2026/9/11
こんにちは、亀山市議会議員の草川たくやです。
亀山駅でICカードを使って乗り降りすること自体は、できます。できないのは、亀山駅を「またいで」乗ることです。名古屋から乗って亀山を通り越し、加茂まで行く——この乗り方が、ICカード(チャージ残高)では成立しません。
関西本線は、亀山駅を境に運営会社が分かれています。JR東海が名古屋〜亀山の59.9km、JR西日本が亀山〜JR難波の115.0km(亀山市公式サイト https://www.city.kameyama.mie.jp/docs/2023033000128/sawayaka.html )。1987年の国鉄分割民営化のときに引かれた線が、そのまま今日まで残っています。
ICカードのエリアも、この境目で切れています。名古屋方面はJR東海のTOICAエリア、加茂方面はJR西日本のICOCAエリア。亀山駅は、その両方の「端っこ」にあたります。端っこ同士が隣り合っているのに、つながっていない。だから亀山駅での乗り降りはできても、亀山駅をまたぐ移動はICでは扱えません。

JR東海のTOICA公式サイトは、こう書いています。「定期券区間内のご利用を除き、各エリア外への乗りこしや異なるエリアをまたがってのご利用はできません。」( https://toica.jr-central.co.jp/howto/sharing/ )。
JR西日本は、2021年1月19日に発表し、同年3月13日から、関西本線の加茂〜亀山でICOCAエリアの拡大をサービス開始しました( https://www.westjr.co.jp/press/article/items/210119_00_ICareakakudai.pdf )。このプレスリリースによって、亀山をまたぐICOCA定期券は、2021年3月13日から購入できるようになっています。
つまり、「亀山はエリアの境目だから、絶対にまたげない」わけではありません。定期券という形では、すでにまたげているのです。
一方で、チャージした残高で亀山をまたいで乗ることはできません。自動改札機がその乗り方を扱えないため、通しのきっぷを買う必要があります。 毎日通勤・通学する方は定期券で対応できます。けれども、月に何度か京都や奈良へ行く、加茂方面から亀山へ用事で来る、という「たまに乗る人」ほど、この不便を正面から受けます。
「会社が違うんだから仕方がない」——そう受け止めている方は、少なくないと思います。でも、ここは丁寧に見ておきたい。
首都圏では、JRと私鉄・地下鉄を1枚のICカードでまたいで乗れます。SuicaとPASMOを軸にした首都圏ICカード相互利用の枠組みがあるからです。会社はいくつもまたいでいますが、乗客にとっては1枚で完結しています。
逆の例もあります。同じJR東日本の中でも、東京と仙台はICのエリアが異なるため、またいで乗ることができません。会社は同じなのに、またげない。
この2つを並べると見えてきます。ICでまたげるかどうかを決めているのは「会社が同じかどうか」ではなく、「エリアがつながっているかどうか」です。 会社の違いが、そのままICの壁になるとは限らない——それが、この2つの例から見えることです。
もう一つ、押さえておきたい事実があります。運賃は、JR東海とJR西日本をまたいでも通しで計算されます。亀山で運賃が切れているわけではなく、きっぷを買えば名古屋から加茂まで1枚で行けます。
運賃も、線路も、列車の行き先案内も、亀山駅でつながっている。途切れているのは、ICです。
2026年9月10日の一般質問で、この問題を市に問いました。亀山駅が2つのエリアの境目にあるために、名古屋方面から亀山を越えて乗り通そうとすると、一度改札を出て乗り直すことになる。この不便を課題として認識しているか、早期の改善に向けてJRに強く要望してほしい——そう求めました。
会議録が未公開のため、以下は逐語の引用ではなく、私の受け止めによる要約です。正確な文言は、会議録が確定した段階で改めて確認します。
市(政策部長)の答弁は、おおむね次の内容でした。
亀山駅をまたぐ利用の状況は質問のとおりで、交通系ICカードの利用環境の充実は必要だと認識している。これまでも三重県や沿線自治体等とともに、利用エリアの拡大を含む利用環境の拡充をJR各社へ継続的に要望してきた。ただし事業者間をまたぐIC決済の連携には、システムの統一化や施設整備など一定の設備投資が必要で、現時点では実現に至っていない。今後は、事業者間をまたぐIC利用環境の整備に加え、クレジットカードのタッチ決済や2次元コード乗車サービスの導入も含めた多角的な利便性向上について、関係機関と連携を図りつつJR東海・JR西日本、さらには国に対して要望を行ってまいりたい。
なお、紀勢本線では2027年春(予定)に下庄駅から多気駅までの9駅がTOICAの利用エリアに加わることが、2026年1月21日にJR東海から発表されています( https://jr-central.co.jp/news/release/nws000001_00365.html )。亀山市内の下庄駅も対象で、亀山でICが使える範囲は少しずつ広がってきています。ただしこれはJR東海のエリア内での拡大であり、亀山駅で2社をまたげるようになる話ではありません。
交通系ICカードの利用環境の充実は必要だと市が認識を示したこと、そして要望先にJR2社だけでなく国まで挙げたこと——ここが、この日の答弁で前に進んだ点です。
2018年の初当選以来、公共交通は本会議で繰り返し取り上げてきました。2020年2月に自家用有償運送、2022年8月にコミュニティバスの再編、2024年11月には南部・昼生・菅内での路線新設と、住民・事業者・行政の3者協議を求めています。市内の足の確保から始まった論点は、いま「亀山と都市圏をどうつなぐか」まで広がりました。関西本線には、電化や京都方面への直通といった、実現に時間のかかる大きな課題もあります。だからこそ、その一番手前にある「今日から困っている不便」を先に片づけたい。ICまたぎは、そういう位置にあります。
2点を申し上げます。
第一に、市が答弁で示した要望の意向を、続いていると見える形にすること。市はすでに、三重県や沿線自治体等とともにJR各社へ要望を重ねてきたと答え、今後はJR2社に加えて国にも要望する意向を示しました。ただし、意向の表明は実施の確約ではありません。だからこそ、いつ・どの場で・どの相手に伝えたのか、そしてどう返ってきたのかを、市民に分かる形で示していく。境界駅を抱える自治体として2社の両方に働きかけられる立場にあるのは亀山市であり、その働きかけの経過が見えることが、次の一歩を押し出す力になります。
第二に、電化や京都直通の議論と、このIC問題を切り離さずに置くこと。大きな構想の議論を進める間も、目の前の1枚のカードが亀山で止まったままにしておくべきではありません。
運賃は会社をまたいでも通しで計算される。定期券はすでに亀山をまたげる。首都圏では会社をまたいで1枚で乗れている。できない理由より、できている事実のほうが多いのが、この問題です。決めるのはJR東海とJR西日本。その連携を後押しできるのは国。そして、境界駅を抱える自治体として2社と国の双方へ働きかけられるのが亀山市です。市はJR2社と国に要望していく意向を示しました。私は、その要望がどこへ、いつ届いたのかを引き続き確かめていきます。亀山駅で、カードだけが止まっている状態を変える。それは、亀山に「住みやすさ」を一つ増やすことだと考えています。
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