2025/5/1
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
働く細胞という人間の細胞擬人化アニメが人気ですが、特に血小板ちゃんの人気はすごいですね。確かにかわいらしい。
全2回の記事です。(第2回はこちら)

アニメ画像には、赤血球さんと血小板ちゃんがいますが、彼女たちには共通点があります。
それは、どちらも「核」がありません。
生きた細胞で、核がないのは彼女たちだけ。血小板は、骨髄中にある巨核球の”かけら”から生まれています。ただ、電子顕微鏡で見ますと、意外と複雑な構造をしているのがわかります。血小板の役目として”止血(血栓をつくる・血を固める)”というのは皆さんご存知ですが、今日はそれに関わる”くすり”を紹介します。正直、理解するのに超苦労した分野で、今でも思い出すのが大変なので覚悟してください(笑)
医薬品では、血を固めない血栓予防薬がメインとなります。血小板ちゃんに直接作用するもの、周りの環境を変えるものの、2つの手段があります。
同じように見えて使い分けをしています。簡単に言えば、動脈に関するものは抗血小板薬、静脈に関するものは抗凝固薬を選択します。
血栓予防薬
-抗血小板薬(狭心症や心筋梗塞など)
-抗凝固薬(心房細動や下肢静脈瘤など)
動脈での血栓は、血小板が集まるのがメインなので血栓が白色をしています。だから薬も血小板をターゲットにします。
一方、静脈は血液の流れがゆっくりなので、赤血球を巻き込んで血栓を作ります。よって、赤色をしています。こいつが脳に飛べば脳梗塞に、肺に飛べば肺塞栓に、それぞれの病気を引き起こします。
今日は、抗血小板薬だけを紹介。
ややこしいのだけど下図をご覧ください。
血小板に刺激●がやってくると、ホスホリパーゼA2が活性化されて、細胞膜からアラキドン酸を削り出します。アラキドン酸はプロスタグランジンに変化して、さらにトロンボキサンA2に変化します。こいつが血を固めるためのキー物質です。
トロンボキサンが小胞体を刺激すると、カルシウムイオンを放出します。血小板内のカルシウムイオン濃度が高まると、顆粒を放出したり、形状を変化させて、血小板同士がくっつくようになります(凝血)。

この刺激●は、コラーゲンなどが影響しています。例えば擦り傷となると、皮膚のコラーゲン組織が血管内に入ってしまいます。その時に血小板にコラーゲンがくっつくと即座に反応して止血行動をとっているのです。
ここで、薬のポイントがわかると思います。ほな、アラキドン酸からの経路を止めたら良いのでは?
アスピリンは、アラキドン酸をプロスタグランジンに変える”変換酵素”を完全に止めます。核がない血小板にとって、この変換酵素は使い切り分しかないのです。通常の細胞は、変換酵素を止められても、核があるので新たに生産が可能なのです。
だから大きな手術前には、「アスピリンを7~14日間やめてね」と指導されます。それは、新たな血小板が生まれるまでの期間を待つためなのです。

プロスタグランジンからトロンボキサンA2を邪魔する薬(オザグレル)もあります。緊急時に使用する点滴薬(カタクロット®)があります。飲み薬(ドメナン®錠)は気管支喘息の薬として使用されています。
さて、血小板はこれだけならばシンプルだけどここからが本番。
なんと血小板には、物質を受け取る受容体が4つもあります。
・ADP受容体(凝固作用)
・5-HT2A受容体(凝固作用)
・TP受容体(凝固作用)
・PG受容体(抗凝固作用)

これらにそれぞれ薬があるのです。
でも、長くなるので次回に続く!
アスピリンの鎮痛用量300mg以上では、抗血栓作用が発揮しません。少量である必要があるのです。今では、バイアスピリン(100mg)という製剤があるのですが、それまでは小児用バファリン(81mg)が代用されていました。現在、バファリン配合錠A81㎎という名で処方医薬品として現存していますが、2025年4月には販売中止となります。
端的に言えば、大用量だと”痛み止め”、少量だと”抗血栓薬”となるのが、アスピリンの特徴です。不思議でしょ?図にしてみました。

(少量の場合)
血小板のプロスタグランジン変換酵素を阻害します。前述したとおり、核がない細胞なので在庫が一掃されます。プロスタグランジンから変換されるトロンボキサンA2が凝固のキー物質であり、それがなくなるので血が固まりません。
(大量の場合)
大量だと、血小板だけではなく、通常の細胞の変換酵素まで減らしてしまいます。血小板内ではトロンボキサンA2がなくなるため血が固まりませんが、外部から血をサラサラにするプロスタグランジンまでもが一緒に減るのです。結果、変化なしという状態になります。
したがって、アスピリンによる抗血栓治療には、用量が重要なポイントとなるのです。アスピリン・ジレンマと呼ばれます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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