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下水道事業におけるウォーターPPPの検討状況について

2026/6/20

6月8日の建設公営企業常任委員会では、下水道事業におけるウォーターPPPについて説明を受けました。

資料はこちら。

所管事務調査資料:下水道事業におけるウォーターPPPについて

ウォーターPPPとは、下水道施設の維持管理や更新において、民間事業者のノウハウを活用する官民連携の仕組みです。

市によると、以下のような課題への対応として導入を検討しているとのことでした。

  • 下水道施設の老朽化
  • 使用料収入の減少
  • 技術者不足

国の制度変更も背景に

ちなみに今回の検討は、芦屋市が積極的にウォーターPPPを導入したいというところから始まっている話ではありません。

国はウォーターPPPの導入を強く推進しており、令和9年度以降は一定の条件を除き、下水道管路の改築更新に係る国の交付金について、ウォーターPPPの導入決定や公募開始を要件とする方針を示しています。つまり、ウォーターPPPを導入しなかった場合には、従来交付が受けられていた管路の改築更新に関する交付金を受けられなくなるということです。

芦屋市は下水道の敷設時期が早かったこともあり、管路が老朽化しています。老朽管路の更新は毎年計画的に実施しており、国の交付金は重要な財源となっています。

そのため、芦屋市としてもウォーターPPPを全く検討しないという選択肢は現実的ではなく、制度の活用を前提とした検討を進めているとの説明がありました。

市場の受け止めも踏まえた限定的な検討

導入検討の前段として、昨年度には民間事業者を対象にサウンディング調査を実施しています。

市は当初、管路施設と処理場施設の双方を含めた包括的な管理の検討を行っていましたが、調査結果を踏まえ、現在は処理場施設を対象から外す方向で整理されています。

市の説明では、処理場施設については市場の意見を踏まえると以下のようなリスクがあり、事業としての成立を見通すことが困難であるとのことでした。

  • 専門性の違い
  • 管理責任の重さ
  • 老朽化リスク

そのため、市は以下のように限定的な範囲での検討を進める方針を示しています。

  • 市内全域
  • 管路施設のみ

僕は、ライフラインとも言えるインフラである下水道事業を完全に民に委ねてしまうことに対して強い危機感を持っていました。なので、下水道事業を包括的なウォーターPPPに移行させることに対しては否定的な意見を持っていました。

しかし、市場調査の結果も踏まえ、市が対象範囲を管路施設に限定し、慎重に制度設計を進めていることが分かりました。国交付金を完全に手放すことも大きなリスクを孕んでいます。芦屋市の規模を考えると、ウォーターPPPを積極的に推進したいというよりも、国の制度変更への対応として現実的な落としどころを探っている段階だと受け止めています。

将来を見据えた制度設計が必要

今回検討しているウォーターPPPは原則10年間の長期契約です。

ひとたび契約を締結すれば、その10年間は企業の責任で対応してくれると思いますが、心配なのはそのあとです。僕は質疑の中で、10年間だけではなく、その先も見据えた検討が必要ではないかと指摘しています。

芦屋市は市域が狭く、事業規模も限られています。大規模自治体と比べると、民間事業者にとって大きなスケールメリットを期待できる環境とは言えません。

今考えられる最悪のシナリオが、「11年後には受託してくれる事業者が見つかりませんでした。しかし芦屋市にもノウハウが残っていないため、直営対応も難しい。」という状況です。しかし芦屋市の実態を踏まえると、これは想定できないリスクではありません。

そのため、以下のような視点に立った慎重な検討が必要だと考えています。

  • 市として残すべき技術やノウハウは何か
  • 民間へ委ねる範囲をどこまで広げるのか
  • 10年後、20年後も安定して事業を継続できるのか

下水道は市民生活を支える重要なインフラです。

国の制度変更への対応と、将来にわたる安定的な事業運営を両立できる制度設計が求められています。

プロポーザルの透明性も重要

また、市は事業者選定についてプロポーザル方式を想定しているとの説明を行いました。

僕は、道路・公園施設包括管理業務のプロポーザルをめぐって様々な課題が指摘されていることも踏まえ、以下のような対応が重要であると指摘しています。

  • 外部有識者の参画
  • 客観性の確保
  • 透明性の高い選定

これに対し市は、事業規模や契約期間を踏まえ、外部有識者を含めた選定体制についても検討していく考えを示しました。

今後、対象業務の範囲や事業内容が具体化された段階で、改めて委員会へ説明が行われる予定です。下水道事業は普段注目されることは少ないものの、ライフラインとも言える重要なインフラです。委員会としても動向をチェックし、健全かつ安定的な運営を進めていく必要があると考えています。

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