2026/8/21
これは注目。多くは仕事のために使うのに、ベビーシッター代が経費や税控除の対象にならないのはおかしいと、私も何度も国会質疑で取り上げてきた。
ただ、新たな特例(租税特別措置)にならないよう、制度設計が大事。
そして要望を出すのが厚労省ではなく、経産省というところがまた。。 https://t.co/VhqzHI7UYu
— おときた駿 / 元参議院議員、しゃほさげフェニックス (@otokita) August 21, 2026
経産省などが、ベビーシッターや家事支援サービスの利用者への税制優遇を、2027年度の税制改正要望に盛り込む方針を固めたと報じられました。
年末の税制改正大綱に向けて、厚労省やこども家庭庁と控除のあり方を協議していくことになります(ただ後述しますが、まだ実現可能性は高くないと思います)。
この報道に対して、ネット上では「一部の人だけへの優遇だ」「特定業界への利権誘導ではないか」という反応がかなり出ています。
そこで、丁寧に論点を整理していきます。
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まず、批判的な意見から見ていきます。報道によれば、手法としては所得控除と税額控除の両方が選択肢になっている。
ここが分かれ目です。所得控除を選んだ場合、「高所得者優遇だ」という批判はそのまま正しくなります。
所得控除は課税所得を減らす仕組みなので、限界税率の高い人ほど減税額が大きくなる。加えて、シッターを日常的に使える層はもともと所得が高い側に偏っています。
高所得層に偏った利用に、高所得層ほど厚い減税を乗せる。逆進性が二重にかかります。
「また金持ち優遇か」という反応は、感情論として片付けられるものではありません。設計を間違えれば、事実になる指摘です。
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その上で、そもそもの前提を確認しておきます。
日本では、就労中に子どもを預けるために払ったシッター代を、税務上まったく考慮できません。
所得税法37条が必要経費を「収入を得るために直接要した費用」と定め、45条が家事費を経費から除いている。育児費用はこの「家事費」に分類されてきたからです。
給与所得者向けの特定支出控除にも、育児費用は入っていません。厚労省は2015年に追加を要望しましたが、見送られています。それから10年以上、議論が浮かんでは沈むことを繰り返してきました。
保育がなければ働けない人にとっても、育児費用は私的な支出。これが現行の解釈です。
一方、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダは、いずれも育児費用を税制上の優遇対象として制度化しています。控除の形は国によって違いますが、「就労のための費用」として扱う点は共通しています。
未整備なのは日本のほうです。
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「一部の人への優遇」という言い方についても、事実関係を押さえておきたいと思います。
そもそも認可保育所には、児童一人あたり相当額の公費が投じられています。ゼロ歳児であれば月20万円を超える水準になるケースもあるとされます。
では、夜勤や不規則勤務で認可の開所時間に合わない人、待機で入れなかった人はどうか。
認可外やシッターに自費で頼っています。同じ「働きながら育てる」であっても、こちらには公費がほとんど届いていません。
現状がすでに、「一部の人だけが優遇されている」状態に偏ってはいないでしょうか?
公費配分には大きな偏りがある。今回の措置は新たな特権を作るのではなく、その穴を埋めるものだと位置づけるべきだと考えます。
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ただし、擁護できない部分もあります。
今回の要望は「ベビーシッター」と「家事支援サービス」を束ねています。この二つは性質が違います。
就労中の保育代は「働くための費用」として説明できます。ところが、家事代行はどうか。純粋な消費との線引きが難しく、同じ理屈では守り切れません。
さらに、対象を2027年創設予定の国家資格の保有者らによるサービスに絞る方向とされ、業界団体からは一定基準を満たす事業者も対象にするよう提言が出ていると報じられています。
誰かが悪意で仕組んだ、という話をするつもりはありません。ただ、資格や認定を税優遇の要件にすれば、構造として参入障壁が生まれ、認定を受けた側にレントが発生します。
これは仕組みの問題です。安全性の担保と、参入の開放性。このトレードオフを曖昧にしたまま進めると、批判は当たり続けます。
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では、どう設計すべきか。還付付きの税額控除にすべきです。
税額控除であれば、減税額は税率に左右されません。さらに還付付きにすれば、納税額が控除額に満たない世帯にも同じ恩恵が届きます。
フランスは家事・育児関連サービスの費用に対して還付型の税額控除を採用しており、まさにこの逆進性を回避するための設計です。
カナダには、育児費用の控除を所得の低いほうの配偶者が申告する、というルールがあります。「高所得の夫が節税する制度」にならないよう、条文で止めている。
工夫の余地は、すでに他国の制度の中にあります。具体的な設計上の論点として、以下を提起したいと考えています。
一つ、所得控除ではなく還付付き税額控除とし、控除上限と所得制限を組み合わせること。
二つ、育児部分は「就労のための費用」、家事支援部分は「インフォーマルな雇用を申告される雇用に切り替える措置」として、根拠を分けて建てること。同じ理屈で束ねると、弱いほうが全体の足を引っ張ります。
三つ、事業者要件を資格保有一本にせず、届出、事故報告義務、賠償保険加入を軸にすること。安全は担保しつつ、参入の裾野は広く取る。
四つ、既存のベビーシッター利用者支援事業(内閣府の割引券)との関係を整理すること。放置すれば屋上屋になります。
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以上、論点の整理と高所得者優遇や利権誘導にならない制度設計についてまとめました。
現状は省庁からの要望に留まり、これが税制改正に本当に反映される可能性は決して高くありませんし、いわんや制度設計はこれからです。
整理した論点についてはしっかりと提起した上で、あるべき税制改正につながるように働きかけてまいります。
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ホーム>政党・政治家>おときた 駿 (オトキタ シュン)>ベビーシッター税優遇は「金持ち優遇で利権誘導」か?設計次第であり、税額控除で対応するべきだ