2026/7/7
6月11日の民生文教常任委員会では、所管事務調査として市立幼稚園の今後の方針について報告を受けました。会議資料はこちら。
再編に関する話として、教育長より諮問を受けていた学校教育審議会からは以下の答申が示されています。
教育委員会は答申を踏まえて今後の方向性について検討をしていましたが、結果的には答申に沿った以下の方針を示しています。
今後は保護者や地域への説明を行い、令和8年9月定例会に幼稚園設置管理条例の改正議案を提出する予定です。
市立幼稚園の園児数が急速に減少しています。
平成28年頃には市立幼稚園全体で550人前後が在籍していましたが、令和6年度には5園合計で147人にまで減少しているとの説明がありました。また、1学年の園児数が一桁となる園も複数生じています。
園児数減少の要因としては、以下のような点が挙げられます。
こうした状況を考えれば、現在の5園体制をそのまま維持することは難しく、一定の再編はやむを得ないと考えます。一方で、今回の方針が子どもや保護者の視点から見た最適解であるかについては、疑問が残ります。
市は、小学校に隣接する宮川幼稚園、岩園幼稚園、潮見幼稚園を、それぞれの中学校圏域に1園ずつ残します。
存続する3園には、圏域内の保育所、認定こども園、私立幼稚園など、すべての就学前施設と小学校をつなぐ拠点としての機能を持たせ、専任の「架け橋期コーディネーター」を配置する方針です。
架け橋期とは、5歳児の1年間と小学校1年生の1年間を合わせた2年間を指します。幼児期の遊びを中心とした学びと小学校での学習や生活を滑らかにつなぐため、就学前施設と小学校が共同してカリキュラムを作成し、交流や研修を進めるものです。
架け橋期教育そのものは重要な取組だと思います。しかし、その機能を市立幼稚園に置くことが合理的なのかは、別に検討する必要があると思います。
市は、小学校に隣接する市立幼稚園を存続させ、就学前施設と小学校の連携拠点にするとしています。
しかし、小学校に隣接する就学前施設は市立幼稚園だけではありません。
市内8小学校のすべてに、幼稚園、保育所または認定こども園のいずれかの就学前施設が隣接しています。したがって、「小学校に隣接している」という条件は、市立幼稚園だけに認められる特性ではなく、市立幼稚園を架け橋期教育の拠点とする十分な理由にはなりません。
市立幼稚園を3園残すという結論が先にあり、小学校との隣接や架け橋期コーディネーターという役割が、その存続理由として付け加えられたようにも見えます。
現在、私立を含めても、純然たる幼稚園を利用する子どもの割合は低下しています。一方で、保育所や認定こども園を利用する子どもは増えており、就学前施設の中心は大きく変化しています。
これは、市立幼稚園の教育内容が悪いということではありません。
認定こども園は、幼児教育と保育の双方を担う施設であり、長時間保育や給食にも対応しています。就労状況が変わっても通い続けやすく、現在の保護者の生活実態に合った施設です。保護者にとって、市立幼稚園という施設形態をあえて選ぶ必要性が薄れつつあるのだと思います。
そしてこの傾向は今後、更に加速するものと予測されます。
国は、税制や雇用政策、育児休業制度などを通じて、子育てをしながら夫婦ともに働き続ける「共働き・共育て」の方向へ制度を動かしています。男女ともに仕事と育児を両立できるよう、柔軟な働き方を企業に求める法改正も進められています。
したがって、今後も共働き世帯が増え、従来型の幼稚園がさらに選ばれにくくなると見込むことは、単なる推測ではありません。国の制度設計を踏まえた、当然の見立てです。
市は、架け橋期コーディネーターには当面、市立幼稚園の管理職経験者などを充てるとしています。
市立幼稚園の教諭が幼児教育について高い専門性を持っていることは言うまでもありません。しかし、幼稚園には保育所の機能はありません。
現在の就学前施設の利用者の多くは、保育所や認定こども園に通っています。長時間保育の中で過ごす子どもの生活や、保育を必要とする家庭の実態を踏まえたうえで、小学校との接続を考えなければなりません。すべての就学前施設をつなぐのであれば、幼稚園教育だけでなく、保育所の機能や事情も理解できる体制が必要です。
行政の人員配置や既存施設の活用という事情から、市立幼稚園に白羽の矢を立てることは理解できなくもありません。ただし、それは行政側から見た都合であって、子どもから見た最適な制度設計とは言い切れないのではないかと感じます。
芦屋市は、前回の市立幼稚園・保育所の再編において、精道幼稚園と精道保育所を統合して精道こども園を整備しました。また、伊勢幼稚園、新浜保育所の再編により、西蔵こども園を整備しています。
精道こども園と西蔵こども園は、幼稚園教育と保育の双方を担う市立施設です。すべての就学前施設と小学校をつなぐ役割を置くのであれば、純然たる市立幼稚園よりも、保育所側の事情も理解できる市立こども園を中核とする方が、現在の利用実態に合っているのではないでしょうか。
市立幼稚園の経験ある人材を活用すること自体を否定するものではありません。しかし、人材の専門性を活用することと、市立幼稚園という施設を架け橋期教育の中心に据えることは、分けて考えるべきです。
幼稚園を認定こども園化するのは容易ではありません。保育教諭の確保や、長時間保育に対応する職員体制、給食や施設設備の整備などが必要になります。特に、公立保育所との統合を伴わない場合には、新たな人員と財源が必要となるため、直ちに実現することは難しいでしょう。
よって、今すぐ宮川、岩園、潮見の3園すべてを認定こども園化することが容易ではないことは理解しています。
しかし、当面は市立幼稚園として3園を残すとしても、これを最終形とすべきではありません。
保護者から選ばれず、園児数がさらに減少すれば、市立幼稚園として施設を残しても、集団の中で育つという幼児教育の前提そのものを維持できなくなります。
架け橋期コーディネーターや地域拠点という行政上の役割を設けても、幼稚園本体に子どもが集まらなければ、施設を維持する意味は薄れてしまいます。
市は、今回の3園存続とあわせて、将来的に3園を認定こども園化することを目指し、保育教諭の確保や施設整備を段階的に進めるロードマップを示すべきです。
市立幼稚園という施設形態を残すこと自体を目的にするのではなく、公立が担う就学前教育・保育を、今後も子どもと保護者から選ばれる形で持続させることを目的にしなければなりません。今回の3園存続は、最終的な結論ではなく、認定こども園化を含む将来の再編へ向けた過渡的な段階として位置付ける必要があると考えます。
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