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大原 ゆうき ブログ

道路公園施設包括管理業務委託。障がい者雇用の確認方法に残る疑問

2026/9/15

先日の記事では、9月8日の一般質問で取り上げた「道路公園施設包括管理業務委託」について、プロポーザルを巡る4つの論点を整理しました。

今回は、そのうち「障がい者雇用は何をもって確認したのか」という点について、もう少し詳しく取り上げます。

このプロポーザルでは、企業の社会性を評価する項目として障がい者雇用の有無が設定されており、障がい者を雇用している場合には加点される仕組みとなっていました。

当然ですが、「障がい者を雇用している」という事実を加点する以上、その事実について客観的な裏付けが必要です。

今回、市はその確認資料として「障害者雇用状況報告書」を指定していました。しかし、この書類は、事業者の規模によって法的な位置づけが大きく異なります。

「障害者雇用状況報告書」とは何か

まず、「障害者雇用状況報告書」がどのような書類なのかを確認しておきます。

障害者雇用促進法では、一定規模以上の事業者に対して、法定雇用率以上の障がい者を雇用することを義務付けています。

今回のプロポーザルが行われた当時、民間企業の法定雇用率は2.5%でした。制度上の算定による常用雇用労働者数が40.0人以上となる事業者には、障がい者を法定雇用率以上雇用する義務が課せられていました。

そして、こうした法定雇用義務のある事業者には、その履行状況を確認するため、毎年6月1日現在の障がい者雇用状況をハローワークに報告する義務も課せられています。その際に提出するのが「障害者雇用状況報告書」です。

また、報告をしなかった場合や虚偽の報告をした場合には、障害者雇用促進法に基づく罰則も設けられています。

つまり、法定雇用義務のある事業者が提出する障害者雇用状況報告書は、単に「事業者がそう申告しているから信用する」という性善説だけに基づく書類ではありません。

障がい者を一定数以上雇用する法的義務があり、その履行状況を報告する法的義務があり、虚偽報告には罰則もある。こうした制度を背景としているため、社会通念上、障がい者雇用の有無や状況を確認するための資料として取り扱われています。

法定雇用義務のない事業者では事情が違う

一方で、制度上の算定人数が40.0人未満となる事業者については事情が異なります。

こうした事業者には、そもそも法定雇用率に基づく障がい者の雇用義務がありません。そして、障害者雇用状況報告書をハローワークに提出する法的な報告義務もありません。

そのような事業者が任意に「障害者雇用状況報告書」と同じ様式の書類を作成して提出したとしても、法定雇用義務のある事業者が提出する報告書と同じ制度的な裏付けがあるわけではありません。

一般質問でも指摘しましたが、ハローワークの受領印は、書類が提出されたことを示すものです。そこに記載された障がい者が実際に雇用されていることまで、ハローワークが個別に確認・証明したことを意味するものではありません。

法定雇用義務も報告義務もない事業者については、障害者雇用状況報告書に記載された雇用の有無を制度上担保する仕組みがありません。その意味では、障がい者雇用の有無についての自己申告にとどまります。

プロポーザルで点数を加点するための裏付け資料として考えれば、これだけでは担保として不十分です。

事業者規模によって確認方法を分ける自治体もある

この問題は、特別に難しい制度設計をしなければ防げないものでもありません。

阪神間の複数の自治体では、障害者雇用促進法上の雇用義務・報告義務の有無に応じて、障がい者雇用の確認方法や提出書類を分けています。

例えば、法定雇用義務のある事業者については障害者雇用状況報告書を求める一方、法定雇用義務のない事業者については、障害者手帳や健康保険、賃金台帳など、実際の障がい者雇用を確認できる資料を求める仕組みを設けている自治体があります。

つまり、法的な報告義務のない事業者については、「障害者雇用状況報告書」という書類の名称だけで判断するのではなく、実際に障がい者であることや、実際に雇用関係があることを確認できる資料によって裏付けを取っています。

それに対して芦屋市は、事業者規模による法的な位置づけの違いを区別せず、障害者雇用状況報告書を一律に確認資料としていました。

加点評価の根拠となる事実を確認するための仕様としては、あまりにもずさんだったと言わざるを得ません。

当局の答弁

一般質問では、市は、受託事業者から提出された障害者雇用状況報告書をもって、障がい者雇用の有無を確認したと答弁しました。

一方、質疑を続ける中で、総務部長からは、当時のマニュアルが比較的規模の大きな事業者を念頭に置いた作りになっていたことは否めず、事業者規模によっては提出資料として十分ではなかったとの認識が示されました。

また、振り返ってみれば、確認方法には「改善の余地がある」との趣旨の答弁もありました。

実際、令和8年度に改定されたプロポーザルのマニュアルでは、障害者雇用状況報告書を提出資料として求める記載はなくなっています。

本来、担保のない申告を加点してはいけない

本来、プロポーザルで加点する事実について、担保のない自己申告だけをもって評価するべきではありません。

ただし、今回については、その責任を事業者側に求める話でもありません。

市自身が「障害者雇用状況報告書を提出してください」と仕様で定め、事業者はその条件に従って書類を提出しています。

本来必要な裏付け資料を求める仕様になっていなかったのであれば、それは市の仕様設計の問題です。

だからこそ、市が後から確認方法の不十分さに気付いたのであれば、「市の仕様が不十分だったので、実際に障がい者を雇用していることを確認できる資料を提出してください」と求めればよかったのではないでしょうか。

担保がないのであれば、後からでも確認する必要がある

一般質問でも、この点を確認しました。

これは、プロポーザルの評価条件を後から変更するという話ではありません。すでに市が「障がい者雇用あり」として加点した事実について、その裏付けを確認するという話です。

一般質問では、「プロポーザルの瑕疵という話ではなくても、評価した以上は担保を取る必要があるのではないか」という趣旨で、プロポーザルの手続論とは切り離して確認しました。市の仕様に落ち度があり、提出された資料だけでは十分な担保がないのであれば、後からでも実際の雇用関係を確認する必要があったと考えています。

質問と答弁がかみ合っていない

これに対し、総務部長からは、「最初に提示した条件を途中で変えることは非常に困難」との趣旨の答弁がありました。

しかし、確認したかったのは、プロポーザルの条件を後から変更することではありません。「条件を途中で変えることができるか」ではなく、「市が加点した事実について、実際に裏付けを確認する必要があるのではないか」と質問しています。

確認資料として担保がなかったのであれば、「後からでも確認する必要がある」と答えるのが自然ではないでしょうか。この点について、明確な答えが示されたとは考えていません。

障がい者数はなぜ黒塗りなのか

もう一つ、同じ障害者雇用状況報告書を巡って疑問が残っているのが、情報公開のあり方です。

建設公営企業常任委員会で資料請求を行い、受託事業者から提出された障害者雇用状況報告書の提供を受けました。しかし、障がい者数の部分は黒塗りとされていました。

当局の答弁

市は、障がい者数について、法人の人事に関する情報であり、公にすることで法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、非公開としたと説明しました。

再質問では、他の情報と組み合わせることで個人が特定される可能性や、企業の評価に影響を与える可能性なども理由として示されました。

すでに「障がい者雇用あり」は明らかになっている

しかし、この説明には疑問が残ります。

今回のプロポーザルでは、受託事業者は「障がい者雇用あり」として加点されています。

つまり、この事業者に少なくとも1人以上の障がい者が雇用されているという情報自体は、すでに明らかになっています。

その状態で、具体的な人数を公開することによって、どのような新たな不利益や個人の特定リスクが生じるのかについては、一般質問の答弁を聞いても納得できませんでした。

もちろん、障がいの内容や個人を特定できる情報など、センシティブな情報まで公開するべきだと言っているわけではありません。一方で、市自身が障がい者雇用の有無を評価し、その結果を公表している以上、人数まで非公開とするのであれば、公開によって具体的にどのような不利益が生じるのかを、もう少し明確に説明する必要があると考えています。

評価するのであれば、裏付けが必要

障がい者を雇用する事業者を、社会性の観点から評価すること自体を否定するものではありません。しかし、加点評価を行うのであれば、その前提となる事実を客観的に確認できる仕組みが必要です。

本来、担保のない申告をそのまま加点評価するべきではありません。そして今回、そのような状態を生んだ原因は、市が定めた仕様にあります。

市自身も、現在振り返れば確認方法に改善の余地があったことを認めています。

であるならば、「次から改善します」で終わらせるのではなく、市の責任で、今回行った評価についてもきちんと裏付けを確認し、総括する必要があると考えています。

プロポーザルは、公平性・公正性を確保しながら事業者を選定するための仕組みです。評価項目を設ける以上、その評価を支える根拠についても、公平・公正である必要があります。

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