2026/7/26
維新上の都合・・。

自民党と日本維新の会が進める副首都構想は本来であれば首都直下地震などの大規模災害に備え、東京一極集中を是正する国家的課題として議論されるべきものである。しかし、現在の議論を見る限りその出発点は「国家のための副首都」ではなく、「大阪を副首都にすること」が目的化しているように映る。副首都法案が国会に提出され制度化へ向けた動きが進んでいるがその進め方には大きな疑問が残る。
そもそも日本には大阪以外にも名古屋、福岡、仙台、札幌、広島などそれぞれ異なる強みを持つ大都市が存在する。防災、経済、交通網、行政機能、人口分布などを総合的に検証したうえでどの都市が副首都機能を担うにふさわしいのかを客観的に比較・検討するのが本来あるべき姿である。それにもかかわらず「副首都=大阪」という前提で制度設計が進められるのであれば国家戦略ではなく地域優遇との批判を免れない。
最も問題なのは副首都構想が大阪都構想と切り離せない政治課題として扱われていると評価されていることである。維新は長年、大阪都構想を党是とも言える重要政策として掲げてきた。しかし、その是非は二度にわたる住民投票で大阪市民によって否決されている。民主主義国家において住民投票は最も重い民意でありその結果は最大限尊重されなければならない。
もちろん、副首都構想そのものは大阪都構想とは別制度であり法的には異なるものである。しかし、維新関係者や報道では副首都構想が大阪都構想実現への布石との見方が繰り返し示されてきた。こうした経緯を踏まえれば多くの国民が両者を一体の政治構想と受け止めるのは自然なことである。二度否定された政策を名称や制度設計を変えながら実質的に再び実現しようとするのであれば住民投票という民主的手続きを軽視しているとの批判を招くだろう。民意によって退けられた構想を国政レベルの法制度によって後押しすることが民主主義にかなうとは言い難い。
副首都は全国民の税金を投入し国家機能の一部を移転・整備する巨大プロジェクトとなる可能性が高い。その議論が大阪中心で進められ全国的な合意形成や比較検証が十分に行われているとは言えない。国家プロジェクトである以上「大阪に必要だから」ではなく「日本全体にとって最適だから」というコンセンサスが求められる。
東京一極集中の是正や首都機能の分散は重要な課題であることに異論はない。しかし、その実現方法は特定地域への政治的配慮ではなく公平性と客観性に基づかなければならない。候補都市を広く募り、防災機能、交通インフラ、経済力、行政機能などを透明な基準で比較し国民に納得できる形で結論を導くべきである。副首都構想は日本の将来を左右する国家戦略である。その議論が「大阪ありき」で進められる限り国民の理解と信頼を得ることは難しい。民主主義とは都合のよい民意だけを採用する制度ではない。二度示された住民投票の結果を重く受け止め地域政党の悲願ではなく日本全体の利益を最優先に据えた冷静で公平な議論へ立ち返らなければならないのではないか。
#副首都構想 #大阪都構想 #日本維新の会
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