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大原 ゆうき ブログ

道路公園施設包括管理業務について、2026年6月定例会で分かったこと

2026/7/2

2026年6月定例会では、5月28日に提出された議会請求監査の結果報告を踏まえ、建設公営企業常任委員会で監査委員への質疑や所管事務調査を行いました。

また、6月19日の一般質問では、道路公園施設包括管理業務委託について複数の議員が質問し、事業者選定時の採点方法、契約書の作成、前払金の決定、市長決裁と異なる契約及び支払いが行われた経緯などについて、新たな説明がありました。

6月定例会で分かった主な内容を整理します。

過去の包括管理とは異なる採点方法が使われていた

道路・公園課が過去に行った包括管理業務委託と、今回の道路公園施設包括管理業務委託では、専門委員の点数を集計する方法が異なっていたことが分かりました。

過去の包括管理業務委託では、専門委員一人ひとりの点数に評価項目ごとの係数を乗じ、四捨五入した後に、各委員の点数を合計していました。

一方、今回の選定では、専門委員5人の点数を先に合計し、その合計点に係数を乗じた後、最後に四捨五入する方法が使われています。

市の説明によると、過去の方法で計算した場合、二つの共同企業体の点差は5点でしたが、今回の方法では13点差となります。ただし、いずれの方法でも順位自体は変わりません。

市は、四捨五入によって各委員の評価が同じ点数に丸められることを避け、評価をより正確に反映するために変更したと説明しています。

しかし、この計算方法は審査開始前から決められていたのではなく、一次審査の段階で専門委員と事務局が協議して決めたとのことです。また、計算方法を変更するに至った協議の経過や判断理由を示す記録は残されていませんでした。

選定結果に影響する採点や集計のルールは、審査を始める前に決めておくべきものです。順位が変わったかどうかにかかわらず、審査が始まった後に計算方法を決めたことが適切だったのかという疑問が残ります。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

道路公園施設包括管理業務委託の事業者選定について、採点方法に関する調査を行いました

専門委員が記入した手書きの評価シートの位置付け

二次審査では、各専門委員が手書きの評価シートに点数を記入し、事務局がその点数を集計用のExcelファイルへ入力していました。

市は、入力後に各専門委員がExcelファイルの点数を確認したと説明しています。

一方、市は、手書きの評価シートから転記したExcelの評価表を正式な「個票」と認識しており、手書きの評価シートについては、Excelへの転記と確認が終わった時点で役割を終えた資料と考えていたことも分かりました。

手書きの評価シートは、選定や契約に関する決裁文書とは別に保管されていました。

事業者選定の過程を事後的に検証するためには、専門委員が実際に記入した点数と、集計された点数が一致していることを確認できる資料が必要です。今回、手書きの評価シートが残されていたため確認できましたが、その位置付けや管理方法には疑問が残ります。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

道路公園施設包括管理業務委託。6月19日の一般質問で新たに明らかになったこと

契約書の記載誤りを防ぐ仕組みが使われていなかった

今回の契約書では、契約相手方が共同企業体ではなく、共同企業体を構成する単独企業の名称で記載されていました。

6月定例会の一般質問では、この記載誤りがなぜ発生し、なぜ契約締結時に発見できなかったのかを確認しました。

芦屋市では、契約書を作成する際の誤り防止や事務負担の軽減を目的として、契約検査課が契約書作成支援ツールを用意しています。

しかし、今回は共同企業体との契約に対応していないことを理由として、このツールが使用されていませんでした。

その結果、契約相手方の名称を空白にした契約書を受託者側へ渡し、受託者側が単独企業の名称を記載しました。市は、契約書作成支援ツールを使用しなかったことによって、必要な確認が漏れていたと認めています。

また、市は、ツールから出力される契約書が単独企業との契約を想定した様式であったため使用しなかったと説明しています。しかし、実際に道路・公園課が作成した契約書も、単独企業との契約を想定した様式でした。 所管課はツールを「使えない」と判断することができたのに、結局ツールと同じ様式で作ってしまいました。これには違和感があります。

ミスを防ぐための仕組みを使わず、本来行うべき確認も行われなかった結果、契約相手方の記載を誤ったことになります。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

道路公園施設包括管理業務委託。契約書の記載誤りはなぜ防げなかったのか

前払金5,000万円の明確な積算根拠はなかった

道路・公園課が令和4年度と令和5年度に行った包括管理業務委託には、前払金の制度はありませんでした。

今回の道路公園施設包括管理業務委託では、業務開始時に管理センターの開設や運営などのまとまった費用が必要になるとのサウンディング調査での意見を受け、前払金制度を導入したと説明されています。

実際に支払われた前払金は5,000万円です。

しかし、5,000万円という金額は、必要となる経費を積算した結果でも、受託者から見積書を提出させた結果でもありませんでした。

市は、仕様書で定めた上限の範囲内で受託者と協議し、5,000万円と決定したと説明しています。

前払金は、契約が履行される前に公金を支払う制度です。契約が適切に履行されなかった場合には、市に損失が生じるリスクがあります。 市は、前払金を支払うことによって生じるリスクは把握していたと答弁しています。

それにもかかわらず、5,000万円が本当に必要な金額なのかを確認するための見積書などは提出されていません。監査委員への質疑でも、金額の明確な根拠は確認できませんでした。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

道路公園施設包括管理業務委託。なぜ決裁と異なる内容で前払金が支払われたのか

市長決裁では2,000万円、実際の契約と支払いは5,000万円だった

契約締結に関する市長決裁には、前払金を2,000万円とする支払予定表が添付されていました。

しかし、実際に締結された契約書では前払金が5,000万円とされ、5,000万円が受託者へ支払われています。

市は、当初は前払金を2,000万円として協議していたものの、その後の協議によって5,000万円へ変更し、所管課と受託者との間で書面を交わしていたと説明しました。

一方、契約締結決裁を起案した際には、協議途中の古い2,000万円の支払予定表が添付されたままとなっており、そのことに気づかないまま市長決裁を終えたとしています。

その後、市長決裁の内容を変更する手続きを行わないまま、前払金を5,000万円とする契約書を受託者と交わし、実際に5,000万円を支払いました。

所管課と受託者との間では、前払金を5,000万円とする書面まで交わしています。支払う金額を2,000万円から5,000万円へ変更したのであれば、市長決裁の内容も変更しなければならないと考えるのが自然です。

市長決裁を受ける前であれば、変更後の内容を反映した文書で起案する必要があります。市長決裁を受けた後であれば、改めて変更の決裁を受ける必要があります。いずれにしても、支払う金額を変更したにもかかわらず、決裁文書を確認せず、必要な変更手続きを行わなかったことは不自然です。

単に古い支払予定表が添付されていることに気づかなかったという説明だけでは、なぜ市長決裁を修正しなかったのかについて、十分な説明になっているとは思えません。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

道路公園施設包括管理業務委託。6月19日の一般質問で新たに明らかになったこと

重大なミスと認識しながら、議会には報告していなかった

市が、市長決裁と実際の契約及び支払いが異なっていることに気づいたのは、契約締結から約7か月後の令和7年11月でした。

一般質問で確認したところ、市は、令和7年11月の時点で大変なミスであると認識し、顧問弁護士へ相談しながら対応していたことを認めました。

しかし、この事実は議会には報告されませんでした。

市は、議会へ報告しなかった理由について、係争中であり、報告のあり方を思案していたと説明しています。

一方、令和8年5月に行われた議会請求監査の際も、この問題は係争中でした。しかし、監査委員には一連の事実を説明しています。議会は、監査結果報告書が提出されて初めて、市長決裁と異なる金額を支払っていたことや、市が令和7年11月にその事実を把握していたことを知りました。

芦屋市は、今回の事業に関する予算を可決する際に議会が付した、適正な事務執行を求める附帯決議を重く受け止めると答弁していました。

重大なミスを把握したのであれば、議会へ報告し、公の場で経緯を説明する必要があったと考えます。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

道路公園施設包括管理業務委託。重大なミスがあったことを認識しながら、なぜ議会に報告しなかったのか

監査委員も担当者の認識不足と決裁との不整合を問題視

6月8日の建設公営企業常任委員会では、道路公園施設包括管理業務委託に関する議会請求監査について、監査委員を参考人として招致し、質疑を行いました。

代表監査委員は、今回の問題の大きな要因として、共同企業体の法的位置付けについて、担当者の理解が十分ではなかったことを挙げました。

また、市長決裁では前払金が2,000万円であったにもかかわらず、実際には5,000万円を契約書に記載して支払ったことについても、決裁と異なる事務を行ったこと自体が問題であるとの認識を示しています。

監査報告では、令和8年1月に修正決裁を行ったことなどを踏まえ、「違法又は不当とまでは認められない」と結論付けています。

しかし、「違法又は不当とまでは認められない」という結論は、一連の契約事務が適切だったという意味ではありません。監査委員も、契約書の信頼性そのものに疑義を生じさせる問題として、厳しい指摘を行っています。

また、当初は共同企業体名義の口座ではなく、単独企業名義の口座へ支払いが行われていました。

監査委員への質疑では、本来は当初から共同企業体名義の口座があった方がよかったものの、なぜ共同企業体名義の口座を作らなかったのかまでは確認できなかったとの説明がありました。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

道路公園施設包括管理業務委託について、監査委員への質疑で分かったこと

履行状況評価を決めた協議の記録が残されていなかった

建設公営企業常任委員会では、道路公園施設包括管理業務委託の令和7年度の履行状況評価について報告を受けました。

この履行状況評価は、道路・公園課の課長及び係長4人の協議によって決められています。しかし、どのような協議を行い、なぜ各項目をその評価としたのかを示す記録は作成されていませんでした。

業務の履行状況に対する評価は、今後の契約や受託者への指導にも関わるものです。担当者が異動や退職をした後であっても、なぜその評価になったのかを客観的に説明できるようにしておく必要があります。

また、市政モニターアンケートでは、道路の維持管理について「満足」「やや満足」と答えた割合が、令和6年度の44.5%から令和7年度の53.9%へ増加しています。

一方、令和6年度の調査は7月、令和7年度の調査は11月から12月に行われており、雑草の生育や剪定時期などの条件が異なります。また、自由記述には維持管理業務以外の道路構造、交通環境、公園のあり方などへの意見も含まれていました。

そのため、このアンケート結果を、包括管理業務の成果として単純に比較することには慎重であるべきだと考えます。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

道路公園施設包括管理業務委託の令和7年度履行状況評価について

6月定例会を通じて見えてきたこと

6月定例会では、事業者選定、契約書の作成、前払金の決定、市長決裁、支払い、ミスを把握した後の対応、受託者の履行状況評価まで、事業の各段階で問題が生じていたことが分かりました。

個別の問題だけを見ると、採点方法の変更、契約書の記載誤り、支払予定表の添付誤りなど、それぞれ別の事務上の問題に見えるかもしれません。

しかし、一連の経緯を通して見ると、重要な判断に関する記録が残されていない、ミスを防ぐための仕組みを使っていない、市長決裁と異なる契約及び支払いを行っている、重大なミスを把握しても議会へ報告していないなど、行政の意思決定や内部統制のあり方そのものが問われる問題であると考えます。

引き続き、残されている疑問について調査を行い、議会の場で明らかにしていきます。

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著者

大原 ゆうき

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