です。しかも建築確認の取り消しは実は2005年と2019年の2回起きているのです。詳細な経緯は膨大になるので省きますが、最初から相当ずさんな計画であり、合意形成のありかたも稚拙であったことは間違いないといえるでしょう。NIPPOにはこの点をしっかり反省して、より良いマンションを作ってもらいたいと思います。
文京区内ではマンションの建築紛争は多数起きています。マンション建設反対の理由は多岐にわたり、必ずしも「そうだその通り」とは言いにくいようなものもあります。業者としては利潤を最大にするよう動かざるを得ませんので、法令違反がない限りはなかなか近隣の意見を取り入れるのは難しく、結果的に対立がエスカレートしがちです。
このことはより良い街づくりという観点ではマイナスしかありません。区のイメージも悪くなるし、まともな業者が進出にしり込みすることにもつながりかねません。事前に近隣との利害を調整する制度や、独自の規制(高さだけでなく沿道緑化、壁面後退、公共用途への提供などなど)を設けることで紛争をなくせれば、結果的に住民にも業者にも利益がもたらされる可能性があると思います。
ルサンクに関しては権限外とはいえ区からも近隣に配慮を求める7項目の要望がNIPPOに対して出ていました。私としては引き続きこれらの項目を区から業者に求めていくよう区に要請したいと思います。これ以上この問題で不幸になる人が出ないように今後もこの問題をフォローしていきたいと思っています。
★こぼれ話
・説明会では昔の担当者がいかに態度が悪かったかという恨みつらみが複数の住民から出たとのこと。いまだに語り草になっているというのは驚きです。
・NIPPOはこの件で相当にイメージが悪化しました。本来なら解体後に土地を売り、別業者が新規に開発をした方がいいように感じます。それをしないのはURからの土地購入時の条件として「転売禁止」というのがあるためのようです。URとしては土地転がしは困るということでしょうが、今さらながらURに態度を改めてもらうことはできないものでしょうかね。
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