山本 ひろこ ブログ

不登校の子どもたちに「学校に戻す」以外の選択肢を〜大田区・みらい学園初等部を視察して〜

2026/5/31

大田区にある「みらい学園初等部」を視察しました。

みらい学園は、不登校の子どもたちが安心して学び直せる「学びの多様化学校」です。初等部は大森にあり、本校は大森第四小学校。今回視察した場所は分教室という位置づけです。中等部は池上にあり、蒲田にある御園中学校が本校となっています。

「通う教室」ではなく「転校して学ぶ学校」

教育支援センター「つばさ教室」は、今の学校に在籍したまま通う場所です。一方、みらい学園は、原則として転校して学ぶ仕組みです。

対象は、大田区立学校に在籍し、30日以上の不登校状況にある児童。見学後、本人や保護者に希望があれば、分教室入退室検討委員会で審査され、年度途中でも随時受け入れが可能です。

学籍は本校に置かれますが、子どもたちは分教室で学び、卒業することができます。

少人数でアットホームな安心できる空間

視察して強く感じたのは、雰囲気の良さでした。

少人数で、先生や支援員の方々の目が行き届いていて、とてもアットホームな環境です。子どもたちが緊張しすぎず、自分のペースで過ごせる空気がありました。

正直に言うと、居心地が良すぎて、私自身も「これなら普通の学校よりこちらに通いたくなるかもしれない」と思ったほどです。

もちろん、通常の学校を否定する意味ではありません。ただ、不登校の子どもたちにとって、まず必要なのは「ここにいていい」と思える安心感です。その安心感があるからこそ、学び直しや次の一歩につながっていくのだと感じました。

 小学校から中学校、そしてその先へ

初等部から中等部へは、制度上はエスカレーター式ではありません。ただ、実際には多くの子どもたちが中等部へ進んでいるそうです。

一方で、私立や特別支援学校に進学した子もおり、進路は一つではありません。中学校卒業後も、通信制高校だけでなく、普通高校へ進学したり、留学したりと、それぞれの状況に応じた道を選んでいます。

不登校支援は、「元の学校に戻すこと」だけがゴールではありません。子どもに合った環境で学び、自分に合った進路を選べるようにすることが大切です。

授業時間を確保する工夫

みらい学園初等部では、4年生から6年生まで、各学年に正規教員が1人ずつ配置されています。

授業は1コマ60分で、午前2コマ、午後2コマ。15時半から16時までは個別学習、16時から17時まではクールダウンの時間です。

一見すると授業数が少ないように見えますが、年間授業時間は標準の1015時間と変わらないように設計されています。オンライン学習も活用しているそうです。

これはとても重要です。学びの多様化学校の中には、授業時間数が通常の7割程度になるところもあります。その場合、テストの点数が良くても、授業時数の関係で成績評価に影響することがあります。将来の進学にも関わるため、学び方の柔軟さと、必要な授業時間の確保は両方大切です。

手厚い支援体制

教員だけでなく、スクールカウンセラー、養護教員、事務員、登校支援員なども配置されています。さらに、分教室の運営員として元校長先生が2人入り、入退室のサポートもしています。

印象的だったのは、支援員の方がただ待機しているのではなく、常に子どもの横に立ち、必要に応じて声をかけていることです。

勉強だけでなく、ゲームなどを通じてルールを守ることや、人との関わり方も学んでいます。不登校支援とは、学習の遅れを取り戻すだけでなく、安心できる人間関係の中で社会性を育て直す支援でもあるのだと感じました。

 定員と今後の課題

初等部では、4年生が4人、5年生が5〜6人、6年生が7〜8人ほど出席しているとのことでした。現時点では、人数を理由に断ったことはないそうです。

一方、中等部は当初3学年で24人程度を想定していたものの、現在は名簿上60人ほどいるとのことです。人数が増えれば、きめ細やかな対応を続けることは難しくなります。

大田区では、校内分室、チャレンジ学校、みらい学園という三段構えで、不登校の子どもたちを支えています。令和13年には蒲田の蓮沼に新築予定があり、今より広い環境になる見込みです。

目黒区でも「選べる学び」を

こうした仕組みには、当然費用がかかります。人件費に加え、体験学習が多いため移動費も必要です。分校なので学校1校分を丸ごと新設するほどではありませんが、決して小さな負担ではありません。

それでも、不登校の子どもたちにとって、安心して通える場所があること、そして学びを継続できることは、将来に直結する大切な支援です。

目黒区でも、不登校の子どもたちが増えています。これからは、学校に戻すことだけをゴールにするのではなく、校内別室、教育支援センター、学びの多様化学校など、複数の選択肢を持つことが必要です。

不登校支援は、「学校に戻す支援」だけではなく、「子どもが自分に合った場所で、もう一度安心して学び始めるための支援」であるべきです。

今回のみらい学園の視察は、目黒区の不登校支援を考えるうえで、大きなヒントになりました。

The post 不登校の子どもたちに「学校に戻す」以外の選択肢を〜大田区・みらい学園初等部を視察して〜 first appeared on 目黒区議会議員 山本ひろこ 公式ホームページ.

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著者

山本 ひろこ

山本 ひろこ

肩書 目黒区議会議員、元ITエンジニア、腎移植ドナー
党派・会派 無所属

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