2025/11/21
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
前回は新薬「フジケノン®」をご紹介しましたが(リンク)、今回はそれと対になるような存在、「ウルソ®(ウルソデオキシコール酸)」についてお話しします。
実はこの薬、熊の胆(くまのい)に含まれる成分から発見され、日本人の研究者によって単離された、誇るべき国産の成果なのです。

胆汁酸の不思議な化学構造や、体内での役割、そして現代医療への応用についてわかりやすく整理しました。
■ おさらい:胆汁について
胆汁は、食事中の脂肪の消化吸収を助けます。

胆汁は肝臓で合成され、胆管を通って胆のうにて保管・濃縮されます。
食事が十二指腸を通ったら、胆のうから胆汁が分泌されて、すい臓と連携して消化にあたります。

腸管に分泌された胆汁(一次胆汁酸)は、小腸の腸内細菌にて二次胆汁酸に変化します(代謝)。
■ なぜ変化を起こすのか?
一次胆汁酸は、腸内細菌にとってはあまり好ましくなく、形を変えることで共存できるように進化しました。

その結果、疎水性(油との親和性が高い)が高いものと、バランスを取るようにすごく低いモノが造られました。胆汁酸のなかで、もっとも水に親和性があるのが、二次胆汁酸に含まれる「ウルソデオキシコール酸」なのです。

胆汁酸は、構造自体がほとんど同じ。すこしだけ違うのですが、それで疎水性が大きく変わる。化学のすごいところです。

■ 薬にしちゃえば肝臓の保護に
「ウルソデオキシコール酸」をたくさん飲めば、毒性が弱く、細胞にとってやさしい胆汁に変化するんじゃね?という発想に至ります。そのとおり、ウルソを継続服用すると、胆汁の成分割合に変化が起きます。つまり、より安全な胆汁酸となり、胆石も生じにくくなります。

■ 🐻 熊胆からの発見
ケノデオキシコール酸は、ガチョウの胆汁から発見されました。一方、ウルソデオキシコール酸は、熊の胆のうより発見されました。

そしてウルソデオキシコール酸を単離精製したのは、なんと日本人です。
1927年、岡山医科大学の正田政人氏が発見しました。歴史や日本の研究者が寄与した事実について詳しくは以下の参照資料を読んでいただければよく理解できます。簡単言えば、世界に貢献したということです。
参照:日本生まれの肝・胆・消化機能改善剤 ウルソデオキシコール酸開発の歩み
飛鳥時代から利用されたという熊胆(ゆうたん、クマノイ)。奈良時代には献上品として存在していました。

ラテン語で ursus(クマ)+ deoxycholic acid
意味:「クマの胆汁に含まれるデオキシコール酸」→ウルソデオキシコール酸
昔から東アジアではクマ胆が薬効を持つとされ、江戸時代には処方薬として一般にも出回りました。
今、熊が話題ですよね。胆のうを利用できないのかな。
■ 同じ分子式を持つが、立体配置が異なる
ケノデオキシコール酸とウルソデオキシコール酸は、構造式が全く同じです。

赤丸で示すように、水酸基(-OH)が手前になっているか、奥ばっているかの違いだけで、水や油に対する親和性が異なるのです。めちゃくちゃ不思議ですよね。これを「光学異性体」と言って、実は性質が大きく変わることから、医薬品にも多く存在しています。正直、謎過ぎて探求する気も起きない…。
海外ではサプリとなっていることもあるウルソデオキシコール酸。私もこの薬については、食生活に自信がない方は、恒常的に服用していても良いように思えます。
何かと油ものを取ることが多い現代人。
予防薬としてウルソデオキシコール酸を服用することで、全体の医療費って下がるんじゃない?と思うほどです。なお、一般薬としてドラッグストアでも販売されていますので、非常に安全性の高いものです。温故知新、こういったものをしっかり活用してほしいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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