長田 たくや ブログ

【政治】 ドイツの移民政策を知る 【日本は同じ道を歩むのか?】

2025/8/1

こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
ドイツでは、なぜ”極右”と称される新しい政党「AfD」が台頭してきたのか。その背景には、ドイツの移民・難民政策がありました。その経緯を簡単にご紹介します。

【当ブログのドイツシリーズ】
ドイツの新しい政党AfDが台頭した理由
ドイツの移民政策を知る 【同じ道!?】(ここ)
ドイツは今、治安が悪化している

【お話の流れ】
・日本の移民受け入れ
・ドイツの移民政策
・取り返しがつかない失敗


日本の移民受け入れ

外国人受け入れ問題に関する提言
当時の日本政府は、外国人人材について次のような方針をとっていました。
高度人材:受け入れをより積極的に推進
単純労働者:国民のコンセンサスを踏まえつつ、十分慎重に対応することが不可欠

2004年に経団連が出した提言書があります(リンク)。
〝日本の総人口が減少していくなかで、女性や高齢者の力を最大限活用するとともに、労働生産性の向上、就労環境・労働環境の改善を図ることが「まず」は求められるが、そうした対策を講じたとしても、たとえば福祉分野を中心としたサービス産業や農林水産業などにおいて、将来的に日本人では供給不足になる分野が出現することが予想され、また既に供給不足となっている分野も見られる。“

以上のような理由をつけて、外国人の受け入れを推進しています――ちょっと待てぃ!――
「まず」求められている労働環境の改善について、これ本当にやっているのか。例えばインボイスの導入や消費税の増税など、労働環境の悪化につながりかねないものばかり推進しているじゃないか。下記のグラフのように、株主配当金に比べると賃金据え置き状態ですよ…。

参照:新世紀のビッグブラザーへ

日本の本格的な外国人導入
2008年5月、日本とインドネシアの政府間で経済連携協定(EPA)が発効し、日本で看護師や介護士になることを目指す205人のインドネシア人が来日した。国家政策として外国人労働者の本格的受け入れが始まったのは、これが初めてでした。

ドイツの移民政策

 ドイツの移民政策
ここからはドイツのお話です。移民政策に関しては、ドイツが先輩であり、たびたび日本の政策にはドイツがひとつのベンチマークになっていました。まず、おおまかなドイツの政治体制は次のとおりです。

現在の連立政権は、日本で例えるならば「立憲+国民+れいわ」のような感じです。うーん、混乱しそう。
ドイツの移民政策には、①不況 ②左派政権 ③テロの3つの要素があります。

 不況と労働力不足
1950年、労働力不足のためガストアルバイター(出稼ぎ労働者)を外国人に求めました。1973年に起きたオイルショックにより、外国人労働者の募集を停止しましたが、帰国することなく家族を呼び寄せてどんどん増加していきました。帰国支援政策も試みましたが、効果はありませんでした。

1980年代には、移民の増加はあまり問題視されていませんでした。ともに経済的に自立していたため、「うまくいっている」と思われたからです。1970~80年頃には、外国人労働者がドイツ人より低賃金で劣悪な環境で働いていることが問題視されていましたが、失業率では外国人もドイツ人も差が小さかったのです。

1989年、ベルリンの壁崩壊により状況が一変します。
東西ドイツの統一は大きな財政負担となり、ドイツは不況に陥ります。その影響で、外国人労働者の失業率はドイツ人の2~3倍まで膨れ上がり、失業手当や生活保護など社会保障制度を外国人が受けることに対して、国民の間で不満が高まっていきました。
加えて、同時期に難民の流入も増加し、さらに外国人に対する反発が激化。ついにはドイツ人による外国人への襲撃事件が多発し、社会全体が混乱に陥りました。

■ 左派連立政権(SPD+緑の党)
90年代では、失業率が10%ほどにも関わらず、移民労働力への依存は強まっていました。特に看護、介護、清掃業などには、94年は9万3000人の外国人労働者が、99年には12万7000人にまで増えており、全体の四分の一を外国人労働者が占めました。
当時の政権(ドイツ社会民主党:SPD)は、労働組合が支持母体のこともあり、移民政策には消極的でした。しかし、技能労働者不足が深刻化しているという財界からの声を受け、2000年に入り移民政策へと舵を切ったのです。

■ 同時多発テロ
2001年、本格的な移民政策を始めようとした矢先に、同時多発テロ(9.11事件)が発生しました。この事件は、移民政策の内容に大きな影響を及ぼすことになります。当時の欧州各国には、外国人労働者とその家族、留学生、難民など、「イスラム系住民が全人口の5%」を占める形で生活していました。

テロ以前から、宗教的、文化的相違に基づく移民への嫌悪や偏見が存在していましたが、この事件をきっかけに、イスラム系住民への反感や不信感が表面化しました。さらに、同時多発テロの計画や準備段階で欧州諸国にテロリストのネットワークが存在していたことが明らかになり、欧州各国の市民に大きな不安や脅威を与えました。

こうした状況を背景に、2005年に「移民法」が施行されます。この法律では、
①労働移民の受け入れ
②難民保護
③社会的統合政策の推進
④治安対策
が柱とされ、特に④は、テロ以降「移民=治安維持の課題」という観点が強く反映されたものになりました。

取り返しがつかない失敗

■ 統合コース
2005年より移民の統合政策が開始されました。何よりもまずドイツ語でしょ、と教育コースが設けられました。

2005年は約6万名に統合コースが義務づけられていたが、実際に参加したのは約半分だけ、約3万人の不参加者を出しています。また、05年と06年の両年では、約3割しか修了していません。修了したとしても、ドイツ語能力の不足が指摘されていました。
統合コース修了者10.8万人のうち、ドイツ語基礎統一試験を受験したのは6割ほど。そのうちの7割しか合格していませんでした。

ドイツの移民政策における「統合の失敗」という論文(リンク)を参照しました。こちらの論文では、統合の失敗は政府の方針や報道など、受け入れ側の問題に起因するとされています。

■ 教育とグローバリズム
これまでのところで赤字で記した箇所を見返すと「日本はドイツと同じ道をたどっているなぁ」と感じませんか?日本でも日本語教育の施策がつくられています。なんだかなぁ…って感じがします。

参照:日本語教育関係施策等の推進状況について

ドイツと日本がともに「敗戦国」であるという歴史的事実も、移民政策や国家意識の在り方に深く関係しているのではないでしょうか。ドイツは戦前の過去を全面的に否定する立場を取り、日本も同様の傾向がみられます。結果として「愛国心=軍国主義・戦争」といった稚拙な連想が根付いてしまい、国家を大切に思う気持ちすら否定される空気が存在しているのではないでしょうか

「国家を守る」という揺るぎない意思を、国民一人ひとりが共有することがまずは重要ではないかと思います。その意識が政治へと反映され、法律や制度にも反映されることで、外国人も「日本では勝手はできない」という認識が伝わり、結果的に健全な「共生」、犯罪の抑止にもつながるのではないでしょうか。そのために、「日本から見た歴史」すなわち「日本の国史」をしっかりと再評価し、学校教育の中でもしっかり位置づける必要があると強く感じます。

そんな心の隙間のようなところにグローバリズムが介入し、人件費を抑えて株主ファーストとなるような制度へと変えられていった。その被害は、ホストとなる国民だけでなく、労働者として便利使いされる移民にも及んでいると考えられます。

■ 多文化主義は失敗した
2010年、メルケル首相は「多文化主義は失敗した」と発言しました。これは失敗したからといって、やめようということではありませんでした。今のドイツでは移民が労働力として必要ではあるし、難民の受け入れは、ドイツ基本法(憲法)「第16条 (1) 政治的に迫害されている者は、庇護権を有する。」に記載されているため方針が変えられないのだと思います。

2015年9月にメルケル首相は、隣国オーストリアとともに、ハンガリーで足止めを食っていたシリアやアフガニスタンなどからの難民を入国させる方針を発表しました。以下のグラフは難民受け入れ数の推移ですが、これにはドイツ人もびっくりではなかろうか。

参照:ドイツにおける移民・難民受け入れの歴史

さすがに無制限にとはいかず、2016年以降は20万人ほどに制限しているようです。しかし、メルケルの支持率は2015年以降に低下し、所属政党のCDUの支持率も大幅に減っています。2025年の最新情勢だと、AfDが最も支持率が高くなっています。

参照:環境政党「緑の党」の連立政権入りが現実味を帯びてきた。メルケル与党の支持率急落が意味するもの

■ 国家、国境は大切だ
文化は長い年月をかけて作られてきたものですが、やはりあまりに違いすぎる価値観では、「共に生きる」ことはできても、「共に暮らす」ことは難しさがあると感じます。国際結婚や地域コミュニティのようにミクロなレベルではうまくいく例もありますが、国家というマクロの単位で考えたときには、やはり近い文化圏の者同士で暮らすことの方が、お互いにとって幸福になりやすいのではないでしょうか。

その他参照ページ
「難民ようこそ政策」で治安が急激に悪化…(プレジデント)
欧州でイスラム過激思想に感化されたテロが多発する要因(公安調査庁)
「イスラム法警察」集団に無罪判決 ドイツで(BBC)
国民の二層化と「移民・難民問題」の政治的構築
メルケル首相「多文化主義は完全に失敗」ー今この発言に注目すべき理由(ハフポスト)


”普通の感覚”に、もう一度立ち返ろうという流れが、いま世界的に起こっているように思います。日本も今ならまだ引き返せるのです。
そもそも、移民問題の根本は「労働力不足」にあります。その問題を技術力やアイデアによって解消できるのであれば、移民問題なんて吹き飛ぶでしょう。それが日本に期待されている本来の役割であり、世界が日本に求めている道筋ではないでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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著者

長田 たくや

長田 たくや

選挙 川西市議会議員選挙 (2022/10/16) [当選] 1,680 票
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肩書 参政党の市議会議員で薬剤師でもあります
党派・会派 参政党

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