2024/6/16
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
今日は、帯状疱疹ワクチンの費用対効果について考えてみます。
川西市の補正予算にて、帯状疱疹ワクチンの補助費用が算定されてしまいました。兵庫県が今年1年限定で、市が補助(2000円)したら、さらに追加で(2000円)を補助しますよという予算を組んだためです。
まぁ、医療経済はガチ研究もされていまして、コスパが良い・悪いでどちらの結果も出ているようですね。私は素人ではありますが、単純な計算をやってみました。
■ ワクチンの種類と値段
帯状疱疹ワクチンは2種類。
ビケン®(生ワクチン):8,000円 発症抑制効果50%程度
シングリックス®(不活化ワクチン):40,000円 発症抑制効果97%程度
■ 帯状疱疹の罹患率
明確な罹患者数は不明ですが、よく引用される宮崎スタディによると、1年間に1000人中6人程度の確立で発症するようです。また、50~80歳までで3人に1人は帯状疱疹になると言われています(あくまで言われている)。後述しますが、新聞報道による煽りには本当に注意です。
参照:宮崎スタディ
■ 帯状疱疹後神経疼痛:PHN
帯状疱疹は、神経に潜んでいた水疱瘡のウイルスが悪さし、痛みを発します。皮膚のぶつぶつ消失後に、3 か月以上にわたって痛みが持続する場合を帯状疱疹後神経疼痛(PHN)と言います。帯状疱疹患者の10~20%程度(色々バラバラ)で、高齢者ほど頻度は高くなるそうです。治療薬は、プレガバリン(神経痛薬リリカ®)やアミトリプチリン(抗うつ薬トリプタノール®)などが使用されます。
■ 帯状疱疹治療薬■
既存の治療薬で十分効果があります。
➡当ブログでも治療療薬について解説しています(クリックして読んでみてね)
■ 計算するための材料
川西市の50~80歳人口:64,792人
シングリックス®の治験データ(観測3.1年:中間値)→添付文書はこちらをクリック
・プラセボ 210人発症 / 7,415人(発症率2.8% 3年間で)
・ワクチン 6人発症 / 7,344人(6÷210=3% →97%の有効性を謳っている)
受診費用 4,000円→国が7割(2,800円)支払っている(以下同様)
治療薬(ジェネリック薬価)1,848円→1,293円
治療薬(先発品薬価)7,140円→4,988円
治療薬(高額薬アメナリーフ®薬価)16,485円→11,539円
■ 計算してみた
国として払う金額を治験の結果ベースで算出してみました。
3割の自己負担は、国としては7割を払っているという計算。仮に50~80歳の川西市人口分全員にワクチンを接種した場合、補助金額が公費としては4000円(市税+県税)で掛け算。発症率は、シングリックス®の治験データを引用して、そのまま計算。公費(税)を比べてみますと、2億5000万円(ワクチン)vs750万円(プラセボ:最安治療)となりました。たとえ高額治療薬を使っても、2000万円ほど。

【さらにワクチンに有利な条件に変えてみた】
治験のプラセボデータではなく、よく言われている50歳以上は3人に1人かかるというのだから、その条件でも再度計算してみました。また、最新のシングリックス®の製薬会社GSKによると、10年間追跡した結果、予防効果は73.2%を維持した(6258人中ワクチンが11人、プラセボが41人)とあります。その報告ベースでも計算してみた。

50歳以降、3人に1人が帯状疱疹にかかる場合、全員が高額薬剤を使用すれば、2億6000万円(ワクチン)と3億1000万円(プラセボ)で、コスパ的にワクチン群が良くなりました。ただ、高齢者が対象なので本来の医療費1~2割がほとんどですし、生活保護ならば医療費は0円ですから、かかる税金はワクチン未接種群にもう少し上乗せされるでしょう。
■ 入院や神経障害治療のリスク
このあたりまで計算するとなると非常に煩雑になるでしょう。少なくとも、入院確率はそこまで高くないのと、短期間で退院となる場合がほとんどです。薬局でも、帯状疱疹は結構身近な疾患で、脇腹痛いっすね…といった、まぁ普通におしゃべりできる状態の人が多い病気です。
もちろん重症化し、入院され、痛みがずっと残ってしまう方もおられるとは思います。でも、その人は多くの場合、なんらかの疾患や抗がん剤治療などで免疫力が崩れている場合もあり、ある意味で限定的かなと思われます。
■ 想像してください
今回は、川西市における補助予算(案)をベースに¥4000として計算していますが、仮にシングリックス®が全公費負担となったとしましょう。川西市民だけで26億円もの費用となります。
兵庫県は、国に対してシングリックス®を含めたワクチンの国費化を要求しています。普通に考えて恐ろしくないですか???ワクチン代金は、外資系企業であるGSK(イギリスの会社)にいくわけですよ・・・。グラクソ・スミス・クラインでGSKなのですが、社名かっこいいですよね~
■ 増えているのは、ホンマでっか?
帯状疱疹は発症率は、冒頭に触れた宮崎スタディのデータが良く引用されています。たしかに 発症人数/1000人/年 は2倍近くにはなっているのですが…薬局サーベイランスと呼ばれる指標があります。全薬局の20%にあたる10,064件の薬局より、処方データを入手して推移を見るデータになります。アシクロビル製剤とは帯状疱疹の治療薬となります。
ご覧ください。確かに近年、急に増加しているところがありますが、昔とそこまで変化がありません。兵庫県だけでみてたら、処方数は横ばいです。急な増加の印象はここからでしょうか。
参照:薬局サーベイランス

■ さぁ、煽る煽る
参照:急増する働き盛りの帯状疱疹 発症率約2倍に増加、予防接種が影響
このように煽る煽る^^;記事には重要なポイントであるこどもの水疱瘡率の低下のことも書かれています。薬局サーベイランスを見ても、確かに減少傾向にあるため、子供からの持続感染による免疫力刺激が重要だったとすると、ヘルペスウィルスと人間は共存関係にあったのか・・・とも考えられますね。いずれにしろ、発症率が2倍!と言われても、宮崎スタディによれば発症率が3/1000→6/1000となっているだけなので、発症しない率は、99.7%から99.4%になったというだけですから。
■ 世論から攻める
なんとなくですよ。計算上、シングリックス®が経済上で良好とは思えないです。国もそう考えているのかとおもいますが、そこからお金を引き出したい場合、世論を誘導して、国会議員にプレッシャーをかけるという手段を講じているのではないかと邪推してしまいます。
■ これは早く研究すべき
最後に紹介するのは新型コロナワクチンによって帯状疱疹が増えたという報告論文です。罹患数がわかりにくい病気のため、正確な数値は出ないのですが、新型コロナワクチンの影響については早く国をあげて調査しろって話です。
参照:高齢者における新型コロナウイルスワクチン接種後の帯状疱疹
6月議会にて議論する部分ですので、事前に研究しました。予算規模は180万円程度ですから、全体予算規模からしたら通しても良いのでしょうけど、アリの一穴という言葉もあるので、ちょっとこだわってみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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