2024/9/26
王寺町議会の令和6年第3回定例会(9月6日~19日)において、本会議2日目に一般質問があり、私(中井一喜)は1番目、1問目に「奈良県 県域水道一体化~王寺町単独経営から奈良県広域水道企業団への移行~について」4点質問し、町水道部長から回答いただきました。
(県域水道一体化の背景)
県内水道事業は、共通して、人口減少に伴う給水収益の減少、水道施設の老朽化による更新需要の増加、職員の減少による技術力の低下など、困難な課題に直面している。
(これまでの主な経緯)
奈良県では、平成30年度に県及び関係市町村等により県域水道一体化検討会を立ち上げ、検討協議を進めるとともに、平成31年3月、その方向性を示した「新県域水道ビジョン」を策定した。令和3年1月、関係団体間で「水道事業等の統合に向けた覚書」が締結、同年8月、奈良県広域水道企業団設立準備協議会(以下「協議会」)が設立され、検討協議を重ね、令和5年2月、県、関係26市町村及び奈良広域水質検査センター組合の長により、一体化後の運営方針である基本計画が策定されるとともに、「水道事業等の統合に関する基本協定」が締結された。そして、令和6年7月29日、奈良県広域水道企業団(以下「企業団」)規約案及び基本計画改定案が協議会において了承され、全構成団体が各9月議会へ企業団設立議案の提案を行うもので、本町においても初日(9月6日)に令和6年11月の一部事務組合(企業団)設立、来年(令和7年)4月の事業統合に向けて規約等の議案が提案され可決された。
(県域水道一体化の目的)
県域水道一体化は、前述(背景)の課題に直面する水道事業体が、広域で連携して、○施設の老朽化対策・耐震化等による強靱化と、○そのために必要な収入の確保により財政基盤の強化を図ることにより、安全で安心な水道水を将来にわたって持続的に供給することを目的としている。
(県域水道一体化のメリット)3つの面
〇施設整備面では、市町村の区域を越えて施設・設備を最適化、施設整備の投資に国の交付金に加えて県の財政支援を活用し更新を推進する。
〇水道料金面では、市町村が個別に単独で経営するよりも、将来の料金上昇を抑制する。
〇事業運営面では、市町村の区域を越えて人員、ノウハウなど人的資源を有効活用する。業務の標準化やIT環境の共通化などにより、業務効率を向上する。
・事務所は企業団設立当初は構成団体の事務所とし、業務の標準化・効率化等を図りながら、令和16年度までを目途に5エリア程度への集約を目指すとされ、職員は当分の間、構成団体からの派遣により対応し、順次企業団への身分移管及び新規採用を実施するもので、その方針を令和7年度中に整理するとされている。また、企業団は下水道の事業の移管を受けないことから、各市町村は下水道事業の組織のあり方について、令和6年度中に整理し分離する必要がある。
【質問】
県域水道一体化はその目的やメリットから、私も本町にとって将来を見据えた最善の選択であると認識しているが、改めて次の4点について伺う。
①王寺町のメリット、水道料金、施設整備等の王寺町単独経営と県域水道一体化(企業団)との比較は
②王寺町にとって懸念されることはないか
③速やかな現場対応(水道管の破裂・漏水等)は引き続き可能か
④県域水道一体化により分離される下水道事業の組織の体制は
【回答】(水道部長)
①王寺町単独経営と県域水道一体化(企業団)との比較は
水道料金(供給単価)は、令和7年度から令和11年度までの町単独経営での5年間は222円、企業団では189円と企業団のほうが33円安くなる。また、令和32年度から令和36年までの5年間では、町単独経営で302円、企業団では288円と、企業団のほうが14円安く、水道水を供給することができる。施設整備費は、水道事業の一体化に伴う「広域化事業」(浄水場廃止に伴う連絡管などの整備)と「運営基盤強化事業」(市町村の配水管等の更新)があり、それぞれ国の交付金事業として事業費の3分の1が交付される。交付期間は一体化後の令和7年度から令和16年度までの10年間。企業団ではこの2つの事業費を10年間で634億円と推計しており、国の交付金211億円に加えて奈良県独自の財政支援として、国の交付金と同額の211億円、合計422億円の財源が見込まれ、企業団負担は212億円となる。
一方、単独経営での管路更新のケースでは、毎年約2億円規模の更新を計画していたことから、財政面において現行の交付率が4分の1と低い国庫補助メニューである「重要給水施設管路」に係る補助メニューの活用となることから、現金預金の取崩しや企業債の借入れで対応する必要がある。このことからも、水道料金の値上げ幅が企業団の値上げ幅より大きくなってしまう。
次に、施設整備などの比較は、企業団では一体化後の全体予算ベースでの管路更新率や基幹管路耐震化率は示されているが、その根拠となる各構成団体別の管路更新計画が示されていないことから、単独経営での管路更新計画に基づく管路更新率などとの比較はできない。
なお、王寺町で策定した「管路更新計画」を企業団に提出し、一体化後も毎年少なくとも同規模以上の管路更新につながるよう要望している。
王寺町の現在の水道管路延長は約112㎞あり、平成25年度に管路更新計画を策定の上、平成26年度から布設後40年以上経過した重要度の高い管路(口径150mm以上)を優先的に耐震管(震度6強程度の耐震性を有する管)にするとの方針の下で更新工事を実施してきた。令和5年度末の王寺町の管路延長(口径150mm以上)は約42㎞あり、管路更新率は24.6%、令和6年度末は26.0%の見込みで、企業団で管路更新が始まる令和7年度末で27.9%、町が策定した計画のとおりに管路更新が進めば、令和16年度末で47.5%程度と見込んでいる。
企業団が公表している施設整備に関する主な指標の見通し(又は目標)のうち、管路更新率を見ると、各団体が単独経営で行った場合は、統合後の10年平均で0.67%、企業団では1.13%と、企業団のほうが管路更新率は高くなる。また、基幹管路耐震化率で見ると、各団体が単独経営で行った場合は、統合後の10年平均で41.6%、企業団では46.2%と、企業団のほうが基幹管路耐震化率も高くなる。
②王寺町にとって懸念されることは
令和16年度を目途に水道事務所の集約化を予定しているが、場所やどの構成団体と集約するか決まっていない。集約場所によっては、職員が漏水などの現場に向かう時間が長くなると想定され、速やかな住民対応が現行より難しくなる可能性がある。
③速やかな現場対応(水道管の破裂・漏水等)は引き続き可能か
令和16年度の集約化までの間は水道管の破裂や漏水などの現場対応は、現行どおり速やかに行うことができるが、令和16年度以降は、②で回答したとおり、速やかな現場対応には課題があると認識している。
④県域水道一体化により分離される下水道事業の組織の体制は
上下水道課は職員9名で、上水・下水を兼ねて従事している職員もいることから派遣職員数はまだ確定していない。今後、企業団のヒアリングを受け、年内には確定する予定である。
・令和7年度以降は、企業団として水道事業を行うこととなるが、町が策定した「管路更新計画」が実施できるよう、強く要望していくとともに、事務所の集約化では、住民サービスの低下につながらないよう、協議を進めていく。
【再質問】
統合後の5年間の供給単価を計算したが、王寺町の場合、水道料金は口径20mmでは水道使用水量が45㎥未満の場合、県域水道一体化後は料金が企業団の方が安くなる。但し、使用水量が45㎥以上の場合は逆に値上げとなるが、単独経営に比べて料金が上がらないよう、統合後5年間は必要な経過措置を講じるものとされている。ちなみに王寺町で使用水量45㎥以上の世帯の全世帯に占める割合は。
【回答】(水道部長)
令和5年8月から令和6年7月までの平均割合は1.2%である。
【再質問】
施設整備について統合後10年間、令和7年から16年度に限り措置される国の交付金、県の財政支援、それぞれ事業費の3分の1を活用し、水道施設の広域化と老朽管の更新を積極的に推進するもので、町単独経営での管路更新率との比較はできないものの、企業団基本計画の見通しは、管路経年化率、管路更新率、浄水施設耐震化率、基幹管路耐震化率及び基幹管路耐震適合率の全てにおいて、統合10年後、30年後において単独経営に比べて数値が改善されるのですね。
【回答】(水道部長)
そのとおりです。
【再質問】
答弁されたように、統合後10年間は王寺町が平成25年度に策定した「管路更新計画」どおりの管路更新を水道料金の上昇を抑制しながら進めることができると想定されているわけですね。
【回答】(水道部長)
そのとおりです。
【再質問】
2点目の王寺町にとって懸念されることについて、3点目の速やかな現場対応(水道管の破裂や漏水等)が引き続き可能かという課題をやはり認識されているわけですね。
【回答】(水道部長)
そのとおりです。
【再質問】
私はあと2つ懸念している。1つは、工事執行に係る入札契約制度である。企業団では、令和11年度からの統一を目指すこととし、統一までの間は各構成団体における制度により運用するとしている。これまで王寺町においては、地域活性化の観点から地元企業が受注し地域経済に貢献することも大切であることや、不良不適格業者の排除から、大規模な事業を除き、指名競争入札により受注者を決定してきた。県域水道一体化により、施設整備においては更新が推進されることから、事業費や事業量が拡大することが期待できるが、地域の実情に精通し、迅速な現場対応が可能な地元事業者の受注の機会が心配される。新たな入札契約制度への移行に関し、適時適切な案内など、町として出来るだけの支援をお願いしたいがどうお考えか。
【回答】(水道部長)
企業団で入札と契約関係について協議を進めている。各団体からも緊急対応というのは地元業者にお願いしているところもあるので、その辺考慮した形での考えを示してほしいということは企業団にも協議している。今後、業者へ早い段階でお知らせ出来る内容が決まれば、早急にお知らせするということも企業団と話している。
【再質問】
既に王寺町としても企業団に協議をいただいている。制度の変更についても出来るだけ早く、お知らせできるように要望等をいただいている。今後も引き続きよろしくお願いする。もう1つ、私自身が懸念に感じているのは、事務所の集約化や職員数の適正な規模を目指すことで、企業団へ構成団体の実情や現場の声が届きにくくなるおそれである。どのようにお考えか。
【回答】(水道部長)
現在、企業団と組織の編成、人数についてヒアリングを行っているところである。今後もそういうことの無いように協議、ヒアリングは受けていきたい。
【要望】
最後に、答弁いただいたように、耐震化など必要な管路整備が王寺町が策定した「管路更新計画」どおりに進むことはもちろんのこと、住民サービスの維持や緊急時の対応が後退することのないよう、今後も具体的な検討を進めるにあたってしっかりと要望を含め、王寺町、そして現場の声を届けていただくことをお願いして、県域水道一体化についての質問を終わる。
〇奈良県広域水道企業団本部の位置 田原本町宮古の県有土地・建物(旧田原本町保健センター・子育て広場)

〇主な水源 室生ダム(宇陀市)

〇主な水源 大滝ダム(川上村)

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