2026/9/4
「高次脳機能障害」という言葉を聞いたことはありますか?
名前だけを聞くと、少し難しく感じるかもしれません。
高次脳機能障害とは、病気や事故などによって脳が傷ついたことで、それまでできていた「覚える」「集中する」「考えて行動する」「感情をコントロールする」といったことが難しくなる障害です。
厚生労働省によると、全国で約23万人いると推計されています。
高次脳機能障害の症状は、一人ひとり違います。
たとえば、こんな変化が現れることがあります。

医学的には「記憶障害」「注意障害」「遂行機能障害」「社会的行動障害」「失語」などと呼ばれます。
高次脳機能障害は、生まれつきのものとは限りません。
脳卒中などの病気や、交通事故などによって脳が損傷した後に生じることがあります。つまり、それまで学校に通ったり、仕事をしたり、家庭生活を送ったりしていた人が、ある日を境に高次脳機能障害になることもあります。
そして、症状は脳のどの部分が、どの程度傷ついたかなどによって異なります。
高次脳機能障害を理解するうえで、特に知っていただきたいのが、外見だけでは分かりにくいことがあるという点です。
身体が動き、普通に会話もできる。一見すると、病気や事故の前と変わらないように見える方もいます。
ところが実際には、
「仕事の手順を覚えられない」
「約束を忘れてしまう」
「複数のことを同時に進められない」
「以前より感情を抑えることが難しい」
など、日常生活の中で困難を抱えていることがあります。
さらに、本人自身が自分の変化に気づきにくい場合もあります。
そのため周囲から、障害による症状だと気づかれず、本人の性格や態度の問題として受け止められてしまうことがあります。
埼玉県も、症状が外見から分かりにくく、本人に自覚がない場合もあることから、「見えない障害」と言われることがあると説明しています。
病院で治療やリハビリを受けている間には分からなかった困りごとが、家庭や学校、職場に戻ってから見えてくることもあります。
「以前のように仕事ができない」
「家事の段取りがうまくできない」
「人間関係がうまくいかなくなった」
こうした変化が高次脳機能障害によるものだと、本人や家族が気づいていない場合もあります。
だからこそ、本人だけでなく、家族や職場、地域など周囲の人が高次脳機能障害について知っておくことが大切です。
高次脳機能障害をめぐっては、大きな動きもありました。
2025年12月に「高次脳機能障害者支援法」が成立し、2026年4月1日に施行されました。
この法律では、地域での生活支援や相談体制の整備、高次脳機能障害者支援センターなどについて定め、本人の自立や社会参加を生活全般にわたって支えることを目的としています。
埼玉県では、高次脳機能障害について、本人だけでなく家族や支援者からの相談も受け付けています。
2026年度からは県内4か所に「高次脳機能障害者支援センター」が設けられ、医療、福祉、仕事、日常生活の困りごとなどについて相談できる体制が整えられています。入間市を含む県西部には、川越市の霞ヶ関南病院に西部地域支援センターが設置されています。
高次脳機能障害は、名前だけではどのような障害なのか分かりにくく、さらに症状そのものも外から見えにくいことがあります。
だからこそ、「高次脳機能障害というものがある」と知ることが、理解への第一歩です。
本人や家族が「自分たちだけで何とかしなければ」と抱え込むのではなく、周囲が変化に気づき、必要な相談や支援につながる。
高次脳機能障害について知る人が地域の中に少しずつ増えていくことが、本人や家族の暮らしやすさにもつながっていくのではないでしょうか。
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