2026/5/27
ビールの値下げを待ちわビール。

2025年の臨時国会で酒税法が改正され2026年10月からビール系飲料の税率が段階的に統一される。改正前の課税額はビールが77円、発泡酒が46.99円、その他発泡性種類(いわゆる新ジャンルを含む)28円となっていた。改正酒税法では発泡酒とチューハイなどその他発泡性種類が統一され54.25円に増税する。逆にビールは77円から70円に減税となる。酒税の課税総額は年々減少している。「一番搾り」は値下げ、「氷結」は値上げとなる。ピークだったのは平成5年で2.12兆円、それが令和5年には1,18兆円にまで減少している。凡そ半分になった勘定である。出荷量はというと平成5年が1017万キロリットルで令和5年が807万キロリットルであり約2割の減少に留まっている。なぜ、消費量が2割しか減っていないのに税収だけは半減したのか。その原因となったのが発泡酒や新ジャンルの登場による影響だ。ビール系飲料の中で2001年にはビールが49.1%のシェアを占めていたが2020年には23.3%まで下落している。2010年代は発泡酒のシェアが約17%、新ジャンルが約32%となっていたが2023年以降、発泡酒は横ばいだが新ジャンルはシェアを大きく減らし、ビールのシェアは回復傾向にある。
1990年代のバブル経済の崩壊以降、消費者の家計節約志向を受けてビールメーカー各社は酒税法上、麦芽比率を一定以下にすることで税率が大幅に低くなる発泡酒を開発することで需要に応えていた。1994年にサントリーが「ホップス」を発売したことが先駆けとなり、1995年には各社が発泡酒を発売した。酒税の税収の減少を受けて政府は麦芽比率区分の細分化と発泡酒税率の段階的引き上げを実施した。税制が改正されるたびに各メーカーは麦芽比率を下げた発泡酒を開発し続けるというイタチごっこが繰り返された。2000年代に入ると政府税制とのイタチごっこを嫌った各メーカーが発泡酒増税への対抗として制度の隙間を突いた麦芽を使わない、もしくは麦芽とは異なる酒類(スピリッツ等)を混和した商品を次々に開発、これが新ジャンルといわれる商品である。「クリアアサヒ」「金麦」「のどごし〈生〉」などがそれにあたる。この新ジャンルは2010年代後半にはビール系飲料の中で30%以上のシェアを誇っていた。2020年代に入ると味・品質・ブランド力による競争が本格化しビールのシェアが徐々に回復しつつある。そして、2025年の酒税法改正で遂に政府とビールメーカーの酒税をめぐるイタチごっこに終止符が打たれることになった。ビールの減税と発泡酒・新ジャンルの増税をバーターで行うことで手打ちとなった。国内の生産人口は今後も減少していく。それに伴い種類の出荷量が減少することは避けられない。発泡酒・新ジャンルの価格上昇によって品質や健康機能性に拘った高単価なプレミアムビールの開発・販売強化に業界がシフトしていくことが予想される。ビール業界にも避けては通れないインフレの波が到来している。政府は増税の実施だけは素早いが物価対策や賃上げ促進には時間がかかる。株価だけでなく可処分所得も上げてくれないと庶民は高単価なプレミアムビールを味わっているどころではなくなる。
#酒税改正 #一番搾りは値下げ #氷結は値上げ
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