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坂本 雅彦 ブログ

ガバメントクラウド推進法改正法案について

2024/12/20

 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律案についてである。賛成するのが妥当だと考える。新たな費用は要しない。政府情報システム運用コストは2013年に2021年の間に29%にあたる1152億円の削減されている。その間、自治体でのクラウド導入は1600団体に上っている。国や行政機関と自治体のクラウドサービスを一本化することで更なる運用コストの削減に繋がることが見込まれる。人口減少傾向が露になり行政分野においても更なる業務の効率化が求められる。ガバメントクラウドの活用はリソースの共有や行政のスマート化に与するものと考える。

 平成14年に成立した法律の改正案、いわゆるガバメントクラウド推進法改正案であるが、これまでは「情報通信技術の効率的な活用を行政機関の情報システムで実施する」としていたところを本法案では「公共情報システムの整備等におけるクラウドコンピューティングサービスの適切な活用を推進する」と置き換えた。いわゆるガバメントクラウドというものである。これまでも行政はクラウドサービスを活用してきているが、令和6年度までは地方公共団体のガバメントクラウド利用については国の実証事業として国がその費用を負担していた。本法律案が成立することで令和7年度以降は地方公共団体等の利用料については利用に応じて各利用者が負担することとなる。大口割引を活かす為に国が地方行政団体から利用料を預かり一括して各クラウドサービス事業者に支払う。国の行政機関等は、公共情報システムの整備を行おうとするときは、効果的かつ効率的な整備及び運用その他の観点から整備されたガバメントクラウドを利用することについて検討を行い、その結果に基づいて公共情報システムの整備を行わなければならないこととする。要するに国の整備したガバメントクラウドに国以外の機関も共有し一本化していくことになる。

 国が契約するクラウドサービスの事業者は1業者ではない。既に利用している事業者は2021年からアマゾンとグーグル、2022年からマイクロソフトとオラクルが選定されている。現状に即してアメリカによるデジタル植民地だと言われてきた。2023年に初めて日本企業が公募に応募してさくらインターネット社のさくらのクラウドが選ばれた。ただし、2025年までに119にも上る課題をクリアすることを条件とされている。2024年9月末に39の課題をクリアしておりデジタル庁の認識では順調に進んでいるという見解である。友好国とはいえアメリカの事業者に国が持つ重要情報や国民の個人情報の保管サービスを偏に頼るのは心許ない。さくらインターネット社の参入は国産企業であることから歓迎したい。ただ、既にサービスを提供している4社と比較してさくらインターネット社は企業規模が格段に小さい。その分、ガバメントクラウドに関するプロジェクトに費やす予算は少ない。セキュリティに関してそうだ。ガバメントクラウドには高度なセキュリティ要件をクリアする必要がある。その安全性を保証するのがISMAP(Information system Security Management and Assessment Program)だ。ISMAPは国際標準などを踏まえて策定された厳格なセキュリティ基準で監査機関によって各基準を満たしていると評価されたクラウドサービスがISMAPクラウドサービスリストに登録される。ISMAPを選定条件とすることで政府によるセキュリティチェックの作業が軽減され信頼性も確保できる。

 スケールメリットや実績でさくらインターネットが他社に先んじることは不可能である。さくらインターネットは自社開発、自社運営、複数分散拠点という独自の利点を有している。何より、日本企業であるというメリットは大きい。政治的なリスク、為替的なリスクを回避できる。アメリカの巨大企業によるガバメントクラウドサービスの提供は正しく黒船であるが、さくらインターネットも昨年は過去最高益を出している成長企業である。NTTやKDDIに比べてさくらインターネットは独立性が高い。ソフトバンクや楽天が独自の経済圏を形成するまでに短期間で成長したようにさくらインターネットも独自性を出して旧態然とした業界を進化させながら発展することが望まれる。

 近年ではデータ主権という概念がある。データ主権とは国家が自国のデータに対して持つ権利やその管理能力を指す。特にデータがどこで収集保存されるかに関しての規制を含む。データ主権はデータレジデンシィとも言い、データを収集、処理、保存する特定の地域や国のプライバシー法に準拠する際に役立つクラウドコンピューティングの一種である主権クラウドと呼ばれる概念の重要な要素である。よって、データ主権という思考上でもさくらインターネットへの国や自治体の需要は増していくものと思われれる。マルチクラウドは費用のロスであることから選択業者はオールオアナッシングとなる。今後のさくらインターネット社のクラウドサービスの行方に注視していきたい。

 ガバメントクラウドへの移行によってシステムは共有化される。共有化されるシステムは地方自治体にとって基幹的な業務である。住民基本台帳、選挙人名簿管理、国民年金、戸籍、戸籍の附表、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税、子供子育て支援、就学、児童手当、児童扶養手当、国民健康保険、障害者福祉、後期高齢者医療、介護保険、健康管理、生活保護、印鑑登録などである。国は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」で「60秒以内の手続き完了」という目標を掲げている。自治体システムの標準化が急がれる。

 自治体がクラウドに移行するメリットは、サーバー・OS・アプリの利用コストを削減できる、情報システムの迅速な構築と柔軟な拡張が可能になる、庁内外のデータ連携が容易になる、最新のセキュリティ対策を導入できるという4つが考えられる。

 物理的なサーバーを用意するコストがなくなることは大きい。サーバーを持たずに業者によるクラウドサービスに移行することで容量のアップサイズやダウンサイジングが容易になりロスを削減することができる。システム開発が容易になり開発期間が短縮できることで自治体の行政サービスは向上するはずである。また、データの様式や連携の方法を標準化することで自治体同士の連携も容易になる。自治体が個別に行っていたセキュリティ対策も必要がなくなりセキュリティ情報の更新はクラウドサービス業者が負う。

デメリットは多くはない。移行するシステムの互換性の確認しなければならないことと2024年まではデジタル庁が支払っていた利用料を2025年からは各自治体が従量制で費用負担をすることになる。移行する際には一時的に職員の業務負担が増す。

 米国もEUも英国も韓国もガバメントクラウドは既に導入している。現在はデジタルガバメントの推進に各国が取り組んでいる。EUは2030年までに主要行政サービスの100%オンライン化にするための取り組みを加盟国が並行して行っている。英国は2012年から政府ポータルサイト「GOV UK」を運用し、国民IDカードを2011年に廃止し、民間企業の発行したIDを利用して各種手続きや納税をオンライン化した。2000年から「USA GOV」サイトを活用し社会保障番号(SSD)を利用してすべての行政サービスに対応できようになっている。給付に際してはSSDに基づいて一元的に管理されておりほとんどの国民が手続き不要で受け取れる。韓国は2003年に「政府24」というポータルサイトを立ち上げ住民基本番号と指紋認証などで認証し各種行政手続きを行えるようになっている。コロナ下での給付金作業では1か月間で国民の98%への給付を完了している。韓国はオールデジタルゼロストップの実現に向け取り組んでいる。日本おいては地域格差の拡大に注意しつつも政府情報システムのクラウド化、共通部品化を推進するべきである。

 

*さくらインターネット社に対する助成金は支給しているのか。支給しているとしたらどいいうタイミングで金額はいくらか。

*さくらインターネット社の整備が進み本格的に稼働した後は多くの行政機関が段階的に国産クラウドであるさくらインターネット社に移行することが予想されるが、安全保障上、1社に偏ることは危険だと考える。かといって、外資のクラウドに頼り切ることも危険だと考える。そのへんのバランスをデジタル庁はどのように考えるか。

*データ植民地なんてよばれる状況を脱するために、国産クラウドとしてさくらインターネット社に続く企業があればより良いと考えるがデジタル庁は勧誘を行っているか、バックアップはあるか、取り組みを教示願いたい。

 

参考

https://masahikosakamoto.amebaownd.com/posts/56043487にてご確認ください

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坂本 雅彦

坂本 雅彦

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