2025/10/22
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
東京都の小学校で、児童が睡眠導入剤「メラトベル®」を水筒に混入する事件が発生しました。
単なる“薬混入”で片づけられないのは、学校管理体制と医薬品の扱いの両面に問題があるからです。
今回は、使われた薬「メラトベル」がどんな薬なのかを解説します。
【事件概要と不可解な点】

”場所は東京都足立区。新聞報道では、7月7日、小学校で複数の教室が開けられる鍵が紛失。
その後9月26日、運動会の練習中に、児童2人がその紛失した鍵で教室に侵入し、別の児童の水筒に「メラトベル」約3袋を混入した。
他の児童が目撃して学習支援員に知らせたため、水筒の中身を飲む前に発覚。”
もちろん鍵を盗んで水筒に薬を混入させた児童が悪いし、薬の混入だけがクローズアップされるけど、根本の問題は学校の管理体制です。7月7日に盗られているわけですから、他児童に発覚されるまで何度も同じことをしていた可能性は高いと考えるのが自然です。紛失後の施錠体制をそのままにしているというのも、あまりに危機意識が足りないのでは?
メラトベルは、眠前の薬なので学校に持ってきていることも不自然であり、加害児童が処方されていた可能性がありますね。となれば、加害者側は発達障害を有していた可能性があります(後述)。
せっかくなので、今日は使われた医薬品「メラトベル」について深堀りしましょう。
■ メラトベルとは
メラトベルは、小児用の処方医薬品で、神経発達障害児の睡眠障害に使用されるお薬です。販売は2020年と最近の薬で、効果としては、眠りにつくまでの時間が平均30分程度早まる程度です。なんとアメリカではサプリメントグミとしても販売されています(リンク)。

薬効成分は、「メラトニン」そのものです。粉薬には、1g中2mg含まれており、通常は1人あたり0.5g(1mg)を眠前に服用します(最大量は4mg)。今回の事件だと通常量の3倍としても1.5g程度。空腹時でない場合は吸収が低下するし、元々体内生理物質でもありますから、お茶を一口飲んだ程度では何も起こらないかと考えられます。粉薬の添加剤にはマンニトールが含まれているので、やや甘みもあると推測されますし、1.5gも入れられたら味の変化に気づくかもですね。

■ メラトニンの合成
メラトニンとは、自然に人間の脳にある「松果体(しょうかたい)」が分泌されるホルモンで、体内時計の調整ホルモンと認識してもらえば良いです。

松果体で作られたメラトニンは、血流に乗って視交叉上核にあるメラトニン受容体(MT受容体)に作用して、入眠と体内リズムを整えるとされています。

トリプトファンは、食事から摂取できる必須アミノ酸であり、それがセロトニンへ変化し、その後にメラトニンとなります。

研究によれば、自閉症スペクトラム障害(ASD)患者ではメラトニンレベルが低いことが報告されています。その根本的な原因は不明でしたが、メラトニン合成の最終酵素をコードするASMT遺伝子がASD患者の一部で欠失していたとのこと。
参照:自閉症スペクトラム障害におけるメラトニン合成異常
これは遺伝説ですが、夜間の強い光・夜更かし・不規則生活など、いわゆる昼夜逆転による影響も報告されています。
参照:青少年の薄暗い光でのメラトニン発現の推定
自閉症の定義が広がっているため、先天的な人もいれば、後天的な人もおり、混ざっているのが現状でしょうか。
ADHDでもメラトニンが発現するのが遅れる傾向があるそうで、メラトニンを補充すると睡眠状態は改善されました。ただし、ADHDの症状はなんら変化がなかったようです。
参照:ADHDおよび慢性入眠障害におけるメラトニンの睡眠、行動、認知への影響
なお、日本人は遺伝子的にセロトニンが少なくなる傾向にあります(当ブログ参照)。
■ ロゼレム(ラメルテオン)
2010年に新しい入眠剤として登場したのが、メラトニン受容体刺激薬「ロゼレム®」です。初めてのメラトニンに関係する医薬品でした。実務レベルでは、非常にゆるい効果を示し、入眠剤というよりも体内時計調整薬という認識でした。つまり眠れない時だけ飲むよりも、しばらく続けて飲んでくださいな、と言った指導をしていましたね。
成分名は、ラメルテオンです。

当然ではありますが、メラトニンと非常に類似性がある構造ですよね。むしろメラトニンを飲ませればいいのにと思った方もおられるかと。
ラメルテオンは入眠剤としてしっかり血中濃度が上昇して眠気を誘発させるための薬として設計されています。一方、メラトニンそのものを服用するのは、補充することが目的です。効果持続は、ラメルテオンでやや長くなっています。効能は似ていますが、目的がやや異なるのです。
正直、ラメルテオンとメラトニンの同用量で服用した場合、両者を比べても有意差が出るかは微妙だなという印象。海外ではメラトニンがサプリメント化されているのも、その安全性と効果の面からでしょうね。
私もそうですが、電気の力を手にしてからは、体内的にはバグっている状態が続いているのでしょうね。
快晴の太陽光が10,000~100,000ルクス。室内の蛍光灯などで1,000~2,000ルクス。昼間としてはルクス不足。
夜中は月明かりは0.1~0.3ルクス。スマホなどのライトで500~1,000程度。夜としてはルクス過剰。
これが続いているわけですから、これではメラトニン分泌も混乱してしまうのも無理はありませんね。我々の生物としては異常な空間に存在していますね。それを大脳という理性や考える力で無理やり抑え込んでいるのでしょうから、定期的に動物にならないといけませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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