2026/8/23
ひらけ募金金。

北海道共同募金会における約1億8000万円もの使途不明金の発覚は、長年にわたり積み残されてきた組織の致命的なガバナンス不全を露呈させた。会計責任者による横領と書類偽造、さらには借金による穴埋めという隠蔽工作は人々の善意を預かる組織として決定的な破綻を意味している。しかし、赤い羽根共同募金が突きつけられている危機は不祥事や管理能力の欠如といった内部統制の問題にとどまらない。集められた資金の配分先やその使途をめぐり、組織が果たすべき「公益性」そのものに対する根深い疑問の声が上がっていることだ。批判の矛先が向けられているのは助成先選定の偏りと不透明さである。近年、特定の政治的主張や社会的・思想的偏りが指摘されるNPO法人や市民団体への資金助成が相次いで拡散・議論され、「地域社会の普遍的な福祉のために使われているはずだ」と信じて寄付してきた市民の期待との間に大きな乖離が生じている。社会の合意形成が得られていない活動や政治的色合いを帯びた事業への資金提供は、「誰もが納得できる公共の利益」から外れ、一部の特定益や運動の補填に寄与しているのではないかという「非公益性」の疑念を招く結果となった。さらに、自治会や学校、職場などを通じた「半強制的な割り振り(集金)」の慣行も公益性を際立たせている。個人の自発的な善意に頼るべき募金が実質的な「第二の税金」のように均等徴収される構図は市民から主体性を奪い、利害関係者への資金還流システムとして形骸化しているとの批判を免れない。福祉という理念や「赤い羽根」という歴史の盾に隠れ、使い道の偏りや管理の杜撰さを放置してきた姿勢は国民の善意に対する背信行為にほかならない。公的な支援が届かない領域を補うという本来の意義を失い、特定の政治・思想的偏重や内輪の資金循環が優先されるならば、国民がこの仕組みを支え続ける理由は消失する。ガバナンスの抜本的刷新はもちろんのこと、助成基準の全面的な見直しと情報の完全公開を行い、公共の利益に資する存在へと生まれ変われないのであれば組織そのものの存続意義が消滅したと言われても致し方あるまい。
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