2026/4/20
先日、大阪府議会議員団として福岡市に視察に伺い、注目の次世代技術であるペロブスカイト太陽電池の実装事例と、福岡市が進める脱炭素社会への取り組みを詳しく学んできました。
まず、福岡市の脱炭素目標が非常に野心的で驚かされました。
国が掲げる「2050年カーボンニュートラル」に対し、福岡市は2040年という10年前倒しの目標を設定。中間目標である2030年の温室効果ガス削減目標も、国の46%削減を上回る50%削減を掲げています。人口・世帯数が増加中の都市でありながら、この高い目標に挑んでいる姿勢は大いに参考になりました。
福岡市の温室効果ガス排出の内訳を見ると、全国と大きく異なる点があります。
全国では産業部門が約3割を占めますが、福岡市は産業部門がわずか9%。大規模な工場が少ない都市の特性上、家庭部門・業務部門・自動車部門の合計が80%以上を占めます。つまり、「一社一社、一人ひとりの生活」をどう変えるかが、脱炭素実現のカギなのです。
こうした背景から、市民・事業者の日常に近い場所での再エネ普及が急務となっており、そこで注目されたのがペロブスカイト太陽電池でした。
福岡市は政令市の中でも集合住宅率が最も高い都市です。屋根への太陽光パネル設置が進みにくく、かつメガソーラーを置く広大な土地もない。この「都市の弱点」を突破する技術として注目されたのが、フィルム型のペロブスカイト太陽電池です。
この技術の主な特徴は以下のとおりです。
軽量・柔軟
従来のシリコン型太陽光パネルは重く、耐荷重の弱い体育館や倉庫の屋根には設置できませんでした。ペロブスカイトはフィルム状で非常に軽いため、これまで設置できなかった建物への導入が可能です。
主原料が国内調達可能
原料の多くを国内で調達できるため、エネルギーの安全保障の観点からも注目されています。
防水シートとの一体化
コンクリート屋根のシート防水は10〜20年に1度の更新が必要ですが、従来型パネルはその都度取り外しが必要で手間もコストもかかります。防水シートと一体型のペロブスカイトなら、防水シート更新時にそのまま張り替えが可能。メンテナンスコストの大幅な削減が期待できます。
クレーン不要の施工
フィルム状で軽量なため、材料を階段で運び上げて施工できます。大型クレーンが不要になるため、施工費・足場費も抑えられる可能性があります。
柏浜小学校(体育館屋根)
薄型金属板の屋根に従来型パネルを設置するだけの耐荷重がなかった体育館に、ペロブスカイトを全面設置。本格的な運用実装としては全国最大規模の事例です。蓄電池も併設し、災害時の避難所としての機能も確保しています。
コンクリート防水シート屋根への実証
防水シート一体型のペロブスカイトを施工した事例で、将来の普及モデルとして大きな可能性を示しています。
令和7年度はさらに小学校・中学校・保育所の計3施設への設置を進めており、環境省の補助金も活用しています。
正直に言うと、現状のペロブスカイト太陽電池はシリコン型と比べて圧倒的にコストが高い状況です。桁が違う、という表現が使われるほどです。
ただし、国が2/3〜3/4の補助金を用意しており、さらに自治体が設置する場合は事業債の活用で交付税措置も受けられます。計算すると実質負担は数%程度という場合もあり、公共施設への導入は十分に現実的な水準になっています。
耐久性については、現在の製品保証は5年程度が目安ですが、積水化学工業は2030年までに耐久性20年・発電効率20%(シリコン型と同等)を目指しており、今後のスペックアップに期待が高まります。
こうした状況の中で「なぜ今、自治体が率先して導入するのか」という問いへの答えは明快でした。
自治体が先行して実績を作ることで、民間への普及を後押しする──そのモデルを福岡市は実践しているのです。施工業者の育成、民間事業者への啓発、そして自治体による実証実績の積み上げが、技術普及の大きな流れを作ります。福岡市は令和7年12月に積水化学工業フィルムと連携協定も締結し、さらに官民一体での普及を推進しています。
今回の視察で強く感じたのは、**「都市型の脱炭素モデル」**の可能性です。
大工場のない都市・大阪でも、家庭や事業者、公共施設の屋根を最大限に活用することで、再エネ普及は十分に実現できる。ペロブスカイト太陽電池はその大きな鍵になり得る技術です。
茨木市内には太陽光関連企業もあります。こうした先進事例を大阪・茨木に取り込むために、引き続き情報収集と政策提言を続けてまいります。
今回快く視察を受け入れてくださった福岡市の皆さん、そして積水化学工業フィルムの皆さんに改めて感謝申し上げます。
大阪府議会議員 うらべ走馬


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ウラベ ソウマ/41歳/男
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