2026/4/23
2026年4月、国土交通省がついに動き出しました。
公共工事の入札で長年使われてきた総合評価方式の見直しに向けた検証を、有識者会議で本格的に開始したのです。
これは単なる制度の微調整ではありません。
日本のインフラの長期的な品質確保と、建設業界の持続可能性を左右する、重要な転換点になる可能性があります。

2005年の「公共工事品質確保促進法(品確法)」以降、ほぼすべての国土交通省直轄工事で総合評価方式が採用されてきました。
一見、制度は機能しているように見えます。
しかし、国交省が今回問題視しているのは「その先」です。
工事成績は高いのに、出来上がったインフラの耐久性や長期的な品質向上に、本当に繋がっているのか?
この「見えない成果」のギャップが、今回の見直しの最大のきっかけです。
総合評価方式の目玉である技術提案。
企業は工夫を凝らした提案書を作成し、評価を受けます。
しかし現場の声としてよく聞かれるのは、
さらに深刻な現象として、入札価格が調査基準価格付近に集中している点があります。
企業が「どう技術を提案するか」よりも、「予定価格をどう読むか」に労力を割いている可能性が高いのです。
これでは、本来の目的である「優れた技術力による競争」が歪んでしまいます。
有識者会議では、極めて本質的な指摘が出ました。
「国交省として求める品質を明確にすべき」
特に今、日本は戦後建設されたインフラの老朽化が深刻化しています。
このバランスを明確に設計しない限り、どんなに評価基準を高度化しても本質的な解決にはなりません。
小澤一雅部会長(政策研究大学院大学教授)は、「契約相手の選び方だけでなく、仕様書や契約の仕組みも含めて見直すべき」と指摘。まさに建設生産システム全体の見直しを促しています。
もう一つの大きな課題が、事務負担の増大です。
これらが受発注者双方に重くのしかかっています。
建設業界は慢性的な人手不足に苦しんでおり、このままでは制度自体が現場を疲弊させ、結果として品質低下を招く恐れさえあります。
現に発注者の役所の職員が品質管理の用語をよくわかっていない人もいましたし、
人手不足を解消するために外国人に作業員を頼めば、品質や安全におろそかな仕事をする人も出ています。
もちろんすべてではありませんが、かつてよりかは変わってきていると現場で感じます。
国交省は今後、技術者情報のデータ化・集約や手続きの効率化で負担軽減を図る方針ですが、根本的な解決にはさらに踏み込んだ対策が必要です。
今回の議論のポイントはここにあります。
総合評価方式の運用改善だけでなく、
といった、構造改革レベルの視点が求められています。
●評価は高いのに実態が伴わない。
●現場は疲弊する。
●インフラは老朽化が進む。
この「三重のミスマッチ」を放置すれば、日本の社会資本は確実に劣化していきます。
公共工事は、ただの「発注」ではありません。
税金を使って次世代に残す「未来への投資」です。
今回の見直しが、単なる「事務手続きの調整」で終わってしまうのか、それとも本気で「真に求める品質とは何か」を問い直し、現場負担を抜本的に軽減する構造改革に踏み込むのか——それが問われています。
国交省には、データに基づく丁寧な検証と、現場の声をしっかり反映した改革を期待します。
建設業界も、技術提案の実効性を高め、生産性向上(DX活用など)に本気で取り組む機会と捉えるべきでしょう。
私はICT施工を専門にここ数年はやりましたが、ゼネコンではない業者と接すると「ICTって何?」などと言われる始末です。
インフラの品質をどう担保し、業界を持続可能にするか。
この議論が、日本の公共工事政策の転換点になることを願っています。
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