わたなべ 友貴 ブログ

【杉並区での公有地でのAV撮影の禁止を求める陳情】について

2024/6/15

【杉並区での公有地でのAV撮影の禁止を求める陳情】

 

先日、表題の陳情が杉並区議会都市環境委員会で審査されました。

 

まず、そもそもこの陳情が出された経緯を説明します。

 

陳情提出までの経緯

 

小学校と直結している区立公園で、杉並区に無断でAV作品の撮影が行われました。

 

この作品は、幼い見た目の成人女性が小学生役を演じ、いわゆる近親相姦をテーマにした作品だったとのこと。

 

当該公園では、ドラマパートのみが撮影されたということでした。

 

本件に対する杉並区の対応は、異常でした。

 

まず、杉並区に無断で撮影した企業に「みどり公園課長」名義で抗議したことです。

 

公園管理者は杉並区であり、その長は区長です。

 

本来は岸本聡子区長名義で抗議をするべきですが、未だにそれをしてません。

 

また、杉並区は当該案件を区民に公表していません。

 

本件が明らかになってから、事件を知ることができた保護者から多くの不安の声が杉並区に届いています。

 

それにもかかわらず、事件の経緯や事後対応など、区民への公表は一切なし。

 

情報公開ナンバーワンを掲げる杉並区政との整合性が取れません。

 

こうした経緯から、陳情者は

 

◎子供を育てる保護者として、

◎子供達からの不安の声を聞いてそれを代弁する為

◎一人の女性として

 

この3つの立場をもって区の対応が不十分であると考え、陳情を提出することになりました。

 

その上で、私は陳情内容にいくつか課題もあったと思っています。

 

私の考える陳情内容の課題

 

それは、①AV作品を「一律」禁止を求めていること、②対象を「AVに限定」していること、です。

 

①AV作品を「一律」禁止を求めていること、について

 

杉並区に言わせれば、「AV作品とはいえ表現の自由がある。いわゆる「猥褻なシーン」以外のシーン撮影を禁止することは難しい。それを明文化することも難しい。」、とのことです。

 

たしかに、AV作品にも「表現の自由」があることは理解します。

 

しかし、表現の自由も「公共の福祉」によって制限を受けます。

 

AV作品のドラマパートとはいえ、それは猥褻シーンへの過程であり、一つの作品として制作者も視聴者もそこを分けられることは望んでいないと思います。

 

あくまでも、作品を一体として行政は判断するべきだと私は思います。

 

その上で、条例上「禁止」としなくても、現在公園の利用で禁止されている「公序良俗」の判断において、その点を慎重に判断する、という対応でいいはずです。

 

行政はある議員に仕込みで条例改正云々の質問をさせたようですが、条例改正の必要はありません。

 

現在は、申請の際に撮影シーンの絵コンテ等を提出させて区が判断しているようですが、今後は作品全体の流れなども含めて詳細な資料を提出させることで「公序良俗」に反するか否かの判断をする、などの対応に変えることは条例をいじらなくてもできます。

 

今回の陳情のきっかけとなった作品でいえば、『幼女の近親相姦がテーマとなっている作品のドラマパートを、普段子供が利用する公園で撮影すること』が、「公序良俗」に反しないのか

 

私は反すると思います。

 

こうした判断を今後行政が個別具体的にすることは、陳情の趣旨に沿うものであると思います。

 

従って、陳情通りの「一律禁止」では採択が難しくても、趣旨採択は可能ではないか。

 

②対象を「AVに限定」していること、について

 

また、陳情者や保護者・子供の不安を解消する為には、AV作品に限らず『成人指定作品』※エロに限らずグロも、全体を対象に陳情することが適切であると思います。

 

この点で、AV作品に限定されていた陳情に対して、採択、とまですることは難しいと考えました。

 

会派としての結論は【趣旨採択】

 

以上が私の見解ですが、会派内にもそのほか様々な意見がありました。

 

そして結果的に、杉並区議会自由民主党として【趣旨採択】を主張することになりました。

 

しかし、残念ながら我々の主張は少数派でした。

 

理由も述べずに不採択を主張した議員たち

 

不採択を主張した議員は以下の通り。

 

立憲民主党→安田マリ議員

日本共産党→酒井まさえ議員

緑の党→ブランシャー明日香議員

公明党→川原口ひろゆき議員

 

そして、もっと残念だったのは4人のうち誰一人『不採択の理由を説明していない(意見開陳していない)』ということです。

 

これでは、陳情者はなぜ自分の陳情がダメだったのか、何もわかりません。

 

保護者として、子供の代弁者として、女性として。

 

陳情者の3つの立場からの不安の気持ちに一切寄り添うことなく不採択ということです。

 

通常の陳情審査では、採択や趣旨採択を主張する者がいれば、対極である不採択を主張するどなたか一人は意見開陳をするものです。(明文化はされていませんが慣習のようなものです)

 

しかし、それが今回は示し合わせてたようにされませんでした。

 

こうした姿勢は、あまりにも無責任ではないでしょうか

 

もっといえば、陳情者は「一人の女性として」と、おっしゃっています。

 

女性議員にはせめて、女性としての自分の立場に寄り添ってほしい、理解してほしいとおっしゃっています。

 

それがどうでしょう。

 

委員会に出席して不採択を主張した女性議員全員が、意見開陳もせずに不採択。

 

これが本当にみなさんの望むパリテ議会なんでしょうか。

 

非常に残念です。

 

私たち自民党も、趣旨採択が否決されたので最終的には「不採択」としました。

 

陳情者の方には申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

陳情者の方は、陳情審査の後もX(旧Twitter)上で不採択の女性議員に理由を尋ねているようですが、いまだに誰からも返事がないそうです。

 

これが、今の杉並区議会の現状、いや、惨状です。

 

 

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肩書 杉並区議会議員
党派・会派 自由民主党

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