2026/9/13
・市議会 一般質問にて取り上げた内容を掲載します。
・ここでは、議場で読み上げる為の原稿を掲載しております。実際の質問の場では、若干その場で言い回しは変えている箇所もございますが、その点はご了承願います。
・実際の中継は、下記リンクよりご確認願います。
【質問】
情報政策について伺います。 近年、自治体を取り巻く情報環境は大きく変化しています。行政のデジタル化が進む一方で、サイバー攻撃の高度化、生成AIの急速な普及、そして情報システムの維持・更新にかかる経費など、自治体に求められる情報政策も大きく変わってきています。
これからの行政サービスや新たな政策を支える上で、不可欠なのが、情報システムの強固な基盤づくりであると考えます。オンラインによる行政手続や各種の市民サービス、庁内業務の効率化など、今後、デジタル技術を活用する政策が増えていく中でも、その土台となる情報システムの安定性と安全性は、ますます重要になってくると考えます。
一方で、情報システムの整備や運用には、外部事業者への委託も含め、毎年継続して発生する経費があります。内容によっては、システムの改修などに高額な経費がかかる場合もあり、今回の決算審議においても、いくつかそうした費用があったことを確認しました。
現在は、システムそのものが進化し、サービスや性能も日々急速に変化していく中で、現在の仕組みや契約、コストについても、定期的に見直していくことが必要だと考えます。 これらのことを踏まえ、順次伺います。
まず、情報セキュリティについて伺います。 自治体には、住民の氏名や住所をはじめ、税、福祉、子育てなど、非常に重要な個人情報が蓄積されています。こうした情報を適切に守ることは、情報政策の基本であると考えます。
① そこで、本市では現在、情報セキュリティについて、どのような対策を講じているのか伺います。
また、自治体の情報セキュリティ対策では、業務内容に応じてネットワークを分離する、いわゆる「三層分離」の考え方が基本とされているかと思います。これは、インターネットに接続する業務、LGWAN(エルジーワン)という、自治体同士を安全につなぐ専用のネットワークを利用する業務、マイナンバー利用事務系の業務などについて、それぞれネットワークを分離することで、一つのネットワークで問題が発生した場合にも、他のネットワークへの影響を抑えるという考え方です。
一方で、近年は、クラウドサービスの普及や業務の効率化、利便性などを踏まえ、従来の三層分離を前提としつつも、より柔軟なネットワーク構成への見直しも進んでいると認識しています。また、直近の「ジチタイワークス」には、システム更改に伴う費用について、従来であれば4倍程度となるところを、工夫によって1.4倍程度に抑えた事例が紹介されていました。こうしたことを考えますと、セキュリティを確保することは当然として、その方法についても、コストや利便性を含め、継続的に見直していくことが重要だと考えます。
② そこで、本市ではこれまで、ネットワークの分離についてどのような対応を行い、現在、どのようなネットワーク分離のモデルを採用しているのか伺います。
次に、情報システムの運用や保守を外部事業者に委託している場合には、市だけではなく、委託先を含めたセキュリティ管理が重要になります。
③ 委託事業者の選定に当たっては、どのようなセキュリティ上の基準を設け、その遵守状況をどのように確認しているのか伺います。
④ また、今後の情報環境の変化を踏まえ、現在のセキュリティ対策について、見直しや強化が必要と考えている点があれば、併せて伺います。
次に、AIの活用について伺います。 生成AIは急速に進化しており、文章の作成や要約、情報整理など、これまで職員が時間をかけて行っていた業務を効率化できる可能性があります。また、今後の人手不足への対応という観点からも、AIの活用は重要になってくるものと考えます。
一方で、行政がAIを活用する場合には、生成された情報の正確性や情報漏えいなど、十分なリスク管理も必要です。
① そこで、まず本市では現在、生成AIを含めたAIについて、どのようなサービスを使い、庁内業務においてどのように活用しているか伺います。また、その成果についてもお示しください。
一方、AIの活用には、情報漏えいや誤った情報の生成などのリスクもあります。
② 本市では、AIを利用する際のルールやガイドラインを定めて、職員への教育・周知の方法についてお示しください。
③ さらに、先ほどお示しいただいた活用事例を踏まえ、今後、AIを活用することで、人手不足への対応や業務の効率化につなげられる可能性について、本市はどのように考えているのか伺います。
最後に、電算関係経費および情報システムについて伺います。 情報システムは、現在の行政運営や市民サービスを支える重要な基盤となっています。一方で、システムの導入、更新、保守、運用、そして改修などには、多額の費用が必要となります。改めて7年度の決算の数字を見ても、電算関係経費には、毎年度継続して一定の経費が計上されています。しかし、限られた財源の中で行政運営を行う以上、その費用が適正なのか、また、費用に見合った効果が得られているのかを継続的に検証することが重要だと考えます。
① そこで、本市における電算関係経費のうち、主な基幹システムに係る経費について、過去数年間はどのように推移しているのか、近年の傾向について伺います。
② また、電算関係経費の増加要因については、その主な要因についても伺います。
次に、本市の基幹システムについて伺います。本市では、基幹システムをアイネス社に委託していると認識しています。一方、現在、国が進めている自治体情報システムの標準化では、これまで自治体ごとに個別に構築してきた基幹業務システムについて、標準仕様に合わせ、ガバメントクラウド上で利用する仕組みへの移行が進められています。
例えば、国の制度改正によって税制度や社会保障制度などの仕組みが変更された場合、これまでは自治体ごとに構築されたシステムについて、それぞれ改修を行う必要がありました。そのため、自治体ごとに異なるシステムを個別に改修することになれば、法改正のたびに、それぞれの自治体で改修費用が発生することになります。
一方、システムを標準化し、共通の仕様で運用することができれば、こうした法改正などに伴うシステム改修についても、自治体ごとに個別対応する部分を減らしていくことが期待されます。また、自治体ごとの独自仕様を減らし、システムの標準化や共同利用を進めることで、将来的なシステム改修や維持管理にかかる負担を抑えることも、標準化の目的の一つであると認識しています。
③ そこで、本市では、標準化対象となる20業務について、現時点でどこまで移行が完了しているか伺います。また、移行に遅れが生じている場合には、その理由と今後の見通しについても併せて伺います。
④ また、基幹システムの標準化を契機として、これまでの独自機能や運用方法を見直し、システムに係る費用の抑制につなげていく考えがあるか伺います。あわせて、標準化の対象とならないその他の情報システムについても、独自機能の見直しなどによる費用抑制の考えがあるか伺います。
次に、標準化を進めることは、単に国の仕様に合わせるだけではなく、これまでの独自仕様や追加機能、運用方法などを見直す機会にもなると考えます。また、情報システムは、一度導入すると長期間にわたって同じ事業者に委託するケースも多く、他の事業者への切り替えが難しくなる、いわゆるベンダーロックインにつながる可能性もあります。そのため、システムの改修や運用・保守にかかる費用についても、委託しているからといって、その内容や金額をそのまま受け入れるのではなく、業務上の必要性や費用の算定根拠、費用対効果などを踏まえ、適正なものかどうかを継続的に確認していくことが必要だと考えます。
⑤ そこで最後に伺います。システムの改修や運用・保守にかかる費用について、業務範囲や内容、算定根拠などをどのように精査しているのか伺います。また、他自治体との共同化・共同調達によるコスト縮減について、検討状況をお示しください。
【答弁】
【1-1 答弁】 最初に、情報セキュリティについて行っている対策についてですが、情報セキュリティポリシーの策定をはじめとした規定類やマニュアル類の作成、職員向けの研修、全所属を対象に実施しております自己点検や情報セキュリティ推進委員による実地指導などを行うことで、全庁的な情報セキュリティ対策の底上げを図っております。 また、情報推進課が管理する情報機器においては、パソコンへのセキュリティソフトウェアや管理ソフトウェアの導入、許可していない機器を接続できない仕組み、パソコン内のデータ暗号化、ネットワークへのファイアーウォールの設置、無線LANにおけるステルス設定及び証明書認証、インターネットにおけるセキュリティクラウド監視などのセキュリティ対策を講じております。 これにより、万が一、インターネット側からの攻撃で一般事務の情報が抜き取られてしまったとしても、重要な個人情報は守ることができますので、非常に有効なセキュリティ対策となっております。
【1-2 答弁】 次に、三層分離の運用モデルについてでございますが、三層分離を利用する上で最もシンプルな方法は、それぞれのネットワークに接続した3台のパソコンを並べて使い分けることになりますが、それでは、設置場所、使い勝手などの問題が生じますので、仮想化という手法が活用されます。 仮想化は、1台のパソコンの画面上に、仮想的に作り出された別のパソコンの画面が表示される仕組みであり、以前はパソコンと変わらない費用で導入できる製品がありましたので多くの自治体で利用されており、草加市でも利用しておりましたが、2年ほど前に大幅な値上があったことから企業や自治体において大きな問題となったものです。 この解決策として、本市でも、PC(ピーシー)アレイという方式を検討いたしましたが、最終的には、マイナンバー利用事務系とLGWAN接続系のパソコンを2台並べて置く手法を採用することで、さらに費用を抑制しております。 なお、インターネット接続系については、用途を限定した安価な仮想化製品がございますので、本市では、このような製品を利用することで、利便性を確保しつつ費用を抑える工夫を行っております。
【1-3 答弁】 委託事業者選定に当たってのセキュリティ基準と、その遵守状況の確認についてですが、草加市の情報セキュリティポリシーは、草加市セキュリティ基本方針及び草加市セキュリティ対策基準からなりますが、これらの規定は、外部委託事業者も対象としていますので、委託契約に当たっては、これらの規定が基準となり、「外部委託における情報セキュリティ遵守事項」を設け、契約に含めるようにしております。また、当該規定において、受注者は、市の求めに応じて立入検査等に応じることを規定しておりますので、必要に応じ、事業者の事業所等に立ち入り検査を行い遵守状況の確認を実施しています。
【1-4 答弁】 情報環境の変化を踏まえた、セキュリティ対策の見直し等についての考えですが、近年は、費用を抑えつつ、最新のサービスを利用できるクラウド型のサービスの活用が進み、一部の自治体では三層分離から、インターネット環境で一般事務を行う環境への移行も進んでいます。これは、利便性が向上するものの、十分なセキュリティを確保するためには、多くの費用を要することや、セキュリティ装置の不具合や設定ミス等がありますと十分なセキュリティを確保できないといった問題があることから、採用に当たっては慎重を期す必要があるものと考えております。 また、このような中、今年に入り、生成AIが悪意あるサイバー攻撃に利用できるリスクが公表されたことで、インターネットに繋がる環境における情報漏えい等のリスクが高まっている状況であることから、現行の三層分離を維持するとともに、クラウドサービスの利用に当たっては、これまで以上に情報セキュリティに関する項目を入念に確認するなどの対策が必要であると捉えております。
【2-1 答弁】 活用しているAIサービスと、その成果についてですが、AIを利用したサービスとしては、AI-OCR、AI会議録作成システム、AI翻訳機、AI窓口案内、AI相談システムなどがございます。成果の主なものといたしましては、AI-OCRは紙資料をテキスト化するツールで、従来、職員がキーボードで入力していた作業を自動化するもので大幅な業務の効率化が図れるものとなります。令和7年度は、14所属で活用しており、約64万箇所のOCR処理を行っており、入力作業が自動化されたものとなります。AI会議録作成システムは、会議の音声をテキスト化するツールで令和7年度においては48所属で約635時間分の音声を処理しています。これにより、年間500時間近くの作業時間削減が図れているものと算定しております。 生成AIにつきましては、全庁的に利用できるものとして特徴の異なる4つのサービスを導入しています。複数のサービスを組み合わせることで、できるだけ幅広い業務で生成AIを活用できるよう工夫しているところでございます。 生成AIの利用としては、計画書やスライド資料の作成、挨拶文やメール文章の作成、アイデア出し、文書の校正などが中心となりますので、成果を数値で表せるものはございませんが、管理部門等では、多くの職員が日常的に生成AIを利用する状況となっており、これまで委託していたような作業について、生成AIを活用して内製化するといった動きもありますので、生成AIの効果を実感しておるところでございます。
【2-2 答弁】 AIを利用する際のルールやガイドラインと、職員への教育・周知についてですが、「草加市生成AI利用ガイドライン」を令和7年5月の生成AI導入に合わせて作成しており、職員が生成AIの利用申込を行う際には、当該ガイドラインを読むことを義務付けております。また、職員に生成AIへの理解を深めてもらうため、Q&Aや利用の手引なども作成しており、状況の変化や職員から寄せられる質問等に応じて随時見直しし、周知することで、よりよい運用が図れるよう対応しております。
【2-3 答弁】 AIを活用することで、人手不足への対応や業務の効率化につなげられる可能性についての考えについてですが、生成AIは現在の社会や産業の中心になりつつあり、すでに生成AIは人手不足への対応や業務の効率化に寄与していますが、まだその程度は僅かであると考えています。 パソコンやスマートフォンが登場した当時は「少し便利になる」と感じたものですが、現在では「無くてはならない存在」であり、これらが無いと業務や生活が成り立たないと感じるくらいの存在となっています。生成AIも、これらと同様に、少しずつ社会に取り入れられ、いずれは多くの作業やサービスを担うものになり、業務の効率化に非常に大きく寄与するものになると考えております。
【3-1 答弁】 主な基幹システムに係る経費について過去数年間でどのように推移しているのかについてですが、情報推進課が契約を取りまとめている基幹システムで比較しますと、サーバー等を除く運用経費につきましては、令和3年度が約2億7,382万円、令和4年度が約2億7,225万円、令和5年度が約2億6,663万円、令和6年度が約2億6,252万円、令和7年度が約2億8,030万円となります。 近年の傾向としては、各事業における対象者数の増減や事業の追加や削減、臨時的な費用などによって増減が生じております。
【3-2 答弁】 次に、電算関係経費の増加要因についてですが、令和7年度は、光熱費や人件費の上昇に伴い、人的作業を伴う費用について単価が上昇しております。
【3-3 答弁】 次に、標準化対象となる20業務の移行状況と、移行が遅れている理由についてでございますが、国は令和7年度中の移行完了を目指してきたところですが、事業者側での開発資源や人員不足の影響などから多くの事業者において作業の遅延が生じており、令和12年度までに全自治体の移行完了を目指す状況となっております。草加市においては、現時点での移行完了が2業務システム、今年度の移行完了を予定するのが1業務システム、残りの17業務システムについては、今年度の移行を目指しておりましたが、事業者における作業等の遅れから延伸することとなり、来年度以降の対応となります。対応時期につきましては、業者において課題等を整理しておりますので、今後、業者と協議の上で、決定いたします。
【3-4 答弁】 基幹システムの標準化を契機として、独自機能や運用方法を見直し、システムに係る費用の抑制につなげていく考えがあるのかについてですが、標準化の対象システムにつきましては、国が仕様を決めており、独自機能が排除されますので、標準化対応に伴い、運用方法の見直しなども進めてまいります。 その他のシステムにつきましては、過去に導入したシステムの更改時などに、独自機能を見直すなどし、さらに、システムに係る費用を抑制していきたいと考えております。
【3-5 答弁】 システムの改修や運用・保守にかかる費用について、業務範囲や内容、算定根拠などをどのように精査しているのか、他自治体との共同化等によるコスト縮減を検討しているのかについてでございますが、新規の予算に関しては、各部署において、システムの改修費用などを抑制する取組を行っています。 事業者側に積算の内訳や根拠の説明を求めた上で、疑問点については繰り返し説明を求めていくような形で精査を行っております。 また、共同化や共同調達につきましては、公共施設予約システムである「まんまる予約」では実現しておりますが、近隣自治体等との共同化によるコスト縮減については、草加市規模の自治体においては、ほとんど効果がなく、逆に、障害発生時の対応等に時間を要するといったデメリットが生じるものと伺っておりますので、現在、検討は行っておりません。 なお、埼玉県及び県内市町村の共同運用や調達など、数十団体が参加するような事業については、コストや運用の効率化などメリットが生じるものもございますので、このような事業については、積極的に参加の検討を行っていきたいと考えております。
【再質問 1問】
最後に、まとめとして伺います。標準化・ガバメントクラウドへの移行について、メリット・デメリットを、本市としてどのように整理し、認識しているのか伺います。
【再質問 答弁】 標準化・ガバメントクラウド移行についての短期的及び中長期的なメリット・デメリットですが、システムの利用料金に、ガバメントクラウドの利用料金が加わりますので、運用に係る経費が増えることを見込んでおりますので、これがデメリットとなります。なお、標準化移行後の運用経費が増となる場合については、国の補助金で一定額が補填されます。
中長期的には、主に3つのメリットが期待されるものと認識しております。一つ目としては、従来は、法改正等に伴うシステム改修であっても、職員が仕様書を作成していましたが、標準化後は、国が改定する仕様書を基に契約を締結するだけで済むようになります。二つ目として、データ連携仕様が統一されることで、一部システムの追加や更改時におけるシステム間連携が容易になります。また、国が用意するマイナポータルなどの統一的な仕組みとの連携も円滑化します。三つ目として、他社システムとの比較や入替えが容易になるほか、システム業者間の提携や淘汰が進むことで、低コストで効率的なシステムが市場に残るようになります。
【要望】
情報セキュリティについては、引き続き強化に努めていただくとともに、AIについても、安全性や効果を検証しながら、効率的な活用を進めていただきたいと思います。
また、基幹システムについては、現時点ですぐに得られる コスト面でのメリットが 見られないことは残念ですが、ご答弁にあったように、他自治体とも情報を共有しながら、この標準化の機会を将来的なコスト削減につなげていただきたいと思います。
既に一例として、今議会の補正予算では、財政課において、長年使用しているシステムについて、コスト面も含めた見直しを行うため、プロポーザルを実施する補正が出されています。
こうした取り組みを庁内でも 継続的に行っていただくことを要望し、質問を終わります。
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