2026/7/1
6月30日の本会議では、第50号議案「芦屋市立あしや温泉の設置及び管理に関する条例を廃止する条例の制定について」に賛成の立場で討論を行いました。要するに、あしや温泉の廃止に賛成の立場になります。
討論で述べたことを中心に、自身の考えについて整理します。
あしや温泉は、阪神・淡路大震災の発災後、水道やガスの利用が困難な中で市民の入浴機会を確保し、公衆衛生を維持する施設として大きな役割を果たしてきました。
この歴史的な役割については、十分に尊重されるべきだと考えています。
あしや温泉には、地域コミュニティの形成や福祉的な効果があるとの意見があります。こうした効果を否定するものではありません。
しかし、温浴施設にさまざまな付加価値があるとしても、その中心的な機能が入浴であることに変わりはありません。
公共施設のあり方を考える際には、そのサービスが行政でなければ提供できないものなのか、市民生活に不可欠なものなのかという観点も必要です。
温浴サービスは、すでに民間事業者によっても提供されています。また、利用するかどうかは個人の選択に委ねられる性質のものです。その意味で、あしや温泉は、市場的かつ選択的な性質を持つ施設であると考えます。
あしや温泉の主たる設置目的である「公衆衛生の向上」についても、ほとんどの住戸にお風呂が設置されている昨今においては、市が温浴施設を整備してまで対応しなければならない状況ではなくなっています。こうしたことを踏まえると、多額の公費を投入して市が維持しなければならないほど公益性の高い施設と位置づけることは難しくなっています。
あしや温泉では毎年赤字が生じており、直近3年間では、年間平均約1,200万円の支出超過となっています。施設を今後も安定して運営するためには、少なくとも約8,000万円の改修費用が必要です。さらに、施設を長期にわたって維持する場合には、より多額の費用が見込まれています。
施設を建設して間もない段階であれば、引き続き活用することを検討する余地もあります。しかし、大規模な修繕や設備更新が必要となる段階では、今後も公共施設として維持する必要があるのかを、改めて判断しなければなりません。
また、市内の実利用者数は年間約900人と推計されており、今後も大幅な利用者の増加は見込めないとされていることも経営上の難しさを物語っています。
市場的かつ選択的な性質を持ち、毎年赤字が生じ、利用者の大幅な増加も見込みにくい施設について、大規模修繕が必要となるこのタイミングで廃止を検討することには合理性があると判断しました。
賛成討論では、あしや温泉について「一般公衆浴場であり、物価統制令により、自由に料金を設定することができない」と述べました。
しかし、その後、担当部局に改めて確認したところ、厳密には少し位置づけが異なっていました。
あしや温泉は、県条例上は「その他の公衆浴場」として認可されています。よって、法的には物価統制令による料金上限の対象ではありません。
一方、芦屋市はあしや温泉の設置目的を「公衆衛生の向上」と位置づけています。また、これまでの市議会との議論等も踏まえ、市としては一般公衆浴場に近い形で取り扱ってきた経緯があります。
担当部局に確認したところ、法令上は物価統制令の上限を超える料金設定も可能であるものの、これまでの位置づけや経緯から、市として物価統制令の上限を超える料金に設定することは難しいとのことでした。
賛成討論では、県条例上の位置づけと芦屋市としての取り扱いを混同し、「一般公衆浴場」と述べてしまいました。この点については、認識が正確ではありませんでしたので訂正します。
しかし、法的な料金制限がなかったとしても、芦屋市として大幅な料金引上げを行うことが難しく、料金改定による抜本的な経営改善に限界があるという点については変わりありません。
あしや温泉は公共施設です。なので、収支改善も重要ですが、それと同時に重要視すべきは多くの市民に利用される施設であるかという点です。
料金引き上げは収支改善に資する可能性があるものの、広く市民に利用されるという公共施設としての役割が減退する可能性が高いです。こうした点も、料金引き上げの難しさに拍車をかけています。
これは賛成討論で述べたことではありませんが、現状を踏まえた上での考えです。
公衆衛生の向上を主たる設置目的とするのであれば、少なくとも料金や施設運営について、一般公衆浴場に近い考え方が求められることになります。あしや温泉が県条例上、「その他の公衆浴場」として取り扱われているのであれば、設置目的についても「公衆衛生の向上」とするのではなく、福祉、地域コミュニティ、健康増進など、別の公益的な目的として整理しておく必要があったのではないかと考えます。しかし実際には県条例上の施設区分が「その他の公衆浴場」でありながら、市としては公衆衛生の向上を目的とし、料金についても一般公衆浴場に近い取り扱いを続けてきました。
県条例上の施設区分と、市が掲げる設置目的、実際の料金運用との間に、乖離があったのではないかと考えます。こうした整理については、施設の廃止が議論される段階になる前に、市として明確にしておくべきだったと思います。
仮に、福祉や地域コミュニティ、健康増進などを中心的な設置目的として明確に位置づけていれば、施設の公益性や今後のあり方について、今回とは異なる議論や判断があり得たのではないかと思います。
個人的に、絶対に譲れない点だと考えていたのが「源泉の保持」です。源泉は、お金を出したからといって手に入る資産ではないからです。
よって、守るべきと考えるのは、現在の「あしや温泉」という施設運営の形そのものではなく、芦屋市が保有する貴重な源泉です。
委員会審査では、施設の廃止後も源泉は市が引き続き管理し、民間事業者の知見も活用しながら、現在よりも広く市民に活用してもらえる運営形態を模索していく考えが確認できました。また、マンションなど、公益性に欠ける施設として活用することは望ましくないとの考えも、市から示されています。
確かに、今後どのような形で活用されるのかについては、まだ具体的に決まっていません。そのため、今後の展開には懸念も残ります。しかし、「公の場での市の答弁」という形で、源泉を市が保有し、公益性を持つ形で活用していくという一定の方向性は確認できたと判断しました。
施設を廃止することと、源泉を手放すことは同じではありません。現在の施設形態にこだわり、多額の公費を投入して利用者が限定的な施設を維持するのではなく、源泉は公共の資源として市が守り、より多くの市民に活用してもらえる新たな形へ転換していくべきだと考えています。
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