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猛暑で死者が増える欧州で問われるのは社会の適応力

2026/7/22

猛暑うがない・・・。

 欧州を襲う記録的な熱波によって多くの命が失われている。WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は欧州が世界平均の2倍の速度で温暖化していると警鐘を鳴らし、猛暑関連の死者が相次いでいる現状を訴えた。現代社会にはエアコンをはじめとする高度な空調技術が存在する。なぜ科学技術が発達した欧州でこれほど多くの死者が出るのか。その答えは単純な技術の有無ではなく社会全体がどれだけ猛暑に対応できる仕組みになっているかにある。欧州の多くの地域ではこれまで夏の暑さは日本ほど深刻な問題ではなかった。北部や西部の国々では夏は比較的涼しく家庭用エアコンの普及率も日本や米国ほど高くない。「夏は窓を開けて過ごす」という生活文化が長く続き住宅や都市設計も冷房を前提としてこなかった。その結果、異常な高温が襲うと社会の弱点が一気に表面化する。特に問題となるのが住宅である。欧州の古い建物は冬の寒さを防ぐことを重視して作られてきた。厚い壁や高い気密性は寒冷期には有効だが40度近い気温では建物内部に熱をため込む要因になる。夜になっても室温が下がらず体力の弱い高齢者に大きな負担を与える。また、欧州の歴史ある都市も猛暑への弱さを抱えている。石造りの建物や舗装された道路は昼間の熱を蓄積し夜間に放出する。緑地が少ない都市中心部ではヒートアイランド現象が深刻化し屋外だけでなく屋内の環境も悪化する。さらに、被害を拡大させるのが高齢化である。高齢者は体温調節機能が低下し暑さへの感覚も鈍くなりやすい。冷房を使う習慣がない世代では「我慢する」「扇風機で十分」と考えてしまう場合もあり発見が遅れる危険がある。つまり、今回の欧州の猛暑被害は「エアコンがないから起きた」という単純な問題ではない。住宅、都市、電力、医療、福祉、そして人々の意識を含めた社会全体の適応が追いついていないことが大きな要因である。これは日本にとっても決して他人事ではない。日本はエアコンの普及率が高く猛暑対策の情報発信も進んでいる。しかし、電力需要の急増、高齢者の孤立、都市部の熱蓄積といった課題は共通している。気候変動によって、かつては異常とされた暑さが新たな日常になりつつある。問われているのは単に冷房機器を増やすことではない。命を守るために住宅や都市のあり方、エネルギー政策、地域の支援体制まで含めて社会を作り替える覚悟である。欧州の熱波は地球温暖化が未来の問題ではなく現在進行形の危機であることを示している。科学技術を持つ人類が次に求められるのは技術を持っていることではなく、それを社会全体で生かせる仕組みを整えることである。

#欧州の猛暑 #温暖化 #死者1300人以上


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坂本 雅彦

坂本 雅彦

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