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鳴門市行政視察 創政MISATO会派報告書

2026/5/15

駅移転を核とした「50年の計」──鳴門市に学ぶ、中心市街地再構築の覚悟とデザイン力

三郷市議会 創政MISATO

佐藤 裕之

高橋 誠一

日髙 千穂

鈴木 優作

 

1. 視察の概要

  • 視察先: 鳴門市役所4階
  • 視察日時: 2026年5月12日14:00~15:30
  • 調査テーマ: 中心市街地活性化に向けた取り組み(鳴門駅移転プロジェクトおよびインフラ活用)

本視察は、三郷市が抱える「中心市街地のアイデンティティ確立」および「若者の居場所づくり」という課題に対し、抜本的な都市再編(駅移転)と高度な情報公開を伴う市民参画手法を導入している鳴門市の先進事例を調査し、本市の将来的な都市計画に資することを目的とする。

2. 「静かなる危機」の可視化:データが語る鳴門の現状

鳴門市は人口約5万2760人、年間200万人の観光客を誇る県内有数の都市ですが、その中心部は深刻な空洞化に直面しています。視察で提示された以下の数値は、多くの地方都市が今後直面する「現実」を先取りしたものでした。

  • 地価の暴落: 中心市街地の公示地価は、平成20年の1平米あたり7.2万円から令和5年には4.4万円へと下落。その後は横ばい状態が続いています。
  • 空き家・空き地の増加: 市独自の目視調査では空き家率約11%ですが、総務省統計では23.8%に達しており、中心部の3~4割が空き地・空き家という状況です。
  • 若者の流出と滞在環境の欠如: 大規模アンケートの結果、地元への愛着は高いものの、「遊ぶ・待ち時間を潰す・話せる場所」が決定的に不足していることが判明。駅前半径200m以内にコンビニすら存在しない現状が、他都市(敦賀、延岡等)との比較データによって浮き彫りにされました。

 

3. 「駅を動かす」という劇薬:鳴門駅移転プロジェクトの全貌

鳴門市が打ち出した解決策は、約50年ぶりとなる大規模プロジェクト「JR鳴門駅の移転」です。

  • 構造的欠陥の修正: 現在の駅は商業の重心から外れ、街に背を向ける配置となっており、アクセスの不全が回遊性を阻害しています。これを南側へ200〜500m移転させることで、都市構造を根本から再編します。
  • 1ヘクタールの聖域: 駅の移設により、中心部に1ヘクタール(10,000平米)超の新たな用地を創出します。この空間を「新しい町」の核とし、パブリックゾーン(駅、ロータリー、公園)を再編することで、民間投資を呼び込むトリガーとする戦略です。
  • 回遊動線の創出: 駅から新庁舎、文化会館、親水公園、さらにはスポーツパークまでを「歩いて回遊できる」動線として連結することを目指しています。

 

4. 「徹底した公開」が市民の当事者意識を生む

ハード整備以上に特筆すべきは、その決定プロセスにおける「圧倒的な透明性」です。

  • デザイン会議の設置: 東京大学名誉教授・内藤廣氏を座長に迎え、「鳴門市まちづくりデザイン会議」を設置。
  • 逐語議事録の公開: 会議は完全公開され、資料のみならず、誰が何を言ったかをすべて記録した「逐語議事録」がウェブで即座に公開されています。この情報公開の姿勢が、プロジェクトを選挙の争点にするほど、市民の関心を高めています。
  • 若手職員の抜擢: 都市建設部内に「市街地整備課」を新設。20代・30代の若手職員を中心としたチームを編成し、商店街の次世代層(30〜40代)と膝を突き合わせて議論を進める体制を構築しています。

 

5. エビデンスに基づいたソフト事業と社会実験

「場所がない」という若者の声に対し、鳴門市は迅速に反応しました。

  • ニーズの可視化: 市役所ロビーをフリースペース化した社会実験では、試験期間中に常に満席になるほどのニーズを確認。これを受け、老朽化した文化会館等を「こども未来館」へコンバージョン(用途転換)する計画や、教育機関と連携した「まちなかキャンパス」構想を具体化させています。
  • デジタル環境の整備: 観光の「通過型から滞在型」への転換を目指し、Wi-Fiや電源、滞在スペースの整備を加速させています。

 

6. 多角的なインフラ活用と空き家対策の具体策

  • 河川光ファイバーの地域活用: 河川管理用の大容量光ファイバー回線を、観光、道路情報、災害時のビッグデータ共有に活用する「インフラの二毛作」を推進しています。
  • 「負」を「資産」に変える税制: 空き家の除却を促進するため、原則60万円の補助に加え、更地化後10年間にわたる固定資産税の減免措置という、極めて踏み込んだ支援を行っています。
  • 支援法人の指定: 令和7年4月よりNPOを「空き家等管理活用支援法人」に指定し、司法書士等の専門家と連携して、所有者特定や相続問題などの複雑な権利調整に当たる体制を整えています。

7. 視察の総括

鳴門市のプロジェクトは、JRとの協議や巨額の予算確保など、多くの困難を抱えています。しかし、国(四国地方整備局等)と継続的に協議し、官民連携(PFI)を二段階で展開する緻密な資金戦略と、内藤廣氏を軸とした高度なデザイン会議、そして若手職員を前面に押し出した機動力、これらが三位一体となって街を動かしています。

「駅を動かしてでも理想の街を作る」という鳴門市の覚悟は、単なる公共工事の枠を超え、街のアイデンティティを再定義しようとする壮大な挑戦でした。

 

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日高 ちほ

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