2026/3/2
2月22日(日)、地域未来戦略の関係で、岡山県内の自治体に視察に行って参りました。
1つ目は、美咲町です。美咲町は、青野高陽町長のリーダーシップのもと、スマートシュリンクを掲げ、地域全体を「賢く整える」ことで、地域の活性化を目指しています。

「賢く整える」とは、具体的には、公共施設の集約化と複合化、売却や解体を進めると同時に、81あった自治会を13の地域運営組織に集約して住民自治組織を再構築したり、新設の4-3-2制の義務教育学校(小中一貫校)を各地区の新たな拠点とするなどの取組です。また、地域づくりを進める上で、こどもの幸せを最優先にしており、実際に出生率が上がっているほか、子育てしやすい町として、他地域からの移住者も増えているとのことでした。


なぜこのような取組を始めたのかを伺ったところ、青野町長は、町長就任時、解決しなければならない問題が山積しており、やけくそでスマートシュリンクを始めたと率直にお話しくださいました。やけくそとは言いつつも、大変な混乱の中、人口減少という厳しい現実を受け止め、整え直す必要があることを痛感され、一つひとつ地道に取り組まれてきたことが伝わってきました。


シュリンク(収縮)というと後ろ向きなイメージを持たれがちですが、賢く整え縮むことで得られた人材や予算などを、こども政策や新たな複合型公共施設の整備、未来に向けた政策への投資に振り向ける。現在も美咲町では、その努力が継続されています。

次に訪問したのは、勝央町です。勝央町では、水嶋淳治町長のもと、中央省庁の職員3名が地方創生支援官として、地元の皆さんと一緒に地域づくりに取り組んでいます。

勝央町では、目玉となる観光資源や特産品が乏しいことが地域の課題でした。そこで、町内で生産している甘栗「岡山甘栗」を新たな特産品として全国や世界に売り込むことに挑戦することにしました。挑戦に際しては、産地拡大とブランド化を進める必要があり、専門的な知見や新しい視点を活かすため、地方創生支援官の派遣を国に依頼しました。勝央町は、岡山県内で唯一、地方創生支援官を受け入れた町として、大変注目されています。

3名の支援官は、現地訪問だけでなく、オンラインでの打合せ等も駆使し、農政局や地元百貨店、県内の成功事例に関わる関係者へのヒアリングや働きかけを行いました。また、国家公務員としての経験をフルに活かし、振興計画策定の実務支援も行い、特に産地拡大のための岡山甘栗の苗木支援の予算化に取り組みました。町の皆さんの3名の支援官への信頼は厚く、これまでの取組が今後、よい意味でどのような変化を生むのか、地方創生担当大臣として、大変楽しみにしています。

最後に訪問したのは、西粟倉村です。青木秀樹村長をはじめ、地域でローカルベンチャーとして活躍中の株式会社エーゼログループの西岡太史さん、株式会社百森の田畑直さん、合同会社misoraの白籏ちえみさんとも意見交換させていただきました。また、エーゼログループが運営する、西粟倉村の自然・食・木の恵みを楽しめる複合施設「BASE101%-NISHIAWAKURA-」や、村の皆さんが自由にやりたいことができる場として、村役場や図書館が一体となった「あわくら会館」も視察させていただきました。


西粟倉村が地域づくりにおいて、村外から来た若い人たちに参加してもらうようになったきっかけは、危機感からだったと青木村長から伺いました。人口減少や産業をはじめとする地域の衰退を何とかするために、「森を活用するしかない!」との強い決意のもと、「百年の森構想」を策定しました。この構想を実現するために、村外から積極的に人材を募り、手づくりで百年の森事業を進めてきました。失敗もたくさんあったようですが、それらを乗り越え、現在は約1,300人の村で、18年間に62の新しい事業が生まれています。

今回、岡山県内の3つの自治体を視察して、地域未来戦略を考える上で、改めて感じたことがあります。
まず、市町村が地域未来戦略に挑戦するときには、それぞれの地域の現状に合わせた支援の形を柔軟に選択できる制度設計にしなければならないということです。地域未来戦略は、3つの層に分かれて構成されています。一つは、半導体工場の誘致等の大型国家プロジェクト、もう一つは、知事を中心に都道府県単位で地場産業振興等地域経済の活性化に取り組む中型のもの、そして最後の一つは、市町村単位で地場産業等を活かした地域経済の活性化です。
今回の視察は、最後の市町村単位の地域未来戦略の詳細を詰めるためのものでしたが、3つの町村は、それぞれ抱える地域づくりの悩みも異なり、アプローチも異なりました。地域の多様性を考えれば当然とも言えますが、国の支援策を考える場合、効率性を重視し過ぎると、この観点は見失いがちだと思っています。
地場産業等を活かした地域経済の活性化と言えば、勝央町や西粟倉村のような地域資源活用型の取組がありますが、そのような取組を将来にわたって持続可能なものとするためには、美咲町のように行政基盤を見直し、発射台を整備することも非常に重要だと感じました。むしろ、全国の市町村の中には、まずこの行政基盤の見直しを行わなければならない自治体が多くあるようにも感じています。
さらには、3つの町村に共通していたのが、地域づくりに熱心に取り組む人たちの素晴らしさでした。官民いずれにも、熱意を持って地域づくりに取り組む方々がいらっしゃいました。役場の職員、農協の職員、そして村外からやってきた起業家など、さまざまな立場の人たちが目標に向かって力を合わせています。そのような人材が力を発揮できる土壌を整えることも、市町村の活性化には不可欠であると改めて認識しました。現在、内閣府が行っている地方創生支援官制度についても、中核市まで対象を広げることや、支援期間の延長など、拡充を検討する必要があると感じています。
そして、3つの町村にもう一つ共通していたこと、それは町村の未来への強い危機感でした。人口減少や地域産業の衰退など、大変厳しい現実をまずはしっかりと受け止めること。これがなければ、現在の成果はなかったと、関係の皆様のお話を直接伺い、強く感じました。どの首長からも、「ピンチはチャンス」という趣旨のお話があったことが印象に残っています。
どれだけ真摯に地域の現実と向き合い、希望ある未来を描けるか。地域未来戦略では、そのような視点も大切にしなければならないと改めて感じました。この度の視察にご協力いただきました美咲町、勝央町、西粟倉村の皆様、本当にありがとうございました。皆様から学んだことを、全国の市町村が挑戦できる新しい制度につなげていきたいと思います。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>きかわだ ひとし (キカワダ ヒトシ)>地域未来戦略を見据えた岡山県内各町村の視察報告