2026/8/28

最高裁判決を受け、新宿区でも生活保護費の追加給付が始まりました。ただし、国が示した追加給付は、2013年の基準引き下げ前との差額を全額戻すものではありません。通知書を保管し、審査請求という手続きがあることも知ってください。
新宿区議会議員の川村のりあきです。
生活保護費の追加給付を受けた方、または過去に生活保護を利用していた方へ、大切なお知らせです。
2025年6月27日、最高裁判所は、国が2013年から行った生活扶助基準の引き下げのうち「デフレ調整」について、厚生労働大臣の判断過程や手続きに過誤・欠落があったとして、原告らに対する保護変更決定処分を取り消しました。
これを受け、新宿区でも追加給付が進められています。しかし、国が示した追加給付は、2013年改定前の基準との差額を全額戻すものではありません。
「いのちのとりで裁判全国アクション」や「生活と健康を守る会」は、この対応では被害の全面的な回復にならないとして、追加給付決定に対する審査請求を呼びかけています。
追加給付決定通知書を受け取った方は、まず通知書と封筒を捨てずに保管してください。審査請求の期限は、原則として通知書を受け取った日の翌日から3か月以内です。
国は2013年8月から、生活扶助基準を段階的に引き下げました。その際に用いられたのが、物価下落を理由とする「デフレ調整」です。
全国の生活保護利用者が処分の取り消しなどを求めて裁判を続け、2025年6月27日、最高裁判所第三小法廷は、大阪訴訟と名古屋訴訟の原告らに対する保護変更決定処分を取り消しました。
これは、過去に争われた老齢加算廃止をめぐる訴訟とは別の裁判です。今回の記事で扱うのは、2013年の生活扶助基準改定、とりわけ「デフレ調整」が争われた「いのちのとりで裁判」です。
厚生労働省は、違法と判断されたデフレ調整の改定率マイナス4.78%を、別の算定によるマイナス2.49%に置き換え、その差額に相当する額を追加給付する方針です。
そのため、生活と健康を守る会などは「減らされた額の半分程度しか戻らない」と指摘し、2013年改定前の基準との差額を全額給付するよう求めています。
追加給付額は、住んでいた地域、世帯構成、生活保護を利用していた期間、対象となる加算などによって異なります。資料では、大都市部で2013年8月から2018年9月まで生活扶助の対象だった場合の例として、高齢単身世帯でおおむね10万円前後などが示されています。これは定額や全世帯の平均ではなく、あくまで一つの給付例です。
新宿区議会の補正予算資料では、追加給付の対象は区内で約1万6,000世帯と見込まれています。
現在、生活保護を利用している世帯:約8,500世帯
過去に生活保護を利用していた世帯:約7,500世帯
中国残留邦人等生活支援給付の対象:約10世帯
現在、新宿区から生活保護を受給している方は、原則として申出は不要です。対象世帯には2026年7月17日に通知書が発送され、口座振込は7月31日、現金支給は8月4日から順次行われています。
一方、現在は生活保護を利用していなくても、2013年8月から2026年3月までの間に新宿区で生活保護を利用していた方は、追加給付の対象になる可能性があります。受け取るためには、自ら申出をする必要があります。
新宿区の申出受付期間は、2026年8月1日から2027年7月31日までです。インターネット、専用相談窓口、郵送の3つの方法で受け付けています。
過去に利用していた約7,500世帯への情報が十分に届くかは、大きな課題です。高齢の方、障害のある方、日本語での手続きに不安がある方を含め、対象となる皆さまが取り残されない丁寧な周知と申出支援を、新宿区に求めていきます。
2026年2月17日、第5号議案である一般会計補正予算は、総務区民委員会で予算全体が審査され、福祉健康委員会では、そのうち生活保護費の追加給付に関係する福祉費が審査されました。
私は、所属する総務区民委員会で、今回の補正予算が、2013年の生活扶助基準改定、とりわけ「デフレ調整」をめぐる2025年6月27日の最高裁判決を受けたものだという認識でよいか確認しました。区からは、「御指摘のとおり」との答弁がありました。
そのうえで、対象となる世帯数、給付までの手順とスケジュールを確認し、区に次のように求めました。
全ての対象の方が遺漏なく給付ができるように、丁寧に進めていただきたい。
現在利用している約8,500世帯には区が職権で給付できますが、過去に利用していた約7,500世帯は、ご本人からの申出が必要です。だからこそ、「広報に載せたから終わり」ではなく、情報が届きにくい方を含めて一人ひとりが給付につながれる取り組みが欠かせません。
委員会資料では、新宿区の追加給付費は約15億円と見込まれています。
これとは別に、給付額を計算するためのシステム改修、コールセンターと相談窓口の運営、申出受付や審査などの事務経費として、1億4,120万7千円が計上されました。
システム改修経費:1,408万円
事務委託経費等:1億2,712万7千円
事務経費合計:1億4,120万7千円
私は、この事務経費が国の補助金で全額補填されることも確認しました。なお、国が10割負担するのはこの事務経費であり、約15億円の追加給付費とは別の予算です。
あわせて委員会では、原告の皆さまが生活の実態を明らかにしながら長年裁判を続け、最高裁判決を迎える前に亡くなられた方もいることに触れ、「非常に重い裁判の判決だった」と述べました。
判決は、単なる行政事務のきっかけではありません。長い時間をかけて声を上げ続けた当事者の皆さまの歩みがあって、違法な処分の取り消しに至ったものです。その重みを受け止め、追加給付を必要な方へ確実に届けることが、新宿区に求められています。
2026年2月17日・新宿区議会常任委員会の案件
https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/file08_01_0000620180312_00046.html
ここは、とても大切な点です。
追加給付の申出は、主に現在は生活保護を利用していない方が、追加給付を受け取るための手続きです。
これに対して審査請求は、福祉事務所が決定した追加給付額について、都道府県知事に不服を申し立てる手続きです。
追加給付を受け取った後でも、給付額について審査請求することができます。審査請求をしたからといって、必ず裁判まで進まなければならないわけでもありません。
ただし、現在は生活保護を利用していない方の審査請求については、厚生労働省は認めない立場を示す一方、いのちのとりで裁判全国アクションは審査請求できると主張しています。この点は今後の審査や裁判の争点となり得るため、該当する方は支援団体や法律家に相談することをおすすめします。
追加給付決定通知書と封筒を保管する
通知書を受け取った日を記録する
原則3か月以内の期限を確認し、早めに相談する
審査請求書には、処分の日、通知書を受け取った日、求める内容などを記入します。いのちのとりで裁判全国アクションのホームページでは、審査請求書のPDF版・Word版と記入方法を公開しています。
審査請求の案内・書類
https://inochinotoride.org/shinsaseikyu
資料では、審査請求書は正本・副本の2通を提出し、手元にも1通保管する方法が案内されています。個々の状況によって確認が必要な事項がありますので、分からないまま一人で抱え込まず、早めに相談してください。
新宿区生活保護費等追加給付専用コールセンター
電話:0120-306-272
受付:平日8時30分~17時
新宿区生活保護費等追加給付専用相談窓口
場所:新宿区役所第二分庁舎2階
住所:新宿区新宿5丁目18番21号
受付:平日8時30分~17時
新宿区の案内
https://www.city.shinjuku.lg.jp/fukushi/seikatsu01_000001_00050.html
厚生労働省・追加給付相談センター
電話:0120-179-445
受付:平日9時~17時
厚生労働省の制度案内
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68902.html
生活と健康を守る会では、追加給付や審査請求についての相談を受け、チラシや請求書のひな形も用意しています。代理人を立てることを含めた相談も可能と案内されています。
各地の生活と健康を守る会
http://www.zenseiren.net/kakuti_seikatu/kakuti.html
※この記事は制度と相談先をお知らせするもので、個別の法的判断を行うものではありません。期限や必要書類は一人ひとり異なる場合がありますので、通知書を確認のうえ、相談窓口や法律家、支援団体へお問い合わせください。
東京都生活と健康を守る会連合会からは、追加給付や審査請求を知らない方が少なくないこと、自治体によって周知や相談・申出の体制に差があることから、議員にも情報提供と協力を求める要請が寄せられました。
生活保護は、憲法第25条に基づき、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。利用することは、誰にでも保障された権利です。
最高裁が違法と判断した行政処分による不利益は、できる限り全面的に回復されるべきです。同じ基準引き下げの影響を受けた方の間で、裁判の原告かどうかによって救済に差をつけることにも、私は賛成できません。
新宿区に対しては、現在の利用者への丁寧な説明に加え、過去に利用していた方への積極的な周知、申出書の記入支援、多言語での情報提供、審査請求を考える方への正確な案内を求めます。
通知書が届いた方、過去に生活保護を利用していた方、身近に対象と思われる方がいる皆さまは、どうかこの情報をお伝えください。手続きに不安がある方は、一人で抱え込まず、ご相談ください。
この記事をお読みいただき、ありがとうございます。
私は新宿区議会議員として、生活保護を利用している方をはじめ、福祉・医療・子育て・介護の現場から寄せられる声を伺い、議会での質問や制度の改善につなげてきました。
制度について困っていること、区の窓口で分かりにくかったこと、地域で改善してほしいことがありましたら、ぜひお声をお寄せください。皆さまの声を大切に受け止め、新宿区政へ届けます。
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川村のりあき(川村範昭)
日本共産党新宿区議会議員・現在6期目
暮らしや福祉、子育て、地域の課題について、皆さまの声を議会へ届けています。
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https://www.city.shinjuku.lg.jp/fukushi/seikatsu01_000001_00050.html
https://inochinotoride.org/shinsaseikyu
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68902.html
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