2026/6/15
練馬区議会議員の富田けんじです。
本日、私が所属する「区民生活委員会」が開会され、吉田新区長の所信表明でも大きな焦点となっていた「練馬区立美術館・貫井図書館の再整備計画の見直し(白紙撤回と改修への方針転換)」について、区側からの報告と質疑が行われました。
私からは、単なるコストカットに終始することへの強い危機感と、これからの練馬区の公共施設のあり方、そして現場で働く方々への責任について、厳しく区の姿勢を問いただしました。
1. コスト削減の努力は尽くされたのか?設計者との対話の不在
建設費が当初の76億円から150億円へと高騰した背景は理解しています。しかし、「高いから白紙に戻し、改修に切り替える」という判断はあまりにも早計です。
白紙に戻すという重い決断を下す前に、まずは設計の簡略化や建築費の見直しなど、コストを抑える最大限の努力が不可欠だったはずです。私は委員会で、「本件の設計者である平田晃久氏に対して、設計の簡略化や見直しに向けた再アプローチや協議は行われたのか?」と厳しく問いました。プロセスを飛ばした唐突な方針転換には、やはり強い疑問が残ります。
2. 長年練り上げた「基本構想(ビジョン)」は生きているのか
これまで進められてきた再整備の「基本構想」は、多くの区民や専門家が長い時間をかけて練り上げてきた練馬のビジョンそのものです。そして、あの建築デザインは単なる箱モノではなく、そのビジョンを具現化したものでした。
建物の計画が白紙になるとして、「根本にある基本構想自体も見直されてしまうのか、それともビジョンは今も生きているのか」。区の認識を正しました。ハード(建物)の計画が変わっても、区民と創り上げた理念まで安易に捨て去るようなことがあってはなりません。
3. 「単なる改修」で終わらせない。新たな公共施設のベンチマークへ
私が最も危惧しているのは、建物の安全性をチェックして単に綺麗にするだけの「単なる改修」で終わってしまうことです。それでは、目の前のコストを削るだけで「将来世代に一体何を残せるのか」という重大な懸念があります。
これからの新たな公共施設に求められているのは、「多様な人々が憩い、集い、つながる対話の場」であることです。他自治体で入館者数を大きく伸ばしている成功事例を見ても、キッズスペースやパブリックスペース(誰もが無料で過ごせる空間)の充実を非常に重要視しています。
今回の計画は、そうしたこれからの公共建築の大きなベンチマーク(基準)となる象徴的な計画でした。改修を基本とするにしても、この「新たな公共の場」としての意義をどう担保していくのか、区の強い覚悟を求めました。
4. 計画の翻弄に苦しむ「現場の声」を最優先に
最後に、絶対に忘れてはならないのが現場で働く学芸員や館長をはじめとするスタッフの皆様の存在です。
当初は令和9年度(2027年度)に開館予定だったものが、今回の白紙撤回により、今後の見通しが全く立たない状況に陥りました。企画展を準備しようにも、先が見通せない中で最も翻弄され、深い不安を抱えているのは現場の皆様です。
立派なハコモノの議論の前に、美術館の魂である「ソフト(企画や運営)」を支える現場の声にしっかりと耳を傾け、大切にしてほしい。そのことを強く要望いたしました。
結びに:コストの先の「価値」を議論する議会へ
「高すぎる」という言葉で予算を削ることは簡単です。しかし、政治の本当の役割は、削ったその先に「どのような豊かさを未来に残すのか」という価値の議論から逃げないことです。
文化芸術の拠点として、そして誰もが心地よく過ごせる地域の居場所として。練馬区立美術館と貫井図書館が真に区民のための施設となるよう、引き続き区民生活委員会の場から、厳しく、そして建設的に議論を深めてまいります。
(練馬区議会議員 富田けんじ)
この記事をシェアする
トミタ ケンジ/44歳/男
ホーム>政党・政治家>富田 けんじ (トミタ ケンジ)>【議会報告】「単なる改修」で未来に何を残せるのか。美術館・図書館見直し案への懸念