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田中 よしひと ブログ

これ以上、北海道の鉄路をなくすな!

2026/5/22

赤字路線の廃線を進めるJR北海道

民営化当初から赤字は確定していた三島会社(北海道・四国・九州)のJRでは、「経営安定化基金」という制度が設けられたのを知っていますか?

私は鉄路は安全保障という考えがありますので、廃線などもってのほか。
国がしっかりと制度を整え維持して行くべきです。
これまでの経緯とこれからを書いてみたいと思います。

 

経営安定基金の経緯と現状
 

設立時の設計

民営化時、三島会社の苦戦は当初から想定されていた。
そのため用意されたのが経営安定基金で、額はJR北海道6,822億円、JR四国2,082億円、JR九州3,877億円、総額1兆2,781億円。
運用益で鉄道赤字を穴埋めする設計だった。

当時の長期金利**7.3%**から逆算した額で、運用益約498億円で赤字を穴埋めする想定だったが・・・

なぜ崩壊したか

バブル崩壊後、1990年代後半に10年国債の平均利回りは1%台に低下、2010年代には1%を割り込み、一時マイナス金利。想定外の低金利でスキームは崩壊した。

1996年の運輸白書ですでに問題が指摘されていたが、放置され、2010年代に保守費削減から事故を頻発、深刻な経営危機が表面化した。

現在の実態

穴埋めのため、2010年に鉄道・運輸機構からJR北海道への無利子貸し付け2,200億円(年2.5%の利息収入を保証)が実施された。ただし償還期間20年の暫定措置に過ぎなかった。

その後も追加支援が続き、2024年度からの3年間(〜2026年度)でさらに1,092億円の財政支援が実施されている。

2024年度決算では経営安定基金の評価益実現化の減少などにより、営業外損益が37億円減少。基金運用益はもはや主要な収益源として機能していない。

本質的問題

鉄道・運輸機構がJR三島会社の株式100%を所有しており、「民営化されてなどいない」というのが実態だ。


ここまでの結論として
民営化の「落とし所」だった基金スキームは低金利によって完全に崩壊し、今は場当たり的な国からの追加支援で延命している状態です。
「上下分離」協議の棚上げは、その根本矛盾から目を背け続けることの延長線上にあります。

吉田松陰流に言えば、「知って行わざるは知らざるに同じ」——1996年の運輸白書で既に分かっていた問題を30年間放置した結果です。

 

問題の核心

「民間経営の論理でインフラを語ること自体の誤り」
—これはJR問題に限らず、世界が直面してきた普遍的な問題です。


世界の事例から見る処方箋
 

①スイス連邦鉄道モデル(最も参考になる)

スイスは連邦・州・市町村が三層で鉄道を支える公共サービス義務(Grundversorgung)を法制化。採算不問で「国土の隅々に輸送を届けること」を国是とする。山岳地帯でも廃線ゼロ。

北海道への応用:道内鉄道を「公共サービス義務路線」として法定化し、国と道が費用を直接負担する仕組みへ転換。

②フランスSNCFモデル

2018年に改革し、インフラ部門(線路・施設)を国有、運行部門を公社に完全分離。上下分離の完成形。赤字インフラを国が保有することで経営の議論から切り離した。

→ JR北海道の「上下分離」議論はここを目指すべきだが、今の議論はコストを地方に押しつける方向になっており本末転倒。

③ノルウェー・スウェーデンの安全保障インフラ論

北欧では鉄道を**「安全保障インフラ」として国防省が関与**する枠組みがある。有事の大量輸送・物資移動を平時から鉄道が担う前提で国家投資する。

→ 北海道・青函回廊の軍事的重要性をここに重ねる議論は日本でまだほぼ行われていない。


具体的な改革案
 

A.経営安定基金の「国家運用モデル」への転換

現在の基金(6,822億円)は低利で機能不全。これをGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)的な国家ファンドとして再設計し、株式・オルタナティブ資産で5〜7%運用を目指す。GPIFの直近10年平均利回りは約7%。設立時の想定利回りを現代の手法で再現できる

B.「国土強靭化鉄道特別会計」の創設

道路特定財源のように、鉄道インフラを特別会計で独立管理。安全保障・食料安保・災害対応の観点から防衛費・農業予算と紐付けることで財源根拠を多元化する。これは「鉄道は交通省の問題」という縦割りを破る発想。

C.農産物輸送の「貨物鉄道特別補助」

北海道の農産物・食料の大量輸送というインフラ価値を農林水産省予算と連動させる。食料安保の観点で当然の論理。トラックドライバー不足問題とも直結しており、今が最も主張しやすいタイミング。

D.「定住促進インフラ」として法定化

過疎地への定住を促す地方創生の柱として鉄道を位置づけ、移住・定住施策と予算を一体化。「鉄道がなければ人が住めない=国土が空洞化する」という安全保障論に接続する。


政策提言の切り口

今の議論に欠けているのは「鉄道を何省の問題にするか」という縦割り打破です。

担当省庁    論理
防衛省    有事の兵站・輸送インフラ
農水省    食料安保・農産物大量輸送
国交省    公共交通・地域インフラ
総務省    過疎・定住・国土管理
 

これを束ねた「北海道インフラ特別立法」など政治的決断が必要です。
省庁を横断して安全保障を念頭に鉄路を維持していくには政府を主体とする動きが必要です。
道州制議論の復活も?
北海道未来塾でも扱いたい強力な政策テーマになります。


吉田松陰の「草莽崛起」
体制の外から問題を定義し直す者が歴史を動かす。「JR問題」を「安全保障と食料と定住の問題」として再定義することが、今最も必要な知的作業ではないでしょうか。

 


 

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著者

田中 よしひと

田中 よしひと

選挙 第27回参議院議員選挙 2025年 (2025/07/20)
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肩書 北海道を守る会 会長
党派・会派 無所属
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