石松 修 ブログ

子どもたちを性暴力から守るために ―「こども性暴力防止法」が令和8年12月に施行されます

2026/7/23

 令和8年第2回宗像市議会定例会において、一般質問で「こども性暴力防止法」への本市の対応について取り上げました。今回はその内容をもとに、この法律がどのようなもので、宗像市がどのように準備を進めているのかをご説明したいと思います。


令和8年第2回定例会(6月)一般質問を行いました
https://go2senkyo.com/seijika/163698/posts/1463183

こども家庭庁 こども性暴力防止法について
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou

 こども性暴力防止法とは正式名称は「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」といい、令和6年6月に成立し、令和8年12月25日に施行されます。学校や保育所、学童保育、学習塾、スポーツクラブなど、子どもたちに教育や保育を行う場では、指導する大人と子どもの間に「支配性・継続性・閉鎖性」のある特別な関係が生まれます。こうした場での性暴力を防ぎ、子どもの心と体を守ることが、この法律の目的です。

この法律により、子どもに関わる事業者には、主に次のような取組が求められます。

・日頃から子どもを性暴力から守る環境づくりを進めること
・子どもと接する業務に就く人について、性犯罪歴の有無を確認すること
(いわゆる「日本版DBS」、正式には犯罪事実確認といいます)
・性暴力のおそれがある場合は、その人を子どもと接する業務に就かせないこと

 背景には、大変厳しい現実があります。子どもが主な被害者となった性犯罪の認知件数は令和6年度で5,000件以上、児童ポルノ犯罪の検挙件数は2,700件以上、被害を受けた児童は1,200人以上にのぼります。また、性犯罪・性暴力を理由に懲戒処分を受けた公立学校の教育職員は、近年毎年200人以上にのぼっているという実態もあります。子どもは被害を訴えにくく、大人の側にも「これくらいは問題ない」という認知の偏りが生じやすいことから、被害が見過ごされ、エスカレートしやすいという特性が指摘されています。

「義務対象」と「認定対象」の違い
 この法律の重要なポイントは、施設によって位置づけが二段階に分かれていることです。
 義務対象施設は、法律上必ず対応が求められる施設です。宗像市では、市立小中学校・義務教育学校、障がい児通園施設(のぞみ園)、放課後等デイサービス・児童発達支援事業所(げんきっこくらぶほっぷ)などが該当します。市が直接所管していない義務対象としては、認可保育所、認定こども園、幼稚園、指定障がい児通所支援事業などがあり、これらは所轄庁である福岡県の指示のもとで準備が進められています。

 認定対象施設は、学童保育所や学習塾、スポーツクラブ、認可外保育施設など、認定の取得が任意とされている施設です。国の認定を受けると、「こまもろう」マークを使用できるようになります。四角いマークが義務対象事業者向け、丸いマークが認定を受けた事業者向けの目印です。

 なお、離島である大島の大島へき地保育所は、市立でありながら義務対象ではなく認定対象という扱いになっており、本土側との差が生じないよう、しっかりとした対応を市に求めました。こども性暴力防止法 事業者マーク

※こども性暴力防止法 事業者マーク(こども家庭庁サイトより引用)
左:認定事業者マーク
(学習塾やスポーツクラブなどで、国の認定を受けた事業者が表示可能)
右:法定事業者マーク
(学校、認可保育所などの義務対象事業者が表示可能)

宗像市の準備状況
 市の答弁によれば、義務対象となる市立小中学校では、学校設置者としてのID発行や事業者情報の登録作業が進められています。また、犯罪事実確認をスムーズに行えるよう、所轄庁からの指示に沿って事業運営の委託先とも連携を進めているとのことです。

 一方、認定が任意である学童保育やスポーツクラブなどについては、市は事業者の判断を尊重しつつ、説明資料の提供や相談窓口の案内といった支援を行っていく方針です。学童保育については、※指定管理者である民間事業者・コミュニティ運営協議会のいずれも認定取得の意向を示しており、準備が進められています。(※指定管理者制度とは、公の施設の管理を民間にお任せする制度です。民間が管理することにより、多様化する住民ニーズに効果的・効率的に対応し、経費の削減等のみならず住民サービスの向上が期待できます。)

部活動の地域移行は
 部活動の地域移行との関係についても質問しました。学校の部活動自体は義務対象となる一方、その受け皿となる地域クラブ活動は認定対象に位置づけられます。市は、認定地域クラブの認定時や人材バンクへの登録時に交わす誓約書に、この法律の趣旨を理解し遵守する旨を明記していく考えを示しました。今後、生徒が安心して地域クラブ活動を行えるように「認定マーク」の取得について強く要望いたしました。

子どもや保護者への周知、相談体制
 法律の実効性を高めるためには、事業者側の対応だけでなく、子どもや保護者自身がルールを理解していることも欠かせません。市は、子どもに対しては発達段階に応じて、水着で隠れる部分などの「プライベートゾーン」を他人に触らせないといった性に関するルールを、日常の教育・啓発の中で伝えていくとしています。保護者に対しては、入学や通所の際の説明や相談窓口の案内などを通じて周知を図るとのことです。

 相談体制については、性暴力に関する相談は専門性が高く、関わる人員を絞って迅速に専門機関へつなぐことが重要とされています。宗像市では、保護者等からの相談は子ども家庭センターが受け止め、必要に応じて児童相談所や警察など、専門職が配置された機関へ速やかにつなぐ体制をとっています。

 広報については、広報紙やホームページでの周知はこれから本格化する段階とのことでした。私からは、市の公式LINEなども活用した周知が有効ではないかと提案しています。

今後に向けて ― 子ども基本条例とのつながり
 宗像市には、平成24年に制定された先進的な「子ども基本条例」があり、その中には「健全な発達を阻害する環境からの保護」として、性的虐待などの有害な情報から子どもを守るよう努める旨が既に明記されています。私は、こども性暴力防止法の趣旨をこの条例にしっかりと組み込み、アップデートしていくことが必要ではないかと考えており、今後も議会の場で提起していきたいと思います。
 子どもたちが安心して学び、育つ環境を守ることは、行政だけでなく地域社会全体の責任です。令和8年12月の法施行に向けて、市の準備状況を引き続き注視するとともに、事業者の皆さんや子どもたち、保護者の皆さんにも、この法律への理解を深めていただけるよう取り組んでいきたいと思います。

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石松 修

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肩書 宗像市議会議員 ・ 行政書士 石松修 事務所 代表
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