2024/11/16
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
新しい薬ドナネマブ(商品名:ケサンラ®)についてのお話です。
以前、当ブログで取り上げたレケンビ®と同タイプの薬で、年間約300万円以上する軽度認知症向け新薬です。レケンビについて薬剤師として詳しく解説していますので、未読の方はぜひどうぞ。
参照:【くすり】 レケンビ(レカネマブ):年間300万円以上の認知症薬 【高すぎる】
■ 印象操作
日経記事はケサンラの保険適用・薬価(年308万円)を紹介するものですが、気になる記述がありました。
参照:認知症薬「ドナネマブ」保険適用 薬価は年308万円

この書きぶりだと、対症療法から一歩進んだ“根本治療”が登場したかのように読めませんか?いや、ほとんどの人はそう思うでしょう。日経は素人相手に、印象操作をしてくるなよな…
正確にはレカネマブと同様、「進行を遅らせる」いわゆる対症療法の範疇であり、病状の停止や回復をもたらす根本治療ではありません。
「同じ対症療法の中での新たな選択肢」です。
より正確に書くならば「臨床症状をたった5.3カ月先延ばしするだけで300万円以上もして、高額療養費制度が適応され、患者負担は年間数万円程度だけど、その負担は現役世代が肩代わりするレカネマブと同じ」と書いてほしいものです。
■ ドナネマブの効果
ドナネマブのデータを調べますと主要評価項目(承認の拠り所となる指標)を見ると、月1回投与を76週(約1年半、薬剤費換算で約462万円)継続しても、認知機能は低下を続け、低下速度を“有意に遅らせた”に留まることがわかります。
アミロイドβの除去率は明確ですが、アミロイド仮説(それが本当に発症・進行の主因か)には未解決点が残るままです。

■ 厚労省の姿勢
メーカーはイーライリリー(米国)。日本はそそくさと早く使えるようにしました。
一方、EU医薬品庁(EMA)では、遺伝子型(APOE ε4)による副作用リスク(ARIA等)に配慮した運用条件を検討するなど、日本よりも「ずいぶんマシ」な対応をしています。
参照:アルツハイマー病新薬レカネマブ、欧州で承認勧告 再審議で条件付き
また日本の医療資源が失われていきますね…
日経の新薬はあたかも認知症を根本的に治療できる薬のようなミスリードを誘う記事を紹介しました。
過度な期待や誤解を避け、必要なコストと有効性データに基づいた冷静な議論が必要だと考えます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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