2023/10/7
自由民主党衆議院議員の黄川田仁志です。日本の海洋安全保障に関わる問題が発生しています。
中国による尖閣諸島周辺海域へのブイの設置です。この問題は、国連海洋法条約の規定の隙をついた非常に難しい問題なのですが、中国はわざと、日本の逆鱗に触れるようなことを行い、日本政府を揺さぶっています。
中国によって設置されたブイは下記写真のものと類似したものです。直径が約10mもあり、「中国海洋観測浮標QF212」と書かれています。
国連海洋法条約には、EEZ内に構造物を設置する場合は、沿岸国の同意が必要であることが規定されています。今回、中国のブイ設置に対して、当然沿岸国である日本は同意していません。よって、松野官房長官は記者会見の席で、国連海洋法条約上の関連規定に反すると中国を批判し、外交ルートを通じて、中国に対しブイの即時撤去を求めたのです。しかし、中国は、日本の撤去要求を無視しています。それであれば、日本側が強制的に撤去すればよいのではないかとのご意見や報道を目にしますが、事はそう簡単ではありません。
今回、ブイが設置された海域は、日本が主張する日本のEEZ内なのです。いわゆる日中中間線のわずかに日本側に位置します。日中間のEEZの境界をめぐっては、日本と中国は合意に至っておらず、双方がそれぞれの立場で境界線を主張しています。

日本は、中国との境界が未確定である現在は、少なくとも中間線から日本側の水域において日本が主権的権利及び管轄権を行使できるとの立場をとっています。よって、今回のブイについても、日本のEEZ内における管轄権の範囲内での対応が可能であるとするのが日本の立場です。しかし、10月6日現在、日本政府はブイを撤去していません。それはなぜか?
国連海洋法条約では、EEZ内で合意なしに設置された構造物の撤去についての具体的規定がないのです。日本政府は、国際法上、明確な規定がない以上、慎重に取り扱わなければならないと判断しています。ここが中国がついてきている国連海洋法条約の隙なのです。実は、少なくとも過去3回、中国は同海域にブイを設置していることが確認されています。しかし、日本政府は、中国が設置した構造物を撤去したことがありません。日本が撤去しないことを見越して、中国はブイを設置し、日本を揺さぶっているのです。但し、これまで中国が設置したブイは、荒波に耐えきれず壊れたり、流されてしまい、結局は無くなっています。
実は、フィリピンの海域でも、中国は同じようなことをしています。中国海警局の船がフィリピン漁船の入域を妨害するため、長さ約300メートルの浮遊障壁を設置したのです。フィリピン政府はこれを撤去しました。フィリピンが撤去できるのに、日本はなぜ撤去できないのか?なぜそんなに弱腰なのか?と思われる方も多いかと思います。しかし、フィリピンのケースと日本のケースは状況が異なるのです。フィリピンの場合、フィリピンの主張する「領海」内で発生した事例なのです。国連海洋法条約では、「領海」には沿岸国の主権が及ぶことが明確に規定されています。よって、フィリピンは浮遊障壁を主権国として撤去できるのです。日本の場合は、日本が主張する「EEZ」で発生していることであり、EEZは沿岸国の管轄権を認めるもので、主権を認めるものではないため、判断が難しいのです。ここがフィリピンの場合と違うところです。

それでは、日本は、これからも同海域にブイを設置されても何もできないのでしょうか?
私は、例え国連海洋法条約上では、EEZ内の管轄権によって構造物を撤去できる旨の規定がないとしても、撤去できないとも規定されていない以上、撤去に向けた具体的対策に積極的に取り組むべきと考えます。台湾有事が迫っているとの見方も強まる中、中国に対し、これまで同様に対応していては、日本を守ることはできません。日本は何もしてこないと高をくくっている中国に対し、日本は変わった、日本は国を守り抜く強い意志があることを行動として表すべきで、そのための外交的な準備を展開すべきです。
少なくとも、中国が行っている卑劣な行為について、同盟国や価値観を共有する民主主義国家等、国際社会に徹底的に周知する、訴える努力をもっともっとすべきです。まだまだ足りません。様々な国際会議の場や会談の場で、総理をはじめ、各大臣が、世界に中国の卑劣さを訴えるべきです。このことは衆議院外務委員長として、外務省に強く訴えました。様々な外交の積み重ねによって、国際社会に日本の正しさを伝えつつ、ブイを撤去する方向に向かう。政府は待ったなしで取り組むべきです。
海上保安庁第三管区を視察する黄川田仁志衆議院議員
4期連続当選の衆議院議員。10月6日現在、衆議院外務委員長。元内閣府副大臣(財政金融担当)、元外務大臣政務官。
初当選以来、自由民主党海洋総合戦略小委員会事務局長を歴任。数少ない総合的な海洋政策を専門とする国会議員。
詳しくは公式HPをご覧ください⇒http://www.kikawadahitoshi.jp/
※本特集記事は、衆議院議員きかわだひとしの政策紙『きかわだステーション』92号にも掲載されています。
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