2026/7/26
日本国民・鎌倉市民を最優先に考える市政へ!
鎌倉市議会議員の重黒木優平(じゅうくろきゆうへい)です。
「重黒木優平」の政策やプロフィールはこちら。
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https://go2senkyo.com/seijika/180455
▼鎌倉市議会 財政勉強会メンバーによる行政視察 兵庫県明石市(前編)
鎌倉市議会の財政勉強会メンバーで兵庫県明石市へ行政視察に行きました。(日向議員は欠席)
学ぶことは多かったが、聞きたいことも多く時間が足りなすぎた。。
▼視察目的
2026年7月22日、兵庫県明石市を訪れ、子育て施策と財政運営の観点から行政視察を行いました。
明石市といえば、泉房穂前市長のもとで進められた子育て政策が全国的に知られています。
子どもの医療費、保育料、給食費などの無償化を進めた結果、子育て世帯の転入が増え、人口も税収も増加した「成功モデル」として紹介されることが少なくありません。
一方で、私は以前から、行政が使う「無償化」という表現には違和感を持っています。
行政サービスを提供するための費用が消えるわけではありません。
利用者が直接支払っていたものを、税金から支払う仕組みに変えているだけです。
言い換えれば、「無償化」ではなく「税負担化」です。
→この点については、過去、鎌倉市議会でも取り上げてきました。
子育て世帯の負担軽減を否定するものではありません。
しかし、限られた財源を使う以上、その費用を誰が負担し、ほかの政策との優先順位をどう考えるのかは、市議会議員としては避けて通れない論点であると考えます。
そこで今回の視察では、明石市の子育て政策が本当に人口増や税収増につながり、財政面でも成功したといえるのかを確認したく、視察先として希望しました。

▼5つの無料化から、7つの無料化へ
明石市の子育て政策は、これまで「5つの無料化」として知られてきましたが、現在は「明石独自の7つの無料化」として整理されているとのことです。
1、高校3年生までの医療費
→21億9,000万円(一般財源18億1,000万円)
2、第2子以降の保育料
→11億6,000万円(一般財源11億4,000万円)
3、0歳児家庭へのおむつ定期便
→1億1,000万円(全額一般財源)
4、1か月児健康診査費用
→2,000万円(一般財源1,000万円)
※無償ではなく、6,000円を上限とする助成
5、小学校給食費
→11億5,000万円(一般財源1億5,000万円)
6、中学校給食費
→3億4,000万円(全額一般財源)
7、公共施設の入場料
※1~3,6~7は2024年度決算額(4、5は、2026年度予算額)
いずれも所得制限や自己負担を設けず、幅広い世帯を対象とすることが基本。
明石市の説明では、低所得者だけを対象とする施策ではなく、中間所得層も含め、社会全体で子育てを支えるという考え方でした。
市民から預かった税金を、現金給付ではなく医療、保育、給食などの現物給付として返すという位置づけも示されました。

▼明石市の人口は実際に増えたのか
明石市の説明によると、人口は2010年の29万959人から、4月1日現在で30万7,094人。
全国的に人口減少が進む中で、明石市が人口を増やしてきたことは間違いありません。
特に目立つのが、子育て世代と子どもの転入です。
2020年から2025年までの転入を見ると、次の年代で増えています。
「0歳から4歳は1,093人増」、「5歳から9歳は494人増」、「10歳から14歳は277人増」、「25歳から29歳は2,825人増」、「30歳から34歳は2,126人増」、「35歳から39歳は974人増」
結婚・子育ての世代と、その子どもが転入している構造がよく分かりました。
明石市が子育て世帯から選ばれてきたことは、一定程度、数字で裏付けられているといえます。

▼子どもの数は増え続けているのか
合計特殊出生率は、全国や兵庫県を上回っていました。
・2011年は1.50(兵庫県1.40、全国1.39)
・2018年は1.70(兵庫県1.44、全国1.42)
・2022年は1.55(兵庫県1.31、全国1.26)
・2023年は1.65(兵庫県1.29、全国1.20)
全国や兵庫県と比較すれば高い水準ですが、明石市でも2018年の1.70から一貫して上昇しているわけではありません。
このため、「子育て政策によって子どもの数や出生率が増え続けている」とまで言い切ることはできないかと思います。

▼市税について
明石市の市税収入は、2010年度決算の391億円から、2024年度決算の449億円へ増加しています。14年間で58億円の増収です。
数字だけを見れば、人口増とともに税収も増えたように見えます。
しかし、明石市側も、税収増は人口増だけによるものではないと説明でした。
※見逃せない「事業所税」の導入
市税増を考えるうえで、重要なポイントとして事業所税がありました。
明石市は人口30万人を超えたことなど、要件を満たしたことに伴い、2018年7月1日から事業所税の課税を開始しました。
→事業所税収は、近年、毎年約17億円で推移しています。
市税収入が2014年度の406億円から2023年度の464億円へ58億円増加していますが、その中には年間約17億円の事業所税が新たに加わっています。
もちろん、人口30万人を超えたこと自体は人口増の結果です。
その意味では、事業所税も人口増と無関係ではありませんが、重要なのは増税し、負担を課しているという点です。
「子育て世帯が転入し、その人たちが納めた税金によって税収が増えた」という単純な説明だけでは、ミスリードになります。

▼人口が増え、地方交付税が増えた
人口増による歳入効果は、市税だけではありませんでした。
明石市の地方交付税は、2017年度の94億円から、2023年度には163億円へ増加しています。
ただし、この増加も人口だけが理由ではありません。
2018年度の中核市移行に伴う財政需要の増加、2019年度の児童相談所設置、国税収入や国の地方財政措置の変化などが含まれていました。
したがって、地方交付税の増加についても、「子育て政策によって人口が増えた結果」と一括りにすることはできません。

▼明確な財政シミュレーションはなかった
今回の視察で特に印象に残った回答で、
私としては「こ、これは。。。」と思った点があります。
子育て施策を始める際、将来の人口増や税収増を織り込んだ財政シミュレーションを行っていたのかと事前質問を出していましたが 「明確な財政シミュレーションがあったわけではありません」との回答でした。
各施策を始めた時点の財政状況を確認しながら、段階的に拡充してきたという説明です。
これは、明石市の子育て政策が、最初から「この施策にこれだけ投資すれば、何年後に人口が何人増え、税収が何億円増える」という計画に基づいて始まったものではないことを意味します。
※個人的には極めて重要なポイント!
結果として人口と税収は増えました。
しかし、その増加が子育て施策によってどれだけ生まれたのか、投入した一般財源を上回る効果があったのかについて、明確な費用対効果の検証が行われているわけではありませんでした。
▼前編のまとめ
明石市では、子育て世代と子どもの転入で人口が増加してきました。
全国や兵庫県と比べて出生率も高く、子育て世帯から一定の支持を得てきたことは間違いありません。 一方で、市税収入の増加には、個人所得や地価、景気動向に加え、人口30万人到達によって導入された事業所税が含まれています。
地方交付税の増加にも、中核市移行や国の財政措置など、人口以外の要因が確認できました。
また、子育て施策を始める時点での、人口増や税収増まで織り込んだ明確な財政シミュレーションはありませんでした。
明石市が人口増と税収増を実現したことは事実ですが、それをすべて子育て施策の効果と評価するのは難しい、というのが今回の視察で確認できた前半部分の結論です。
後編では、子育て施策の財源をどのように生み出したのか、福祉事業の見直し(福祉カットされていました!)、JT工場跡地の売却、基金残高、公共施設更新、市債の増加を取り上げます。
後編も中々重要ですよ!!

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