2026/6/19
Youtubeリンクはこちら▶【府営住宅移管】結論:市の答えは「受けない」一択 大阪府は市民に将来負担を押し付けるな
先日、令和8年6月八尾市議会定例会にて、公営住宅政策、特に大阪府営住宅の八尾市への移管問題について、一般質問を行いました。
公営住宅は、住宅に困っている方々の暮らしを支える重要な住宅セーフティネットである一方、八尾市においても、市営住宅の老朽化、集約建て替え、管理戸数の適正化、指定管理の持続可能性など、多くの課題を抱えています。
その中で大阪府は近年、「府営住宅の市町」への移管を打ち出しています。府の示す「移管のメリット」を見ると、土地や建物を無償で譲り受けられ、一見すると市にとって有利に思えるかもしれません。しかし、現実はそう単純な話ではありません。

これまで八尾市議会や委員会では、会派や政党を問わず、府営住宅の八尾市への移管については、現実的な視点から非常に慎重な意見が多く出されてきました。私もその意見に強く賛同しています。
私は前職で住宅施策を担当していた経験もあり、10年以上前から、大阪府がかなり厳しい条件で府下市町に強引に府営住宅の移管を進めようとしていた実務の裏側を見てきました。八尾市の過去の委員会答弁でも、府が示す移管条件の厳しさが浮き彫りになっています。
これは、将来的な市の行財政運営と市民の負担に対し、極めて大きな爪痕を残しかねないリスクそのものです。

ところが、今年3月の市議会代表質問において、維新の会から、突然次のような質問が出されました。当時の質問文をそのまま引用します。
「公営住宅は、市民に身近な行政サービスであり、府営住宅については、将来的に市が担う可能性を検討すべきと考えます。最も、移管に当たっては、財政負担の整理が不可欠であり、府に一定の条件を求めることも必要と考えます。 そのために、府との協議会を立ち上げ、制度面・財政面を含めた検討を進めるべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。」
これまでの八尾市議会で積み重ねられてきた現実的な議論から大きく飛躍しており、八尾市民の将来負担について十分な根拠や具体的な試算もないまま、突然「府との協議会を立ち上げるべき」とする内容には、正直、耳を疑いました。
このような質問に対し、大松市長は以下の通り、極めて冷静かつ明確に答弁を返されました。
「府営住宅の移管についてでありますが、過去にも移管に向け、府との協議を行いましたが、本市内の全ての府営住宅を数年のうちに移管しなければならないなど、様々な条件が示されるとともに、築年数の古い府営住宅が多く、移管後の建て替え等に係るコストの増大が懸念され、平成28年度における協議を最後に、移管に向けた検討は立ち止まっている状況であります。 また、現在も府の担当部局との間で意見交換の場を設けておりますが、府の示す条件等の状況に変化はなく、本市において、市営住宅ストックの効率的な整備・管理を推進する中で、これまでに府から示された条件の下で移管を受けることは、本市の行財政運営を圧迫することから、困難と考えております。 今後、府において、各自治体が府営住宅の移管について前向きな検討ができるよう、基金などの財源の引継ぎや移管に係る諸条件の見直しが行われ、検討協議の提案等がされた際には、改めて判断してまいりたいと考えております。」
市長は、市の行財政運営と市民負担を踏まえた、極めて妥当な判断をされたと評価できます。
そこで今回の6月定例会で私は、この問題にケリをつけるべく、改めて市へ4点の本質的な質問をぶつけました。
これに対し、大松市長からは極めて明快な答弁を頂きました。
まず1点目について、「3月定例会の認識から変更はなく、これまでに府から示された条件で移管を受けることは困難」とスタンスの堅持を明言。
2点目の大東市の移管延期についても、「原材料費やエネルギー価格の上昇などの物価高騰による財政負担について、府と協議中のため延期されたものと認識している」とし、社会情勢のリスクを八尾市も共有していることが確認できました。
さらに3点目の試算については、定量的試算こそ行っていないものの、「管理戸数増加に伴う人員体制、地方債の償還をはじめとする維持管理費や建て替え等の事業費により、本市の行財政運営を圧迫するものと考えている」と、リスクの本質を的確に捉えた答弁がありました。
最後の今後の協議姿勢についても、現在の条件のままでは困難であることを前提とし、「今後、府において基金などの財源の引継ぎや諸条件の見直しが行われ、提案等がされた際には改めて判断する」とご答弁。つまり、「今のままの無茶な条件では、検討のテーブルにすら載せない」という市の強い姿勢が改めて示された形です。

府営住宅の移管について、「跡地を市で活用すればいい」「民間活力を導入すれば新たなまちづくりが可能」などと安易な意見が散見されます。しかし、これはあまりにも楽観的な議論です。
民間活力を導入して公営住宅を建て替える代表的な手法に「PFI方式(民間の資金やノウハウを活用して、住宅整備と余剰地活用を一体的に進める仕組み)」があります。しかし、直近5年間の府営住宅建替事業の詳細を調べたところ、PFI方式が実施されたものはわずか4件にとどまり、しかもそのうち3件は北摂地域でした。
つまり、民間事業者が積極的に参入するのは、都心部や北摂、阪神間といった「市場性が極めて高いエリア」だけです。
市場性が十分でない地域では、民間の手は挙がりません。結局は行政が100%直営で、膨大な建て替え、維持管理、解体費用を背負うことになります。八尾市の現実を踏まえれば、「民間活力で何とかなる」などというのは、ただの危うい夢物語に過ぎません。
今回の一般質問で私が一番問題提起したかったのは、「大阪府、もうちょっとちゃんとせえ」ということです。
大阪市内の派手な大規模開発ばかりに注力し、八尾市を含めた一般市町村のことを放ったらかしにしていないか。そればかりか府営住宅に関しては、府内各地の老朽化してきている物件の維持管理コストを市町やその住民に押し付けようとしている。
聞くところによると、大阪府はすでに大阪市・門真市・池田市・大東市などに従来の条件で府営住宅移管を行っているため、今後この条件を他の市町有利に変える方針はほぼ無いようです。
現実に、すでに移管を進めていた大東市すら社会情勢の変化(物価高騰)で延期に追い込まれている今、府下の自治体がこれから新しく移管を受けることなど到底不可能です。
大阪府もその状況は分かっているはずなのに、いまだに「府営住宅の市町移管で住民サービス向上」などという時代遅れの方針を掲げ、「移管しませんか」と、各市町に営業するポーズだけを取り続けている模様です。これこそ行政の硬直性であり、前例踏襲的な税金の無駄遣いではないでしょうか。
大阪府の負担を軽くするために、八尾市民の将来負担を増やすような構図は、絶対に認められません。
今回の私の質問に対し、市と大松市長は「移管は受けないし、今後もその考えは変えない」という、極めて真摯で現実的な目線を持った強いメッセージを返して頂きました。八尾市の行財政運営をしっかりと守る視点として、非常に高く評価できます。
担当部起案のもと、市長からこれだけ明確なご答弁をいただいた以上、八尾市はこれからも流されることなく、「八尾市は絶対に無茶な移管なんか受けない」というスタンスを粛々と貫いていただきたい。私も市民の財産と未来を守るため、この問題を厳しく注視し続けます。
今回のような議会での質問の内容や、八尾市政・大阪府政、地方自治の仕組みについて、YouTubeでも解説しています。
元自治体職員・現職市議会議員の立場から、統計データや公的資料、議会活動の現場で得た視点をもとに、できるだけ分かりやすく発信していくチャンネルです。
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